黄金に染められ海つがる ~北東北よくばり旅 4日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

黄金に染められ海つがる ~北東北よくばり旅 4日目 ①~

3月中旬春まだ浅い黄金崎不老ふ死温泉で迎えるパステル色の朝 旅の宿

岬の宿で迎える穏やかな朝。起きてすぐさま窓辺へ向かうと、そこに広がるのは自然の奏でるグラデーション。幾層もの色に染まる大空と、静かに広がる日本海。視界の全てを彩る色彩の帯が、朝の空っぽになった心にすっと沁み入るよう。

3月中旬春まだ浅い黄金崎不老ふ死温泉2泊目朝食
パステル色の世界を愛でつつ波打ち際の露天で目を覚まし、お腹も空いたところで朝食会場へ。色々並ぶおかずに目を奪われますが、お気に入りで固めたら結局昨日と同じようになってしまいました。

でも、それがいい。朝から白いご飯片手に筋子にたらこ、塩辛を味わうという至福のとき。時間の縛りから解放され、旅先ならではの理想的な朝ごはんをゆっくりと味わいます。

3月中旬春まだ浅い黄金崎不老ふ死温泉去り際にもう一度和室客室から大海原を望む
一杯になったお腹を落ち着け、この旅最後の一浴へ。穏やかな青さを湛える大海原、濃厚な黄金に染まる海辺のいで湯。長い年月憧れ続けてきた不老ふ死温泉での最後の至福を噛みしめ、どこまでも広がる日本海をチェックアウトの時間までぼんやりと眺めます。

3月中旬春まだ浅い黄金崎不老ふ死温泉送迎バスでウェスパ椿山駅へ
あの海辺の露天風呂を知らずにいるなんて、本当にもったいない。念願叶い訪れることのできたというハードルを軽く超える感動を胸に、宿を後にすることに。事前にお願いすれば、リゾートしらかみ以外の列車でもそれに合わせて最寄りのウェスパ椿山駅まで送迎してくれます。

3月中旬春まだ浅いウェスパ椿山駅から望む海原を行く新日本海フェリー
宿から駅まで、海辺の断崖に沿って走る送迎車。その車窓から、ずっと見えていた想い出の船。まさかこんなちょうど良いタイミングで、新日本海フェリーと再会できるとは。ゆったりと海原を行く白亜の船体に、4年前、そして5年前のあの旅が甦る。

3月中旬春まだ浅いウェスパ椿山駅に入線する五能線|GV-E400系快速東能代行き
他に待つ人もいない1面1線の静かなホームに佇んでいると、接近放送とともに遠くから近づいてくる轍のリズム。2両編成の快速東能代行きに乗り込み、ローカル線の旅へといざ出発。

3月中旬春まだ浅い五能線車窓から眺める雪化粧をした白神山地
日本屈指のローカル線として有名な五能線。この区間を乗るのは実に12年半ぶりのこと。その時はリゾートしらかみの山側座席だったため、空いていた海側の座席に陣取り初めての車窓を満喫することに。

3月中旬春まだ浅い五能線海辺に沿って走る車窓
今回乗車したのは、2年ほど前に五能線に導入された新型GV-E400系。ジェネレイティングヴィークルの略であるGVが表す通り、ディーゼルエンジンで発電した電気でモーターを回す電気式気動車。とうの昔に絶滅したこの方式が、まさか復活し実用化されるとは。

3月中旬春まだ浅い五能線美しい海辺の車窓
発電はエンジンとはいえ、駆動は電車。もう五能線でディーゼルカーの旅情を味わえないのかと残念に思っていましたが、実際乗車してみると想像以上に気動車寄り。変速時の衝動がないだけで、ディーゼルの豪快な唸りは健在。キハ40が大好きな僕だけど、この新型が後継ならば寂しくない。

3月中旬春まだ浅い五能線砂浜ギリギリを行く車窓
海食崖と海に挟まれたわずかな隙を縫うように走る五能線。高台から港を見下ろしたかと思えば、今度は砂浜ギリギリのところを走ってみたり。全国的な知名度に恥じることない車窓美が繰り広げられます。

3月中旬春まだ浅い五能線海食崖上から岩場と海原を見下ろす車窓
それにしても、今回の旅は海だったな・・・。八重山以外でこんなに海に染まった旅路は、フェリーでの旅以来かもしれない。そんな旅路を彩る五能線の車窓に、今はただただ見とれていたい。

3月中旬春まだ浅い五能線寄り添ってきた海とももうすぐお別れ
ずっと寄り添ってきた海とも、もうすぐお別れ。男鹿半島へと続く美しい円弧を描く海岸線が、その瞬間を告げているかのよう。

3月中旬春まだ浅い五能線海岸線に別れを告げ内陸へ
鉄路のほうも、意を決したかのようにカーブを辿り内陸へ。名残惜しくも愛おしくただただ見送る、急速に離れゆく海原。身近にあった海が遠ざかる光景は、なんだか胸に来るものがある。

3月中旬春まだ浅い五能線GV-E400系車窓に広がる枯色の田んぼ
海辺に別れを告げた五能線は、米どころ秋田らしい田園地帯へ。車窓一杯に広がる枯色の田んぼも、もうしばらくすれば水が張られ青い稲が風に吹かれることでしょう。

3月中旬春まだ浅い東能代駅に入線する奥羽本線E751系特急つがる号
ウェスパ椿山から絶景を愛でること約1時間、快速列車の終点である東能代駅に到着。ここからは奥羽本線を駆ける特急つがる号に乗り換え、一路秋田を目指します。

3月中旬春まだ浅い奥羽本線特急つがる号車窓から望む角助堤
奥羽本線を南に向け駆けるつがる号。広々とした田園風景の中、森岳駅を過ぎると大きな池が。そういえば、前にここを通ったときは緑に覆われていたっけ。もう3ヶ月もすれば、秋田名物のじゅんさいが水面に茂ることでしょう。

3月中旬春まだ浅い奥羽本線干拓された八郎潟と遠くに男鹿半島を望む
ふたたび車窓に広がる広大な田園。干拓された八郎潟の先、遠くに見える男鹿半島。かつてここに、日本で2番目に大きい湖が広がっていた。その干拓が行われたのが自分の生まれる少し前だと知り、小学生ながら衝撃を受けたことが思い出される。

息吹きの気配の見えない、枯色の田園。自分の住む街では、もうすぐ桜も咲こうという頃。日本の広さ改めて感じつつ、春まだ浅い車窓を眺めるのでした。

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