湯癒逸無二の山形へ ~陸羽仙山、時空旅。3日目 ④~ | 旅は未知連れ酔わな酒

湯癒逸無二の山形へ ~陸羽仙山、時空旅。3日目 ④~

10月中旬初秋の仙山線夕刻前の山寺駅に入線するE721系普通列車仙台行き 旅グルメ

山寺に満ちる古刹の世界観と絶景をこころに刻み、足をぷるぷるさせながら駅へと戻ります。2泊3日過ごした山形とも、もうお別れか。そんな幾許かの感傷を誘う夕刻前のホームに入線する、仙台行きの普通列車。今回も、いい旅だったな。そうしみじみと噛みしめ、車上の人に。

10月中旬初秋の仙台駅
なんとかボックスシートに空席を見つけ、のんびり愉しむこの旅最後の在来線。

宮城と山形の県庁所在地を結ぶ仙山線、多くの乗客で賑わう車内。新型の車両に乗ればするりと仙台まで行きそうな雰囲気ですが、さすがは奥羽山脈に挑む山岳路線。土木技術を駆使し、苦労しながら日本の背骨を越えてゆきます。

深い山に分け入り長大トンネルで宮城県へと抜け、カーブを繰り返し標高を下げてゆくE721系。終点の仙台手前では遠くに太平洋も望め、変化に富んだ車窓絵巻を大満喫。1時間5分という凝縮された乗車体験を経て、この旅最後の経由地である仙台駅に無事到着。

10月中旬初秋の仙台駅徒歩6分の鮮寿司塩釜港仙台店
まずは駅ビルでお土産を購入し、良き時間になったところで夕食をとることに。仙台へと来たら、やっぱり食べたいお寿司か牛たん。どちらにしようか悩みましたが、今回は初めてのお店である『廻鮮寿司塩釜港仙台店』にお邪魔してみることに。

10月中旬初秋の仙台鮮寿司塩釜港仙台店ひがしもの上赤身とサービスのひらめ
こちらのお店はスマホで注文するシステム。メニューを見ていると、すぐにサービスのひらめが1貫手渡されます。続いて注文したひがしもの上赤身も到着。山寺で乾いた喉に嬉しいビールを飲み干し、地酒に切り替えたところで早速いただきます。

まずはひらめから。こりっともちっとした食感と、上品な白身の旨味。お酒でちびりと流し、続いてまぐろを。ひがしものとは、三陸東沖で獲れた生のメバチマグロ。しっとりとした身には赤身の旨味が宿り、脂で勝負の部位とは違った口福を味わえます。

10月中旬初秋の仙台鮮寿司塩釜港仙台店鮪のホシ焼き
酒のアテにと注文したのは、鮪のホシ焼き。しっかりとした肉質の心臓は、噛むとじゅわっと染み出る旨味が印象的。肉のようで、ハツのようで、でもしっかり奥にには鮪が居る。こりゃいいつまみ、地酒が進んでしまう。

10月中旬初秋の仙台鮮寿司塩釜港仙台店すじこ巻と近海あじ
続いては近海あじを。銀色に光る身は見ての通り肉厚で、程よい脂もさることながら筋肉質な歯ごたえが旨い一皿。そしてやっぱり、好物のすじこ巻を。東北に来たら、これをつまみに呑むのが好きなのです。

10月中旬初秋の仙台鮮寿司塩釜港仙台店活つぶと鮪のホホ肉
すじこの塩気におちょこを進めていると、これまた好物の活つぶが到着。小ぶりながら、その歯ごたえはしっかりとしたもの。奥歯でゴリっと嚙めば、貝ならではの磯の香りと甘味が広がります。

そのお隣は、鮪のホホ肉。端的に言えば、魚と肉のいいとこ取り。弾力あるしっかりとした身質には、お肉にも近いような強い赤身の旨味。それでいてまぐろの風味も感じられ、お腹に余裕があれば何度もお替りしたい旨さ。

10月中旬初秋の仙台鮮寿司塩釜港仙台店うにといくらで〆る
お昼に食べた板そばが結構なボリュームだったため、もうそろそろ満腹に。もう一回ひがしものとホホ肉に戻ろうかとも思いましたが、好物のうにといくらで〆て大満足でお店を後にします。

10月中旬初秋夜の仙台駅東口
今回も山の幸、海の幸、たっぷり満喫したな。しかたない、一旦東京に戻ってやるか。旅が充実していたからこその満足感に包まれつつ、夜闇に輝く仙台駅へと吸い込まれます。

10月中旬初秋夜の仙台駅に入線するE6系こまち号東京行き
ホームで待つことしばし、僕を東京へと連れてゆくはやぶさこまちが入線。今回は後ろ側に連結されているE6系のこまち号に乗車。在来線サイズの小ぢんまりとした空間が心地よいのです。

10月中旬初秋E6系こまち号東京行き車内で味わう特別純米酒かみーご
席に着くなり、新幹線は音もなく静かに発車。車窓に流れゆく仙台の輝きも消えたところで、地元かみーごの描かれた中勇のワンカップを開けることに。そのつまみとして眺める、道中を供にした普通乗車券。記された経由をなぞってゆけば、この旅の想い出が鮮明に甦る。

10月中旬初秋の東京駅E6系こまち号のエンブレム
有備館から始まり、明治、大正、昭和の濃密な空気が残された喜至楼へ。江戸から明治までの時代旅を愉しませてくれた陸羽東線に別れを告げ、仙山線で山寺へ。そこにあったのは、千二百年近くも重ねられた修行の形と古から変わらぬうつくしい自然だった。

今回の旅の発端は喜至楼との再会だったけれど、なんだかとても良い行程だったな。行きたい場所、逢いたい湯、そして季節や天候。それらが絶妙に合致したとき、旅はより一層深い記憶として胸へと刻まれる。

そんな瞬間が、旅を通して何度も何度も味わえる。その悦びを一度知ってしまうと、もう後戻りなどできやしない。僕にとって旅は、趣味を超えてもはや生き甲斐、人生の中核。そんな存在に出逢えたことに感謝し、満たされた気持ちでこの旅の幕を静かに閉じるのでした。

湯癒逸無二の山形へ ~陸羽仙山、時空旅。~
10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼本館101号室建具とは思えぬ美しさの鯉の滝登りの彫刻
2023.10 山形/宮城
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●1日目(東京⇒大崎⇒瀬見温泉)
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●2日目(瀬見温泉滞在)
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●3日目(瀬見温泉⇒山寺⇒仙台⇒東京)
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