乗り鉄復活!ツーデーパスで行く夏の列車旅 ~2日目 ③~

上諏訪駅

片倉館で贅沢な時間を満喫し、いよいよ帰る時間に。今までたくさん列車に乗り継いできましたが、後は帰路を残すのみとなりました。

上諏訪駅での115系

上諏訪駅からは、高尾まで直通の列車を選んで乗車。これでうちまで乗り換えは一回で済む、という計算でした。

ところが、到着した列車に乗り込むと、登山帰りの人、人、人。どのボックスも埋まっており、やっと通路側の席を確保したのでした。意外と鈍行で旅する人もいるものです。そんなことするのは鉄道マニアだけかと思ってました。

中央本線車内で真澄ワンカップ

上諏訪駅の売店では、もちろんお酒を購入。2日間の旅の思い出を、お酒のお供にして列車旅を楽しみます。

まずは長野の銘酒、真澄。癖が無く、何度飲んでも飽きないお酒です。このワンカップには仕掛けがしており、飲み進めていくと、カップの内側にアルプス連邦の山並みが現れるようになっています。旅情を感じさせる粋な計らいに、ちょっとだけ嬉しくなります。

列車用白ワインミニボトル

山梨県のお隣、長野県もワインの産地なので、こんな列車旅用ワインが売っていました。石和で買ったワンカップ式ではなく、ボトルにかぶせてあるキャップが、そのままグラスになるというもの。こちらの方が少しだけ優雅な気分で楽しめます。味もこちらの方がしっかりしており、フルーティーで美味しい白ワインでした。

甲府駅ビル

車内は甲府へと近付いても空く様子が無く、むしろ石和温泉の花火大会へ向かう人で混む傾向に。せっかく高尾まで乗り換え無しの列車を選んだのですが、混雑した車内で旅の最後を過ごすのはどうにも嫌だ、と思い、急遽甲府駅で下車。

調べれば、約30分後には始発の立川行があるそうで、これなら間違いなくゆったり座っていけます。さらに通勤電車にも長距離乗らずに済むので、実はいい決断でした。こんな風に突如計画を変更できるのも、指定を受けていない鈍行列車の旅ならでは。

115系信州色

定刻通りに、折り返し始発の立川行普通列車が入線してきました。これが今回の旅の、正真正銘最後の普通列車。僕の日常に程近い立川まで連れて行ってくれる列車です。

駅弁甲府駅のおべんとう

予定外の甲府駅での下車で、早めの夕飯を仕入れることができました。購入したのは、「甲府駅のおべんとう」。その名の通り、甲府駅限定の幕の内です。調製は、元気甲斐で有名な駅弁屋さんの丸政です。

掛け紙には太宰治の小説の一節が書かれており、甲府は盆地に位置しながら、昔からハイカラで、文化のしみとおっている街だと謳われています。確かに、日本のワインのふるさと。相当ハイカラだったことでしょう。

駅弁甲府駅のおべんとう中身

内容は焼き鮭に煮物、かき揚げに玉子焼といったオーソドックスなおかずが中心。それぞれの味付けが絶妙で、幕の内があまり好きではない僕でも、大満足の味。

そして特筆すべきは、右下に鎮座する、ほうとうのグラタン。クリーミーなホワイトソースの中に、ラザニアを思わせるようなほうとうが入っています。トッピングのカボチャとの相性もバッチリ。

このグラタン、デパ地下で売ってたら買いたい位のレベルです。掛け紙の「ハイカラ」という表現に恥じない味。

だいぶ前に元気甲斐で一世を風靡した丸政、さすがです。山梨の駅弁に美味しいものが多いのは、こちらが調製しているものが多いからなのでしょう。

駅弁のお供に赤ワインミニボトル

おいしい駅弁を楽しみながら、おいしい赤ワインを楽しみます。ボディーを感じられる赤ワインに、お弁当のグラタンがピッタリ合います。

なんだか、ここだけ列車内ではなく、お手軽なビストロにでも来たかのよう。やっぱり、空いた電車を求めて乗り換えて大正解でした。本当に優雅な時間が流れて行きます。

赤ワインを片手に車窓のブドウ畑を見る

車窓へと目を移せば、広がる葡萄畑。今度は、ゆっくりと山梨のワイナリー巡りにも来てみたいものです。酒蔵見学の経験はありますが、ワイナリー見学は小学校の時が最後。お酒が飲めるようになった今、どうしても行ってみたい場所の一つです。

中央本線はいよいよ甲府盆地の縁へ

各駅にのんびり停車しながらも、中央本線は着実に立川へと近付いていきます。見えてきたのは甲府盆地の縁。

鈍行の旅は、現実への温度差がゆっくりと埋まっていくのが心地いい。流れ行く景色を眺め、日常へと戻るだけの心づもりを、ゆっくりと整えることができます。

甲信越を抜けて関東へ

大月を越えて、いくつもトンネルをくぐっていきます。関東と甲信越を隔てる山をもぐるトンネル。それを一つ越えるごとに、ゆっくりと現実の世界へと近付いて行きます。

トンネルの闇に包まれる115系車内

トンネルに入り、まっくらな中蛍光灯が煌々と灯る車内を眺め、この旅を振り返ります。これを抜ければ神奈川県。もう、関東へと入ります。

赤ワインのほろ酔いがだんだんと醒めていくと同時に、旅という非日常の世界感も、だんだんと薄れていきます。

でも、それでいいんです。この感覚、旅の非日常というものがあるからこそ、また次の旅へと行きたくなるのです。忙しく東京へと戻るいつもの旅行と違い、今回はそんなことをじっくり考えてしまいました。

立川駅駅名標

ついに列車の終着、立川駅に到着。ここからは人の流れに逆らわず、いつも通りの日常の中の人とならなければなりません。のんびりした車内を見渡し、心構えをしてホームへと降り立ちます。ここからは、いつもの中央線が僕をいつもの暮らしへと運んでくれます。

列車旅を終えて荻窪到着

2日間、列車に乗りっぱなしだった長い旅ももう終わり。昨日の早朝に出発した、荻窪駅へと帰還しました。

こんな、言わば目的のほとんど無い旅行なんて、本当に久しぶりでした。ひたすら列車に乗るだけ。高校生の頃は本当にそれだけでした。

でもすっかり大人になった今、同じような行程を旅しても、思うものは全く違う。それだけ自分も変わった、ということを認識できた、そんな旅でした。

時間に追われる生活を送らざるを得ない人こそ、たまには無駄な時間を過ごしてみるのも、いいかもしれません。

乗り鉄復活!ツーデーパスで行く夏の列車旅
無骨な表情の国鉄型115系信州色
2009.8 茨城/福島/栃木/山梨/長野
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