あ、下部行きたい。~忘られぬあの感覚 3日目 ④~ | 旅は未知連れ酔わな酒

あ、下部行きたい。~忘られぬあの感覚 3日目 ④~

10月下旬初めての富士宮富士急静岡バス富士宮駅行き 旅グルメ

富士の育む豊かな水の表情に触れ、そろそろこの旅も終わりの時間。白糸の滝観光案内所前バス停より、『富士急静岡バス』の富士宮駅行きに乗り込みます。

10月下旬初富士宮駅
ひたすら続く坂道を、延々と下ってゆくバス。富士山の大きさを改めて実感しつつ揺られること30分、再び富士宮駅へと戻ってきました。

10月下旬初JR東海313系身延線普通列車富士行き甲府から乗り継いできた身延線もこれが最後の一本
おとといは甲府から下部温泉へ、そして今日はそこから富士宮へ。こうして紡いできた身延線の旅も、これが最後の一本。すっかり愛着を感じるようになった313系に乗り込み、終点の富士を目指します。

10月下旬JR東海313系身延線普通列車富士行き車窓には諦めていた富士山がほんの少し姿を見せてくれる
本来なら、きっと今の時期は秋晴れが続いているはず。今年は猛暑が去ったと思ったら、なんだかぐずつきがちだな。そんな風に今日の富士山を諦めていると、旅の最後の想い出にと言わんばかりにうっすらと、ほんの少しだけれどその姿を見せてくれた。

10月下旬夜の沼津駅北口
やっぱり富士山は、特別だ。別れ際の粋な計らいに嬉しさを噛みしめつつ、富士で東海道線に乗り換えて沼津へ。ここで一旦途中下車し、この旅最後の宴を愉しむことに。

10月下旬沼津駅前のビルに位置する沼津海いち
大きな改札口とは反対側のこじんまりとした北口、その目の前に建つビルの1階にお目当てのお店が。駿河の海の幸と地酒を味わえる、『沼津海いち』へとお邪魔します。

10月下旬沼津海いち青鯛のお造り
冷たいビールで渇きを潤していると、ほどなくして運ばれてきた青鯛のお造り。きれいな色をした白身は、しっとりもっちりとした食感。噛めば白身ならではの上品かつ深い旨味が溢れ、その味わいの濃さに驚いてしまう。

10月下旬沼津海いちアジフライと鯵骨せんべい
はじめての青鯛の旨さに、さっそく静岡の地酒に切り替え。駿河の恵みに舌鼓を打っていると、続いて大好物の鯵を使った2品が。

カラッとサクッと揚げられたアジフライは、肉厚でほっくほく。タルタルやソースもいいが、旨いアジフライはしょう油が合う。ぱりぱりの骨せんべいは、その見た目通りの香ばしさ。ほんのりとした塩味が、また一枚、もう一枚とやみつきに。

10月下旬沼津海いちまぐろの酒盗
アジフライを熱々のうちに平らげ、骨せんべいをつまみつつ追加したのはまぐろの酒盗。いわゆるまぐろの内臓の塩辛なのですが、驚くほど臭みがない。こりゃぁ、酒を盗んででも飲みたくなるわな。その名に恥じぬ呑兵衛殺しの味わいに、駿河の酒をおかわりしてしまいます。

10月下旬沼津海いち焼き原木しいたけ
海の幸続きだったので、ちょっとは山のものもと頼んだ焼き原木しいたけ。大ぶりのしいたけをぽん酢にちょんとつけて噛みしめれば、厚みのある滋味がぶわっと溢れ出る。うん、これは豊かだ、豊かな味わいがするよこれは。

10月下旬沼津海いち真鯛かぶと塩焼き
あとはもう、三島から新幹線に乗って帰るだけ。時間は十分にあるので、さらなるつまみにと真鯛かぶと塩焼きを。

こんがりきつね色、見るからに旨そうに焼かれたかぶと。まずは熱いうちにと目玉から。つるりとしたコラーゲン感の後に広がる、確かな旨味。臭みは全くなく、新鮮なのが伝わってくる。

入り組んだ骨のまわりに付いた身は、よく動かす部位だからかほくほくとし締まりのある食感。根気よく身を外し頬張れば、口中に沁みわたるほどよい脂と凝縮された鯛の旨味。これは普通の身の塩焼きを食べている場合ではない。食べるのが大変な分、それに見合う味がある。

10月下旬沼津海いち南まぐろ中とろ鯵富士山サーモンの握り
旨いつまみたちに地酒も進み、そろそろゆるやかに着陸態勢へ。身の締まった鯵、ほどよく脂ののった南まぐろの中とろ。富士の伏流水で育った富士山サーモンはしっとりとした身質で、淡水の鱒ならではの深い滋味が思いきり詰まっている。

10月下旬沼津海いち駿河の軍艦づくし
続いて、駿河の軍艦づくし。名物の桜えびとしらすをそれぞれ生と釜揚げで愉しめ、静岡の酒を傾けながらつまむにぴったりの旨さ。

10月下旬夜の沼津駅北口
いやぁ、よく呑んだ。駿河の味と酒にすっかりと酔わされ、上機嫌でお店を後にします。ビルを出ると、もうすぐそこが沼津駅の北口改札。この先列車で帰る旅人にとって、この立地もありがたい。

10月下旬夜の三島駅に入線するJR東海N700Sひかり号東京行き
沼津から東海道線にひと駅だけ揺られ、三島で新幹線に乗り換え。この列車はひかり号。ここを出るとたった3駅、44分で終点の東京に到着してしまう。そう考えると、静岡県って思った以上に近いんだよな。

10月下旬夜のJR東海N700S東海道新幹線ひかり号東京駅行きで飲む下部鉱泉信玄ペットボトル
あ、下部に行きたい。いや違う、正確には橋本屋さんに行きたい。そんなふとした渇望から決行した、今回の旅。ゆるゆると心身をほどいてしまう不思議なぬる湯、その湯力をより一層吸収させてくれるお宿の温かみ。きっとそれらが、今の僕には必要だったのだろう。

かいじ号で甲府に入り、初めての吉田のうどんに舌鼓を打ち下部の湯へ。帰りはそのまま身延線を先へと進み、これまた初の富士宮で出逢えたご当地の味と富士山の気配。〆には駿河湾の幸を味わい、本当に素晴らしい一筆書きだった。

またきっと、下部のお湯に呼ばれるときがくる。そして彼の地の周辺には、前回、今回と置いてきた宿題が待っている。次は身延山のロープウェイかな、それとも富士宮から眺める富士山に再挑戦するか。はやくもそんな妄想を浮かべつつ、下部の鉱泉で地酒の火照りを癒すのでした。

あ、下部行きたい。~忘られぬあの感覚~
10月下旬下部温泉元湯橋本屋日々のあれこれ全てを癒す下部の清らかな不思議な湯
2024.10 山梨/静岡
旅行記へ
●1日目(東京⇒甲府⇒下部温泉)
 /
2日目(下部温泉滞在)
●3日目(下部温泉⇒富士宮⇒沼津⇒東京)
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