石垣島からあっという間のフライトを終え、この旅最後の目的地である那覇に到着。5日前、ここに降り立ったことがついこの前のようでもあり、遠い過去のようでもあり。そう思うほど、今回の旅も濃厚であったという証。
空港直結の那覇空港駅より『ゆいレール』に乗車し、一路首里を目指します。
ゆいレールは繁華街を抜けると、ものすごい勾配で急上昇。あっという間にビルよりも高いところを走るようになり、那覇という街の坂の凄さを目の当たりにします。そんな天空の車窓を楽しむこと30分足らず、首里駅に到着。そこから歩いて5分程の『首里そば』でお昼を食べることに。
さすがは有名店、雨の中15分程列に並び店内へ。メニューは首里そばやじゅーしーのほか数品といったシンプルなものですが、この日は残念ながらじゅーしーは品切れ。本島じゅーしー、食べてみたかったなぁ。
ということで今回は首里そば中を注文。しばらく待つかと思いきや、思ったよりも早く運ばれてきました。まず感じるのが、かつおだしの良い香り。実は店外で並んでいた時から思い切り香っていたので、期待していました。
まずはその澄んだスープから一口。あぁ、沁みる、優しい、穏やか、心地よい。鰹節と豚肉からだしをとり、沖縄の塩で味付けしたというこのスープ。その見た目通り、過不足なく素材の味わいをシンプルかつダイレクトに口中へと届けてくれます。
続いては特徴的な真っ白い麺を。歯ごたえが強く、小麦粉感をものすごく感じる独特な味わい。硬いわけではありませんが、コシともまた違う。こんな食感の麺を食べるのは生まれて初めてなので、うまく表現することができません。
載せられた豚肉は歯が必要ないほど柔らかく煮込まれ、おだしに比べて若干濃い目の味付けがいいアクセントに。添えられた針生姜を時折挟めば、その爽やかさに一層箸が進んでしまう。
気が付けば、汗をかきつつ一気に完食。どんぶりに残されたスープの一滴まで、名残を惜しみつつ味わい尽くします。本島で食べる、初めてのそば。明らかにこのお店独自のものと感じる旨さに、沖縄のそば文化の深さを垣間見た気がします。
首里そばの穏やかな満足感に包まれつつ、首里城目指して歩きます。すると道沿いに突然現れる、大きな池。龍潭と呼ばれるこの池は、600年近くも前に造られたものだそう。背後に聳える首里城と相まって、すでに異国情緒が漂いはじめます。
緑豊かな龍潭沿いを歩いていると、車道だというのにおびただしい数の鳥が歩き回る一角が。近付いても物おじせず寄ってくるこの鳥、後で調べてみるとバリケンという外来種なのだそう。でもなぜか、この場所にとても馴染んでいる。沖縄のもつ独特な亜熱帯感が、そうさせるのだろうか。
かわいいバリケンに別れを告げ、いよいよ首里城へと到着。初めて訪れる僕をまず出迎えるのは、2千円札の絵柄としても有名になった守礼門。この門は昭和33年に再建されたものだそうで、60年以上もの間訪れる人々を美しい姿で迎え続けています。
守礼門をくぐると、眼前に広がるこの眺め。この瞬間、すぐに悟る異国感。日本の城郭とは一線を画す、優美な曲線を描く石垣。その奥には、雨に濡れつつ佇む赤瓦。やっぱりここは、琉球だ。長く続いた王国時代の名残を目の当たりにし、思わず息を呑みます。
左右にシーサーを従え、重厚に聳える歓会門。石積みの城門は緩やかなアーチを描き、その姿はどことなく竜宮城を思わせる佇まい。古から大陸文化の影響を強く受けてきたことが伝わるよう。
城の内外を隔てる歓会門をくぐり、いよいよ首里城内へ。独特の曲線に彩られる石段の先に建つのは、瑞泉門。右手には湧水の溢れる龍樋という水場があり、それにちなみ名付けられたそう。
そうか、瑞泉の瑞泉は、この瑞泉だったのか。飲兵衛の僕はひとり納得しつつ、初めての首里城歩きは更に続きます。
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