石垣島で迎える最初の朝。今日は次第に晴れる予報。どんな空模様かとベランダから顔を出してみれば、うっすらと雲の広がるパステルの青。
さあ、今日は竹富島に渡るぞ！その前に一日の活力を得るため、ホテル棟のレストランへ。その名に冠しているように、朝食に力を入れているというThe BREAKFAST HOTEL PORTO石垣島。期待しつつ会場へと入れば、おお！と嬉しくなる充実のラインナップ。
いやこれ、当たりのホテルだ。食べる前からそんな予感を抱きつつ、最初の朝は気になったものをちょっとずつ。まずは、石垣での朝にうれしい八重山そばをひと口。豚ベースの優しく沁みるだし、長命草のふわっと香るそば。1年ぶりとなるこの感覚に、食欲が一気に刺激されます。
しっかりと煮込まれたラフテーは、赤身のほっくり感と白身のとろ甘が美味。皮もぷるぷると口どけよく、ホテルの朝食とは思えぬ本格的な旨さ。沖縄県魚のグルクンは、シークヮーサーおろしぼん酢で。初めてこの食べ方に出会いましたが、滋味あふれる淡白な白身の良さが活かされとってもおいしい。
しゃっきり感の残されたゴーヤチャンプルーは、穏やかな味付けと爽やかな苦味が美味。まぐろ、イラブチャー、琉球スギのお刺身はどれも新鮮で、思わず泡盛を合わせたくなる旨さ。
そして嬉しいのが、石垣牛を使ったローストビーフ。近海もののお刺身とともに、これが毎朝出されるのだというのだから驚き。ハーブ塩を振り頬張れば、じゅわっと広がる牛の甘味と旨味。うわぁ、ちょっとびっくりだわこれ。思っていた以上のきちんとした石垣牛に、採算が採れているのか心配になる。
八重山の味が多く並ぶのもありがたいし、何よりひとつひとつがしっかりおいしいのが本当に嬉しい。これは毎朝愉しみになるわ。
そんな朝食の〆には、自家製のカスタードプリン。濃厚ながら甘すぎず、自分で量を調整できるカラメルソースもほろ苦で美味。最後の最後までしっかりと食事を満喫し、大満足で自室へと戻ります。
いやぁ、朝から食べすぎた。ぱんぱんになったお腹をベッドでごろごろ落ち着け、船の時間に合わせて石垣港離島ターミナルへ。具志堅さん、今年もあおさに溢れる島旅、よろしくお願いしますよ！
具志堅さんへのご挨拶を終え、ターミナルでお昼を買い込み桟橋へ。今日は『安永観光』で往復することに。去年まではライバルの八重山観光フェリーと時刻が重なっていましたが、今回はほどよくずれているため時間の都合に合わせて船会社を選べるように。
エンジンの振動の伝わる冷房の効いた船内で待つことしばし、いよいよ迎えたこの瞬間。高鳴るディーゼルの唸りとともに、うみかじは竹富島へと向けいざ出航。
ゆったりと進んでいた船も、石垣港を出ると一気にスピードアップ。1年ぶりの爆走に心を躍らせていると、あおく染まる海の先に平べったく横たわる島影が。あぁ、地上の楽園が見えてきた。このために、1年間頑張ってきたんだよ。
鮮烈なあおさを浴びつつあっという間の15分、うみかじは竹富港に到着。船を出て桟橋に降り立てば、一瞬にして甦るこの島での記憶。毎年持ち帰るここでのあおさが胸へと蓄積され、今ではかけがえのない宝物に。
今年は一体どんなあおさを見せてくれるのだろうか。そんな期待を胸に、港から集落へと向け歩く登り坂。早くも噴き出す汗にあちぃあちぃと進んでゆくと、のんびりと草を食む牛がお出迎え。
その先には、いつもヤギがいたはず。そう思い草むらを覗いてみると、陰でおとなしく涼むヤギ。そうだよな、この暑さだもんな。
毎年恒例となったヤギへのご挨拶を終え、いよいよ集落へ。その入口には、大きく枝を伸ばす木とそれを囲むように積まれた石垣。このスンマシャーはここから先が人々の生活の場であることを示すとともに、厄災から集落を護っているそう。
1年ぶりの再会となるあの世界観に胸を高鳴らせていると、道の脇に第1島バナナを発見。民家の庭にもたくさん植えられており、初めて見たときはこんな南国の果物が路地で育つのかと驚いたものだった。
そしていよいよ、集落内へ。粗く積まれた珊瑚の石垣、豊かな緑から覗く赤瓦。琉球時代からの空気感を色濃く残す竹富の町並みは、何度訪れても胸にくる。
情緒豊かな集落を抜け、海を目指してさらに先へ。仲筋井戸を右に曲がるのがコンドイビーチへの近道だけれど、このストレートが日陰もなくきついんだよな。今年もじりじりと灼ける暑さを浴びつつ歩いてゆくと、原っぱには草を食む水牛が。
集落のまわりを囲む一周道路に出れば、あと少し。薄い雲はかかっているものの、今年も絶好調だな。青いパパイヤの実を見つけたり蝶々に先導されたりと、八重山の夏を感じながら進みます。
島全体が、植物園のような竹富島。暑い熱いと言いつつも、その豊かな緑が目を愉しませてくれるから歩いてゆける。夏の暑さを楽しむように、全力で咲く艶やかなハイビスカス。力漲る緑と赤の鮮烈な対比に、弥が上にも南国にいるという実感は高まるばかり。
この道の突き当りには、あり得ないほどのあおい世界が待っている。間近に迫った再会の瞬間に向け、夏空のもと一歩一歩を踏みしめ進んでゆくのでした。
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