懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅 4日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅 4日目 ②~

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山城下城は爽快感溢れるリフトで 旅グルメ

17年ぶりとなる松山城のうつくしさにこころを打たれ、そろそろ次なる目的地へと向かうことに。行きはロープウェイで登りましたが、帰りは開放感あふれるリフトで下城することに。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山大街道電停から伊予鉄市内電車LRT超低床電車5000形で道後温泉へ
山裾から吹きあがる爽快な風を浴びること約6分、愉しい空中散歩を終え大街道電停へ。ここから伊予鉄の市内電車に乗車します。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉伊予鉄市内電車終点の道後温泉駅と展示中の坊っちゃん列車
車と並走するという路面電車ならではの車窓を愉しんでいると、12分で終点の道後温泉に到着。出迎えてくれるのは、洋館風のレトロな駅舎。明治時代に建てられた旧駅舎を改築する際、一部の建材を再利用して全く同じ外観で再現されたものだそう。

そして駅前には、松山名物の坊っちゃん列車。自転車で道後から市街へと移動中、背後から迫る音とともに姿を現した小さな汽車。信号待ちの最中、シュッシュッという蒸気音とかわいい汽笛を残して走り去る姿を見送ったことが懐かしい。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉駅前から道後温泉本館まで続くアーケード
あの日の想い出を噛みしめつつ、駅前からのびる商店街へ。アーケードの両側には飲食店やお土産屋さんのほか、食べ歩きできるお店もたくさん。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉本館の威厳溢れる佇まい
チェックアウト後と思しき人々で賑わう商店街を道なりに進んでゆくと、アーケードの途切れた正面に現れる『道後温泉本館』。御年131を迎えた威厳ある姿、その迫力には圧倒されるばかり。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉本館至るところに配されるシンボルマークの湯玉
玄関横の札場で入浴券を買い、いざ中へ。売店で貸しタオルを引き換え、17年ぶりとなる神の湯とのご対面。

飴色に鈍く光る脱衣所、その先に広がるのは石造りの浴場。白鷺の描かれた砥部焼の壁画が眼に飛び込み、その下の石造りの湯船には大きな湯釜から滔々と流される清らかな源泉。

深めの浴槽に廻らされた細い段差に腰掛け、じっくり噛みしめる湯の感触。無色透明のお湯はさらりとしており、体に負荷を感じぬ柔らかさ。しばらくすれば額から汗が玉のように落ちはじめ、その温まり方を実感する。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉本館柵に並ぶ白鷺の意匠
はぁ、いい湯だった。経てきた歴史を滲ませる脱衣所で汗を引かせ、落ち着いたところで外へ。肌をさらりと撫でてゆく風の心地よさを感じつつ、道後温泉本館の建築美を改めて見てゆくことに。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉本館玄関上の照明には白鷺がデザインされている
3千年の歴史をもち、日本三古泉のひとつにも数えられる道後温泉。この出湯は白鷺が発見したと伝えられ、様々なところに白鷺の意匠が散りばめられています。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉城大工が手掛けたという木造三階建の威風堂々たる道後温泉本館の佇まい
明治生まれのこの建物は、城大工が手掛けたものだそう。威風堂々たる木造三階建からは、優美さだけでは収まりきらぬ力強さのようなものがにじみ出る。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉本館北側にある玉の石
その北側には、滑らかな表面をもつ石が。かつて伊予を訪れた出雲の神が病にかかり、道後の湯に浸かったところたちまち元気になったそう。その喜びから少彦名命がこの石の上で舞ったという伝説が、この玉の石に残されています。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉本館破風が美しい軒とそれを彩る湯玉の意匠
先ほどの白鷺とともに、道後温泉のシンボルともいえるのが湯玉の意匠。玄関にも大きな湯玉が配されていましたが、建物や街には数え切れぬほどの数が至るところに描かれています。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉明治から大正、昭和と増築を重ねた道後温泉本館の複雑な建築美
明治時代の改築を皮切りに、大正、昭和と増築が重ねられた道後温泉本館。時代とともに姿を変えてきたこの建物は昨年、約6年に渡る大規模保存修理工事が完了。耐震補強も施され、この先も道後の象徴としてずっとずっと生きてゆくことだろう。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉松山鯛めし専門店秋嘉道後店
僕が木造建築を好きになるきっかけのひとつとなった道後温泉本館に別れを告げ、そろそろ昼食をとることに。愛媛に来たらやっぱり食べたいあれを求め、『秋嘉道後店』にお邪魔します。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉松山鯛めし専門店秋嘉道後店
道後の湯でたっぷり汗を掻いたので、まずは冷たいビールで乾杯。このすぐ近くの蔵元、水口酒造の醸す道後ビールのマドンナビールを頼みます。グラスに注げば、濃い琥珀色。ゴクリと飲めばふわっと広がる心地よい香ばしさと苦み、そしてほどよい甘味。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉松山鯛めし専門店秋嘉道後店宇和島鯛めし膳とせんざんき
おいしい地ビールを味わっていると、ほどなくして宇和島鯛めし膳と東予名物のせんざんきが到着。まずは熱々のせんざんきから。からっと揚げられた衣、そこからほとばしる肉汁。しっかりと漬け込まれた鶏の放つ旨さの洪水に、これはビールにもご飯にも最適解。

