GW 春へと続く北海路 ~忘れえぬ航跡 6日目 ②~

道南バス高速エアポート号登別温泉足湯入口行き

多くの旅客が行き交う新千歳空港を後にし、『道南バス』の高速エアポート号に乗車します。今宵の宿はカルルス温泉。まずはその玄関口である登別へと向かいます。

道南バス高速エアポート号車窓に広がる道央道沿いの広大な緑
バスは新千歳空港インターより高速に入り、雄大な車窓の広がる道央道をひた走ります。苫小牧上陸時には春まだ浅いといった雰囲気でしたが、視界を染める柔らかな緑が本格的な春の到来を告げるかのようにか輝きます。

道南バス高速エアポート号車窓から望む乳牛たち
山腹に山桜が散らばるうららかな車窓を楽しんでいると、車窓には乳牛の姿がちらほらと。のんびりと餌を食べるその姿からは、ようやく雪が解け暖かくなったという牛たちの歓びが感じられるよう。

道南バス高速エアポート号車窓から望む春の青い噴火湾
バスはさらに西へと進み、いつしか遠くに広がる太平洋が。枯色のなか萌える若葉の緑と、雄大に広がる海の青。この胸のすくような眺めは、高い場所を走る道央道ならではの景色。

ゴールデンウイークの登別温泉バスターミナル
新千歳空港から揺られること1時間ちょっと、登別温泉バスターミナルに到着。ターミナルは温泉街の南端に位置し、ここから山へと向かって大型のホテルがいくつも並びます。

登別温泉街に咲く満開の桜
登別は今まさに桜の時期真っ盛り。温泉街には桜が点在し、観光客の目を愉しませてくれるように艶やかに咲き乱れます。僕はこれが今年二度目の桜。こうして自宅から遠く離れた地で味わう、再びの春。桜前線を追いかけて旅する人の気持ちが少しだけ分かるよう。

ゴールデンウイークの登別温泉街
飲食店やお土産屋さんの並ぶ登別温泉街。狭い車道沿いのお店には多くの観光客が詰めかけ、さすがは連休中といった賑わいを見せています。登別を訪れるのは11年ぶり。久々に味わう街並みと硫黄の香りに、時の流れの速さを噛みしめます。

ゴールデンウイークの登別温泉湯澤神社
少し汗ばむほどの陽気の中のんびりと歩いていると、大型ホテルである第一滝本館の向かいに赤い鳥居を発見。美しい桜に誘われるように、湯澤神社へとお参りすることに。

登別温泉湯澤神社本殿を彩る満開の桜
登別温泉を開拓した滝本金蔵が創ったという湯澤神社。登別開湯以来、160年以上もこの地で温泉街の賑わいを見守り続けています。そんなお社に、久方ぶりに再びこの地を訪れられたことのお礼を伝えます。

カルルス温泉鈴木旅館
賑わう温泉街をターミナルまで戻り、『道南バス』のカルルス温泉行きに乗車します。ちなみにこの路線、非常に本数が少ないので要注意。

路線バスに揺られること20分、全国的にも有名なカルルス温泉に到着。その知名度とは裏腹に、数件の宿の並ぶ温泉街はひっそりとした雰囲気。登別から少し車を走らせただけで、この秘湯感。古くから療養泉として重ねてきた歴史が感じられるよう。

その数軒の旅館の中で、今回お世話になるのは川沿いに佇む『鈴木旅館』。鄙びた佇まいもさることながら、後ほどご紹介する味わい深い湯屋に惹かれカルルス温泉への宿泊を決めました。

カルルス温泉鈴木旅館客室
チェックインを済ませ、部屋へと向かいます。窓から陽射しが流れ込み、落ち着いた雰囲気の和室を明るく照らします。

カルルス温泉鈴木旅館卓球台のある廊下
早速浴衣に着替え、旅の汗を流すために大浴場へ。その道中には、卓球台の置かれた渋い廊下が。いい意味で飾り気のない、この風情。歓楽目的ではない昔ながらの温泉場の姿を、現代へと伝えているかのよう。

カルルス温泉鈴木旅館湯上りに冷たいクラシックを
広い浴場でカルルスの湯を味わい、湯上りに喉へと流す冷たいクラシック。窓の外からは川のせせらぎが聞こえ、その音がより一層の爽快感を届けます。

カルルス温泉鈴木旅館夕食
二度目の湯浴みを終えお腹もすいたところで、夕食の時間に。食卓には素朴な手作りの味が並びます。お刺身や煮物、塩鱈にお鍋。派手さはありませんがどれも美味しく、ここにも古くからの湯治場の風情というものが宿っているよう。

カルルス温泉鈴木旅館夜のお供に北の錦特別純米酒
素朴ながらほっとするような夕食を味わい、部屋へと戻りあとはお酒とお湯に酔う時間。今宵の友にと選んだのは、栗山町は小林酒造の北の錦特別純米酒。とろりと広がるお米の旨味と甘さが優しい、穏やかな印象の美味しいお酒。

カルルス温泉鈴木旅館夜の大浴場
湯けむりに包まれる、夜の大浴場。大きな3つの湯舟にはそれぞれ温度の違う源泉が惜しげもなく掛け流され、湯屋には独特のお湯の香りが濃厚に漂います。

開湯以来120年以上も湯治療養として愛されてきたカルルス温泉。その名はチェコのカルルスバード温泉に泉質が似ているということで付けられたようで、北海道のカタカナ地名によくあるアイヌ語由来のものではないのだそう。

肝心の泉質は、無色透明の単純温泉。ですが芒硝を多く含んでいるそうで、お湯に浸かると体の芯へと向かいじんわりと力が伝わるような不思議な浴感。刺激は少ないながら温まり方はものすごく、湯上り後もしばらく汗が引かないほど。

視界を白く染める湯けむりと、鼻をくすぐる湯の香り。湯屋にはお湯の落ちる音だけが響き渡り、娯楽色を一切感じさせない正統派の温泉というものを体現したかのような荘厳さすら感じさせる。

やっぱりここにして良かった。古くから連綿と受け継がれてきた湯治場の風情は、湯屋に料理に環境にと、全てにおいて滲み出てくるかのよう。飾らない素朴な温泉場。あの登別のすぐ近くに、こんなところがあったなんて。新たに出逢えた北の大地の恵みに包まれ、静かな夜は更けてゆくのでした。

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GW 春へと続く北海路 ~忘れえぬ航跡~
朝日に輝く新日本海フェリーらいらっくのデッキ
2019.4-5 愛知/宮城/北海道/新潟
旅行記へ
●1・2日目(東京⇒名古屋⇒犬山⇒太平洋フェリー)
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●3日目(太平洋フェリー)
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●4日目(太平洋フェリー⇒苫小牧⇒丸駒温泉)
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5日目(丸駒温泉旅館滞在)
●6日目 (丸駒温泉⇒カルルス温泉)
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●7日目 (カルルス温泉⇒登別⇒新日本海フェリー)
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●8日目 (新日本海フェリー⇒新潟⇒東京)
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