ちょっとずつ夏の愉しみ北東北 ~ヤーヤドーに誘われて 2日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

ちょっとずつ夏の愉しみ北東北 ~ヤーヤドーに誘われて 2日目 ③~

8月上旬夏の弘前ホテルルートイン弘前駅前 旅の宿

1年ぶりとなる弘前の暑さに迎えられ、すっかり心も夏模様になったところで今宵の宿へと向かいます。今回は宿泊するのは、『ホテルルートイン弘前駅前』。その名の通り、ロータリーを挟んで駅の真正面という立地の良さ。

8月上旬夏の弘前ホテルルートイン弘前駅前シングルルーム客室
さすがはねぷた初日、多くの人で賑わうロビーでチェックインを終え自室へ。お部屋自体はコンパクトですが、通常のシングルよりも大きなベッドが置かれているのが嬉しいところ。

8月上旬夏の弘前ホテルルートイン弘前駅前客室から望む弘前駅と駅前ねぷた
窓の外は見事な弘前駅ビュー。遠くに連なる奥羽の山並みのうつくしさもさることながら、出陣を控えた駅前ねぷたを眺められるある意味一等地。

8月上旬夏の弘前土手町通に位置する石と肴地雷也弘前店
エアコンの効いた部屋でちょっとばかり小休止し、16時半過ぎに繁華街である土手町へと繰り出すことに。そこで大事な用事を済ませ、『石と肴地雷也弘前店』にお邪魔します。

8月上旬夏の弘前土手町通に位置する石と肴地雷也弘前店ホタテバター焼き
交差点の向かいにはお寿司をメインにした系列店もありますが、こちらのお店は石焼きを推しているそう。ということで一品目は、ほたてのバター焼きを注文。

熱々の石板に載せられ、ぐつぐつと沸きたつ貝汁。立ちのぼる良い香りに誘われ貝柱を頬張れば、しっかりとした旨味と程よい甘さ。こりっとした食感とより強い旨味が魅力の貝ひもや、エキスをまとった野菜が地酒を誘う味わいに。

8月上旬夏の弘前土手町通に位置する石と肴地雷也弘前店青森県産桜ユッケと嶽きみ天
冷たいビールを飲み干し、津軽の酒に切り替えつつメニューとにらめっこ。あれこれ魅力的な品々の中から選んだ2品が運ばれてきます。

まずは、この時期に弘前へと来たら絶対食べたい嶽きみ天。さくっとした衣に隠された実はぷちっと弾け、途端に濃醇な甘さが口中を駆け巡る。本当に、何度食べても嶽きみの旨さには驚愕する。他とは一線を画す味わいに、嘘みたいな甘さだなとそう独り呟かずにはいられない。

青森県産の馬肉を使用したという桜ユッケは、しっとりとした身質と赤身の濃さが魅惑の旨さ。熊本や信州、会津が有名ですが、青森は全国第3位の生産量を誇る馬大国なのです。

8月上旬夏の弘前土手町通に位置する石と肴地雷也弘前店深浦産剣先イカの刺身
おいしい馬肉ユッケに触発され、今度は海の幸をと頼んだ深浦産の剣先イカお造り。艶々の身は思った以上に柔らかく、口の中で解けると同時にまったり広がる豊かな甘味と旨味。げそやエンペラは身とは異なる食感と味わいが印象深く、剣先イカってこんなにおいしいものだったのかと思わずびっくり。

8月上旬夏の弘前土手町通に位置する石と肴地雷也弘前店シラウオの柳川
いや、これはまずいぞ。青森の地酒も揃い、あれもこれもと食べて飲んでしたくなる。でももうすぐ、ねぷたが出陣する時間。何で〆ようかと悩んだ結果、シラウオの柳川に決定。

火の付いたコンロと陶板で、卓上で仕上げる柳川。好みの加減に固まったところで、熱々をひと口。濃いめの味付けを想像していましたが、だしの効いた薄味仕立て。しらうおの淡白な風味とねぎの香りを優しい玉子が包み込み、なんとも穏やかな滋味が舌から腹へと沁みてゆく。

はふはふ言いながら、津軽の酒としらうおの幸せな往復。時間の経過で玉子の加減が変化してゆくのも愉しく、最後はほっくりとした凝縮感ある味わいに。結局お酒をおかわりし、大満足で祭りの前の景気付けを完成させます。

8月上旬夏の弘前今年もついに始まった津軽の熱い夜弘前ねぷた開幕
定番の郷土料理とはまた違った雰囲気で、青森の恵みを愉しむ宴。調子付いて危うく遅刻しそうになりましたが、ねぷたの出陣前になんとか着席。

今年もFMアップルウェーブ前で配られる県外客向け観覧席の整理券を無事入手。今年は17時前に着いたらすでに列ができており、年々認知度が上がっている様子。だから本当は、内緒にしておきたいんだよな。

8月上旬夏の弘前津軽情っ張り大太鼓の重厚な音色でねぷたの幕が開ける
日中の灼熱はどこへやら、涼風に吹かれつつ待つことしばし。遠くからだんだんと近づいてくる、あの音色。もうすぐだ。あと少しで、今年も逢える。その期待が最高潮に達したとき、弘前の熱い夜が幕を開ける。

8月上旬夏の弘前暮れなずむ空を行く鮮烈なねぷたの灯り
津軽情っ張り大太鼓の重厚な響きに先導され、ついに姿を現したねぷた。暮れなずむ空の色、そこを厳かにゆく鮮烈な灯りの隊列。何度味わっても、この瞬間は鳥肌が立つ。

8月上旬夏の弘前暮れなずむ空に映える鮮やかな見送り絵と袖絵
12年前の6月、初めてきちんと旅した津軽。せっかく弘前に来たのだからと立ち寄った、津軽藩ねぷた村。あの出逢いがなければ、もしかしたら全く違う感覚で生きていたかもしれない。

8月上旬夏の弘前子供の頃からの馴染み深さを感じさせる子供たちの描いたねぷた絵
あの空間で恋に落ち、その夏には初めてのねぷた祭りへ。それ以来、毎回欠かさずこうして帰ってくることができている。年々宿も取りにくくなっているけれど、万難を排してでもどうしても逢いたい夏がある。

8月上旬夏の弘前夜空に輝く子供たちのねぷた絵
あれからもう、干支ひと回りか。縁もゆかりもない僕ですら、もうねぷたがないと生きられぬ体になってしまった。だから地元の人々にとっては、それはもう想像できぬほど暮らしの一部なのだろう。子供たちの描いた立派なねぷた絵に、みんなの祭りへの想いが滲み出る。

8月上旬夏の弘前深まりゆく暮れ空に浮かび上がる幽玄なねぷたの灯り
諸々あって2年間お休みしたけれど、再びこうして戻ってきてくれた弘前の熱い夜。深みを増してゆく暮れ空を、焦がさんとばかりに鮮烈な灯りを放つねぷたの幽玄。

8月上旬夏の弘前幻想的な世界観に彩られた袖絵
見る者の心を射抜く力を持つ、灯りの洪水。その幻想的な空気感を一層深めるのは、人々の奏でるお囃子に掛け声。勇壮でありながら、どことなく情緒に訴えかける旋律。それに合わせて通りを満たす、力強いヤーヤドー。

ついに始まった。今年も無事に、再会できた。力強さや華やかさの中に、いくばくかの憂いを秘める津軽の火祭り。その何とも言えぬ世界観に触れ、今年もこうして逢えることの悦びを嚙みしめるのでした。

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