続いて、満を持しての宇和島鯛めしを。しょう油だれに落とされた生卵を溶きほぐし、鯛とともに適量の海藻を投入。おひつから熱々のご飯をよそい、具をのせたれをほどよく回しかけいざひと口。

うわぁ、やっぱり堪らんわこれ。鯛は新鮮でまったく臭みがなく、もっちりとした食感とともに広がる上品な脂と甘味が美味。卵のコクやまろやかさを宿すしょう油だれはその色味ほど濃くはなく、鯛や海藻の旨味も加わりご飯を最上級においしくしてくれる。

さくっと揚がった天ぷらを挟み、二杯目を。今度は食卓に置いてあった海苔も加え、さらに風味よく。半分ほど食べたところでとろろをかければ、これまたずるいと言わざるを得ない旨さに変化。

そして気になるのが、右上の桃色に華やぐ小鉢。味の付いたしらたきの上に載せられているのは、愛媛ではよく食されるという削りかまぼこ。ほどよく乾燥されたかまぼこは、噛めばしみじみと染み出す練り物の旨味が印象的。

どうやらご飯のおかわりもできるようだが、この後飛行機に乗るのを考えると満腹すぎるのもちょっと辛い。断腸の思いでこれが最後と決め、超贅沢な絶品卵かけご飯を思い残すことのないよう掻き込みます。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉お稲荷さんの隣に位置する道後温泉第四分湯場
東京で食べたいと思っても、決して味わえぬ南予の鯛めし。似たようなものは作れるかもしれないが、やはり瀬戸内の新鮮な鯛がなければ成立しない。

新鮮な鯛にこだわりの地元の卵なんて、そんなのもう反則だよな。そんな食後の余韻に浸りつつふらふら歩いていると、お稲荷さんの横になにやら小屋が。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉お稲荷さんの隣に位置する道後温泉第四分湯場中を覗くと勢いよく流れる複数の源泉が
中を覗くと、勢いよく流れる複数の源泉。高温から低温まで、豊富な源泉をもつ道後温泉。それらをこうしてうまく混ぜ合わせることにより、適温の状態で各施設へと分湯されています。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉駅引き上げ線で休む昔ながらのモハ50形51号
そのすぐ隣には、駅から続く引き上げ線。すっかり超低床電車が行き交うようになった市内線ですが、辛うじてまだ古き良き路面電車も残されています。誕生から74年、この先も元気で走り続けてほしいな。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉駅前から遠望する伊佐爾波神社
仲良く並走したモハ50形との再会を果たし、駅前方面へ。ロータリーからのびる道の先には、伊佐爾波神社の長い長い石段が。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後温泉駅前の坊ちゃんカラクリ時計
荘厳な八幡造りの記憶を手繰っていると、時刻は13時に。駅前の坊ちゃんカラクリ時計が動き出し、物語の世界観を演出。そういえば、坊ちゃんって読んだことないんだよな。今度の旅のお供にでもしようかな。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後湯築城のお堀が残る道後公園
続いて、すぐ近くに位置する道後公園へ。戦国時代、ここには湯築城というお城があったそう。このお堀をはじめ、今もなおその痕跡が残されています。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後湯築城跡道後公園を闊歩するアオサギ
外堀を渡り園内へと入ると、二羽の立派なアオサギが悠々と闊歩。近づいても飛んでゆくこともなく、堂々と歩む姿は野鳥とは思えぬ貫禄。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後湯築城跡道後公園の池に咲く可憐な睡蓮
かつての湯築城の内堀であった池には、可憐に咲く睡蓮の花が。明治時代に植物園として開園して以来、人々の憩いの場として愛され続けています。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後公園湯築城跡に遺る土塁
公園の南側は、昭和末期までは動物園として利用されていたそう。移転による閉園後に発掘調査が行われ、その結果を基に土塁や池、排水溝などが復元されています。

5月中旬の瀬戸内17年ぶりとなる松山道後公園湯築城跡復元された武家屋敷
中世まで、伊予の中心であったという湯築城。園内には、当時の工法を用いて復元されたという武家屋敷も。

松山城から道後の街へ。17年ぶりに訪れ、改めて再確認した懐かしき想い出と新たな表情。旅を重ねるからこその愉しみを満喫し、またの再訪を心の底から誓うのでした。

懐かしく、そして未知なる瀬戸内へ。~讃備芸予を渡る旅~
5月中旬の瀬戸内17年ぶりのしまなみ海道高速バスしまなみライナー車窓から望む完成当時世界最大の斜張橋である多々羅大橋
2025.5 香川/岡山/広島/愛媛
旅行記へ
1日目(東京⇒高松)
●2日目(高松⇒琴平⇒岡山⇒倉敷)
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●3日目(倉敷⇒今治⇒松山)
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●4日目(松山⇒東京)
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