乗り鉄復活!ツーデーパスで行く夏の列車旅 ~2日目 ②~

芝生と諏訪湖

この旅初めての観光らしい観光。上諏訪駅から諏訪湖へと向かいます。諏訪湖までは歩いて10分も掛からない距離。

本当は諏訪大社へ行きたかったのですが、巡回バスに乗らないと行けない距離で、温泉にも入りたいと思うとかなり忙しい行程になってしまいます。今回はのんびりがテーマの旅行なので、残念ながら諏訪大社はあきらめることに。

諏訪湖

目の前に広がる大きな湖。こんな山の中に、よくこうも大きな湖ができたな、と感心してしまいます。周りを見渡せば山、山、山。きれいな盆地地形です。雲はちょっと多目ですが、湖を渡ってくる風が清々しい。

諏訪湖間欠泉センター足湯

上諏訪には有名な間欠泉があり、それが吹き上がる様子を見てみたかったのですが、時間がうまく合わずこちらも断念。しかし、せっかく間欠泉センターまで足をのばしたので、足湯に入っていくことにします。

諏訪湖を眺めながらの足湯

上諏訪の豊富な湯量を活かし、きれいな温泉がたっぷりと満たされています。ぼんやりと諏訪湖を眺めながらしばらく浸かれば、うっすらと額に汗が。湖からはその火照った体を冷ましてくれる風が吹いてきます。こうやって何もせずただぼんやりするのもたまにはいいものです。

片倉館入口

諏訪湖を離れ、すぐそばに建つ温泉施設、『片倉館』を訪ねます。ここはずっと来てみたかった温泉。千人風呂と呼ばれる歴史ある浴場があります。

池と立派な建物の片倉館

入り口を入ると、大きな池と歴史を感じさせる建物が迎えてくれます。ここができたのが昭和3年。もう80年以上、温泉施設として親しまれています。

諏訪片倉館会館棟

こちらは会館棟と呼ばれる建物。個性的な表情をしています。

この片倉館は、地元の財閥が地元の方の厚生や社交の場を提供しようと造ったもの。私財を投げ打って地元の為にその儲けを還元しようという考え方は、企業の社会的貢献の鏡といえます。そのすばらしい想いが今も伝わるからこそ、今なお現役で大切に使われているのでしょう。

上諏訪温泉重要文化財片倉館

味のある、独特な雰囲気を持つ外観をゆっくりと楽しみ、いざ中へ。楽しみにしていた温泉が待っています。入館料は500円。これで好きなだけ温泉と休憩室が利用できます。この安さで、古い建物を維持していくことができるのかなと、余計な心配をしてしまいました。

上諏訪温泉重要文化財片倉館重厚な脱衣所入口

脱衣所からして歴史を感じさせる造り。脱衣所とは思えない重厚な雰囲気で、どちらかといえば古い銀行や役所の一室、といった趣。このような雰囲気の中で温泉に入るのは初めての体験です。

中に入ると、大きな浴槽に高い天井が印象的な大浴場が広がります。幾何学模様のブロック壁や、きれいなステンドグラス等の装飾が施されており、深い浴槽に浸かりながら周りを見渡せば、なんとも不思議な感覚に襲われます。

浴槽はかなり深めに造られており、底には砂利が敷かれています。立って歩行浴すると、足の裏の刺激が心地いい。源泉掛け流し、とはいきませんが、豊富なお湯がどんどん注がれており、室内の雰囲気と相まって贅沢な気分に浸ることができます。

上諏訪温泉重要文化財片倉館美しい窓

保温効果抜群の温泉でたっぷりと汗を流した後は、2階の休憩室で体を休めることにします。2階へと続く階段のホールには大きな窓が設えられており、外からの光が燦々と注ぎます。

上諏訪温泉重要文化財片倉館美しい曲線を描く階段

曲線を描く階段の手すりが、美しく鈍い光を放っています。一般の人に現役として利用され続けながら、ここまで美しい姿のまま維持されていることに感動してしまいます。

きれいなまま保存しようと、見学させるだけの建物はたくさんありますが、このように建物を使用しながら保存していくには、費用や労力といった面で、かなり大変なことではないでしょうか。利用する側も大切に利用しなければいけません。

上諏訪温泉重要文化財片倉館日帰り温泉とは思えない重厚な休憩室

休憩所となる大広間にも、たくさんの美しい装飾が施されており、テーブルが並んでいなければ、まさか温泉の大広間とは思えない様な雰囲気を持っています。

小樽や横浜等で、このような洋館の中を見たことは何度もありますが、まさかそれに匹敵するような建物で湯上りを過ごすことになるとは思っても見ませんでした。それほど美しく立派で、歴史を感じさせる室内。

上諏訪温泉重要文化財片倉館重厚な休憩室で湯上がりのビールといなご

贅沢な空間で楽しむビールはまた格別。いつも以上に美味しく感じます。そして、ビールのお供は長野名物いなごの佃煮。

僕は3年程前までいなごを食べるなんて考えられませんでした。虫嫌いの僕にとっては虫を食べるなんて論外、絶対に無理だと思っていました。

ですが、長野の鹿教湯温泉に泊まった際、旅館の夕食に出てきてしまったのです。小さい頃から食べ物を残すことに罪悪感を感じる僕は、残すこともままならず、仕方なく意を決して口に入れてみました。

そうしたらビックリ!思いのほか美味だったのです。それ以来、すっかりいなごの佃煮の大ファンに。味としては小魚の佃煮にかなり似ていますが、魚臭さや独特の苦味、小骨が無い分こちらの方がよっぽど食べやすい。

食感も変な固さや柔らかさがなく、本当に小魚に似ています。噛んでよく味わえば、ほのかに、本当にほのかに若草の爽やかな香りを感じることができ、小魚の佃煮なんて目じゃありません。

僕はもともと好き嫌いがほとんど無い方でしたが、このいなごの一件で、食わず嫌いはもったいないと痛感しました。あれほど見た目で敬遠していたイナゴですが、今では食べずに死ななくて良かったと思うほどの好物になってしまいました。

上諏訪温泉重要文化財片倉館重厚な休憩室で過ごす湯上がり

好物に舌鼓を打ち、至福のときを満喫します。開け放たれた窓からは、信州の爽やかな風。温泉で火照った体を優しく冷ましてくれます。そして奥に見える洋館建築。

温泉やイナゴといった和の文化を、洋風の建物に囲まれながら楽しむという、不思議な感覚。この言い表せない感覚と贅沢さは、唯一無二、ここでしか味わえないものです。本当にここへ来て良かった。期待していた以上でした。このためだけに諏訪湖へ来てもいいと思える程。

残り少ない諏訪湖での時間を、この片倉館でゆっくりと過ごします。

乗り鉄復活!ツーデーパスで行く夏の列車旅
無骨な表情の国鉄型115系信州色
2009.8 茨城/福島/栃木/山梨/長野
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