2008年6月14日8時43分、岩手県と宮城県を襲った震度6強の地震は、多くの犠牲者を出しました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。
震源近くには数多くの秘湯・名湯が点在し、一軒宿や電気の無いランプの宿もありました。中継で不幸な形で有名になってしまった駒の湯もそのひとつです。
僕は2007年の6月、まさにこの地区で会社の仲間と温泉めぐりをしていました。
このあたりは積雪も多いので、冬はいけない温泉も多く、今年もまた行きたいね、なんて話をしていた矢先に・・・。
土石流にあった駒の湯や、未曾有の土砂崩れを起こした荒砥沢ダムの程近くにある、湯の倉温泉湯栄館に昨年宿泊しました。
舗装路からダートに入り、駐車場から歩くこと20分以上、電気も通っていない本当のランプの宿でした。深い緑とさらさらと流れる清流の気持ちいいこと。
部屋からは渓流が見渡せ、川の気持ちの良い風が吹き込んでいました。携帯の電波も入らない、秘湯中の秘湯。
それが地震による土砂崩れでできた、土砂ダムによりご覧の有様です。地下の内湯部分がすっかり水没してしまっています。(画像はインターネットニュースからお借りしました)
この画像は発生から2~3日後のものと思われるので、今頃は1階部分まで達してしまっているかもしれません。(画像はインターネットニュースからお借りしました)
昭和初期の木造建築で、地震が起きて倒壊を心配していました。建物自体は損傷はなさそうですが、よりによってこんな無惨な姿を目にしなければならないとは・・・。
かなり古い木造建築、歩くとみしみし音が鳴るような建物だったので、長い間水中に晒され、水圧を受け続ければ、と考えると胸が締め付けられます。
テレビはもちろんありません。僕たちはランプの明かりのもと、旅人ノートに絵を書いたり、真っ暗な川沿いの露天風呂で地酒を飲んだりしました。
現代から隔絶された、本当の意味での心の洗濯をしました。その旅人ノートも、今頃は水浸しになってしまっていることでしょう。
今回湯栄館では犠牲者は出なかったとの事。それが唯一の救いです。
一刻も早く土砂ダムの撤去を完了していただきたいものです。下流の被災者の方のためにも、温泉旅館の経営者の方のためにも、そして、僕たちのような、旅人として訪れ今でも胸に思い出をしまっている人のためにも。
周辺の温泉宿も、今回の地震の影響で閉鎖してしまうところが出てしまうかもしれません。
被災地一帯は風光明媚で、良質な温泉がたくさん点在している地域です。ニュースの映像を見ると人間がいかに自然に対して非力かということを嫌というほど思い知らされます。
ですが、ずっと昔から地震や噴火に耐え、その恩恵である温泉を利用してきた歴史があるからこそ、これにめげず再生して欲しいと願わずにはいられません。
被災者の方々のご苦労は、僕たちが想像できるようなものでは決して無いと思いますが、遥か昔から災害を乗り越えて来た実績があるのですから、今回もなんとかなるはずです。
もう一度、きれいな栗駒高原を旅したいと願っています。ここを旅した人はみんなそう思っているはずです。頑張ってください!
エールを送ることしか今の僕にはできませんが、いても立ってもいられず、記事を書きました。
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