絶品の牛たんに舌鼓を打ち、久方ぶりに仙台の街をのんびり回ってみることに。市街地に点在するスポットをぐるりと結ぶ『るーぷる仙台』の一日券を買い、まずは伊達政宗公ゆかりの地を目指します。
レトロ調バスに揺られること約15分、瑞鳳殿前バス停で下車。バス停の横から続くゆるい坂をゆっくりと登り、豊かな緑に覆われる参道へ。
石段の両側には、天を目指すように連なる杉並木。あたりを包む凛とした空気感と静けさに、ここが仙台の市街地に位置しているということを忘れてしまいそう。
ここ瑞鳳殿は、仙台藩祖である伊達政宗公が眠る場所。その入口を護るように建つ涅槃門は、朱と黒、そこに映える金の対比が印象的。
極彩色に彩られ、輝きと重厚感を放つ本殿。国宝にも指定されていた当時の建物は残念ながら戦火で失われてしまいましたが、圧倒されるような迫力に往時の姿へと思いを馳せます。
全体を凛と引き締める黒、そこへ無数に散りばめられる極彩色。それらをまとめるかのように施された金の装飾の妙に、思わず息を呑んでしまう。
惜しくも戦災で焼失してしまった瑞鳳殿ですが、この青銅製龍頭彫刻瓦は災禍を逃れ焼け残った往時のものだそう。生みだされてから380年以上の時を経て、今なお政宗公を護るかのように眼力強く睨みを利かせます。
豪華絢爛な中にも凛々しさを感じさせる藩祖の霊屋に別れを告げ、すぐ近くに位置する感仙殿へ。こちらは二代藩主である伊達忠宗公の霊屋だそう。
その隣には、三代藩主伊達綱宗公の霊屋である善応殿が。このふたつは1985年に再建されたもので、これ以降の歴代藩主はこのような霊屋が建てられることはなかったそう。
この豪華絢爛さの中には、失われてしまった御廟を復活させようという仙台の人々の想いが詰まっているように思えて仕方がない。
震災の年以来、11年ぶりの再訪となった瑞鳳殿。その時に受けた感動そのままに、当時の想い出がよみがえる。記憶を呼び起こすような極彩色の余韻に包まれつつ、聳えるビル群に都会を感じながら下る緩やかな参道。
初めて仙台を訪れてから、あっという間の干支ひと回り。それ以来何度も訪れてはいるものの、こうしてのんびり市内を巡るのは久しぶり。次はどんな景色に出逢えるのだろう。そんな期待を胸に、るーぷるでの街巡りは更に続きます。
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