GW 春へと続く北海路 ~忘れえぬ航跡 3日目 ②~

太平洋フェリーきそ名古屋港から21時間以上かけて仙台港へ寄港

名古屋港を出港しおよそ21時間、16時過ぎにきそは寄港地である仙台港へとゆっくり入港。僕もここで一時下船し、港周辺で買い出しをすることに。ちなみに一時下船時は、事前に申請書を受付に提出する必要があるため、混雑しない早めの時間に済ませておくと便利です。

仙台港フェリーターミナルボーディングブリッジから振り返る太平洋フェリーきそ
仙台港で下船する人の波に紛れ、僕も仙台の地へと一時上陸。長い長いボーディングブリッジから振り返り、眺めるきそ。よくもまあこんな巨大な建造物が海原を越えて名古屋からやってきたものだと、船のもつスケール感の違いを今一度強く実感します。

太平洋フェリーきそ仙台港一時下船時に焼肉・冷麺ヤマト多賀城店
仙台で過ごせる時間は2時間程度。市内へ向かうには少々時間が足りないため、一時上陸者の多くはは付近にあるアウトレットかイオンへと向かいます。同じく僕も、今夜のお供と翌日の朝食を買うためイオンへ。

と、その途中、いつも盛岡で気になっていた『焼肉・冷麺ヤマト』を発見。盛岡駅周辺にはお店がないため、いつもバスの車窓から指をくわえて眺めていました。ということで、今夜の晩酌は軽めに設定。イオンで買い出しを終え、念願のヤマトで少々早めの夕飯をとります。

太平洋フェリーきそ仙台港一時上陸時に焼肉・冷麺ヤマトでヤマト温麺を
入店時は冷麺を食べる!と意気込んでいたのですが、メニューを眺めていると見るからに旨辛そうな一品を発見。これは!と思い、急遽ヤマト温麺を注文することに。

ビール片手に待つことしばし、お待ちかねのヤマト温麺が到着。運ばれてきた瞬間から、鼻をくすぐる良い香りと目を悦ばせる旨そうな赤さ。熱々のスープを掬い上げ、早速ひと口味わいます。

あぁ、染みる・・・。旨いなぁ。見た目ほど辛くはなく、牛ベースのスープの旨味がふわっと広がります。そこにきりっといいアクセントを添える、適度な辛味。たくさんの香味野菜と溶き卵が、より一層味わいを深いものにしています。

続いて麺をひと口。盛岡冷麺と同じ麺を使用しており、熱々の状態となった麺は冷麺とは全く違った感覚に。あの独特な弾力はありつつも、よりしなやかに、より絡みつくような食感に変化。つるしこの冷麺もさることながら、唯一無二の食感を醸す温麺も最高のひと言。

太平洋フェリーきそ仙台港一時上陸を終えて船へと戻る
旨かった!本当に旨かった!!熱々旨辛の温麺を平らげ、満足感に包まれつつ港へと戻ります。実は僕、子供の頃から冷麺温麺ファン。三鷹駅近くに美味しい焼肉屋さんがあり、よく塩味の温麺を食べていたことを思い出します。

久々に味わった魅惑の食感の余韻を抱きつつ、眺めるきそのビルのような巨体。この船が、僕をさらに北へと連れて行ってくれる。暮れ始めた空に浮かぶ巨大船は灯りに彩られ、その威厳と存在を一層強く感じさせるよう。

太平洋フェリーきそ仙台港一時上陸時にイオンで買った川かれいとつぶ貝の刺身と地酒たち
一時下船の乗客も、再び船内へと戻れるのは仙台港から乗船する人々と同じタイミング。待合室で乗船開始時刻までしばらく待ち、再び慣れ親しんだきそへと乗り込みます。

先ほど温麺で大汗をかいたため大浴場でさっぱりとし、6デッキのソファーで晩酌タイムを始めます。今夜のお供は、宮城県の七ヶ浜産のお刺身2種。

川かれいは初めて食べる魚ですが、淡白ながらしっかりとした白身の弾力があり上品な美味しさ。つぶ貝も生のものだけあり、適度なコリコリ感と甘味、磯の香がたまらない。

それらの地魚に合わせるのは、地元宮城のお酒たち。鳴瀬川特別純米ワンカップ、蔵王特別純米酒、そして澤乃泉特別純米ワンカップ。どれも宮城を訪れた際によく飲む、お気に入りのお酒たち。

太平洋フェリーきそ仙台港一時上陸で購入した鐘崎の大漁旗と伊達揚げ
そしてやはり、宮城の酒に合わせたいのが笹かま。僕のお気に入りである鐘崎の大漁旗は、卵白やでんぷんを使用していないにもかかわらず、しっかりとした弾力としなやかさ、それでいてくちどけの良さが非常に美味。

そんな鉄板の旨さを誇る鐘崎ですが、今回伊達揚げという新しい商品を発見。大漁旗と同じくつなぎを使わない肉厚のすり身を揚げたもので、油のコクとちょっとした甘さが絶品。仙台味噌も隠し味として加えられているようで、揚げたことによる香ばしさが一層際立ちます。

太平洋フェリーきそ晩酌をしながら漆黒の船窓を愛でる
ヤマト温麺に旨い刺身、お気に入りの鐘崎のかまぼこと、短いながらも宮城を大満喫。いつしか船は出港し、いよいよ北の大地へと舵を切ります。

宮城の地酒と味に酔いしれつつ愛でる、漆黒の船窓。今夜は昨日とは打って変わって、揺れの少ない静かな航海。床下から伝わるディーゼルの響きに心を通わせ、建築物のような巨大な移動手段で過ごす夜をじんわりと噛みしめるのでした。