長野駅から幼なじみの車両に揺られ、眺望を楽しむこと約45分。長野電鉄の終点である湯田中駅に到着。この駅では列車が到着すると「美わしの志賀高原」のレコードが流され、降りてくる乗客たちをお出迎え。このレトロな駅舎とともに、湯田中まで来たという気分を盛り上げます。
味のある駅舎に別れを告げ、湯田中の温泉街へと歩き始めます。その前にもう一度、大好きなHiSEにお別れを。この車両でここへ来るのも4度目。今回もいい旅を本当にありがとう。また乗りに来る日まで、元気で頑張って!
現駅舎も昭和30年築。60年以上の時を刻んだレトロな味わい深さがありますが、反対側に位置するこの駅舎はこの路線の開業と同時に建てられた昭和2年築のもの。90年前とは思えないモダンな山小屋風の旧駅舎は、今は楓の館となづけられ休憩所やイベントスペースとして使われています。
今宵の宿のある渋温泉までは、駅からバスに乗ればあっという間。ですが折角の春旅、花に包まれた湯田中の温泉街を抜けて歩いていくことに。麓では終わりかけた桜も、ここ志賀高原の入口では今がまさに見頃。石造りの鳥居を満開の桜が彩ります。
湯田中の温泉街の突き当りには、こちらも桜咲くお寺が。ソメイヨシノと枝垂れ、ふたつの桜がその美しさを競うかのように咲き誇ります。
湯田中温泉を抜け、鄙びた安代温泉の街を通りすぎ、ついに渋温泉に到着。10年前、テレビでその風情を目の当たりにしたこの湯の街。初めて訪れて以来、気づけば4度目の訪問。桜咲く石畳は、この時期ならではの湯の街の風情。
志賀高原の麓に広がる渋の温泉街。緩やかな上り坂には石畳風の舗装が施され、緩やかなカーブに連なる木造旅館がとても情緒的。派手さはないが昔ながらの風情が残る。この世界感を味わいたく、何度も来てしまうのです。
味わい深い湯の街をのんびり歩けば、もうもうと湯気を上げる源泉井戸の姿も。渋は源泉の数も豊富で、さまざまな泉質が味わえるのも特長。名物の外湯めぐりでは、9種のお湯を味わえます。
僕も2度ほど外湯にチャレンジしました。が、いずれも失敗。というのもこの湯気から見ても分かるように、渋のお湯はとても熱い。一番有名な大湯はなんとか入れるレベルですが、他の外湯は足さえ浸けられないほど熱いお湯がほとんど。
外湯の並ぶ道の他にも、渋の街を縦横無尽に走る路地。気が向いたら適当な路地に入ってみるのも、この街の楽しい歩き方のひとつ。先の見えない細い石畳は、どこへ連れて行ってくれるのかというワクワク感を掻き立てます。
探検気分で進む路地裏。両側に迫る建物たちは、旅館やお店から民家までその用途は様々。観光地化を免れ暮らしと温泉が共存してきた歴史が、このような路地裏に凝縮されているかのよう。
今回は外湯めぐりはせず旅館でのんびりの予定。明るいうちの渋散策をのんびり楽しみつつ、今宵の宿へと向かうのでした。
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