栗駒蔵王、名残り夏。~金銀乳白いで湯旅 5日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

栗駒蔵王、名残り夏。~金銀乳白いで湯旅 5日目 ①~

9月上旬晩夏の鎌先温泉最上屋旅館で迎える旅の最後の朝 旅の宿

鎌先温泉で迎える、この旅最後の朝。3つの宿を巡り4泊したというのに、あっという間にこのときを迎えてしまう。そう思えるのは、今回の旅も充実していたからこそ。

9月上旬晩夏の鎌先温泉最上屋旅館朝食
黄金に染まる湯ですっきりと目を覚まし、お待ちかねの朝食を。食卓にはおいしそうな和の品々が並びます。

こんがりパリッと焼かれた鮭、手作りの優しさに溢れるほんのり甘い玉子焼き。これまた穏やかな味付けの切り干し大根に、定番の海苔や納豆と、どれもご飯に合うおかずばかり。

そして今朝もやっぱり驚いたのが、ご飯のおいしさ。瑞々しく粒だったお米はもっちもちと弾力があり、それでいて重たさのない口触り。噛めば一粒ひと粒が存在感を放ち、豊かな甘さを広げてくれる。

9月上旬晩夏の鎌先温泉最上屋旅館に別れを告げる
おいしい朝食にお腹も心も満たされ、金に輝く鎌先の湯でこの旅最後の一浴を。市街地から離れ、山の中にひっそりと佇む小さな温泉街。そこに湧く力強い湯を心に刻み、江戸時代からの面影を残す最上屋旅館に別れを告げます。

9月上旬晩夏の鎌先温泉白石市民バスきゃするくん城下広場行き
またひとつ、良い湯良い宿に出逢うことができた。鎌先の湯の香の余韻に包まれつつ、『きゃっするくん』に乗車します。

9月上旬晩夏の白石駅
コミュニティバスに揺られること20分、白石駅に到着。乗り換えとしてでなく、初めてきちんと訪れた白石の街。城下の面影に優しさ滲むうーめんと、この街で出逢えた良き記憶を胸に改札へと吸い込まれます。

9月上旬晩夏の白石駅東北本線E721系普通列車仙台行き
ここからは東北本線の普通列車に乗車し、一路仙台を目指すことに。この区間を在来線で移動するのは、一体どれくらいぶりだろうか。今は亡き北斗星で駆け抜けたことが、ただひたすらに懐かしい。

9月上旬晩夏の東北本線周囲に人家のない東白石駅
白石駅を発車して走ることしばし、減速したかと思えば次の東白石駅に停車。対岸とは白石川で隔てられ、駅前にはか細く走る道路のみ。ほんのり漂う、秘境駅のような趣。こんな小さな発見と出逢えるのも、のんびりとした列車旅の醍醐味のひとつ。

9月上旬晩夏の東北本線普通列車車窓を染める緑豊かな田園
速すぎず遅すぎず、丁度よい速さで流れる田園風景。速さの高みを目指し時間的ゆとりをくれる新幹線も良いけれど、在来線のしっくりくるこの速度感がやけに心地良い。叶わぬ願いと知りつつも、特急列車や普通列車で旅する日が戻ってくれたらと想ってしまう。

9月上旬晩夏の仙台駅
僕の中に残る東北本線の記憶を手繰っていると、50分足らずで終点の仙台駅に到着。この旅も残すところあと半日、東北の夏の名残りを最後まで満喫することに。

9月上旬晩夏の仙台駅牛たん通りたんや善治郎
時刻はちょうどお昼どき。さらにこの日は楽天の試合があったようで、仙台の街は平日というのに想像を超える大混雑。お昼はここ!と決めていた『たんや善治郎』も御多分に漏れず長蛇の列で、本店は諦め駅ビル内の牛たん通り店の列に並びます。

昔から行列嫌いで、余程でなければ並ぶことはしない僕。でも、今日はがんばった。なかなか進まない列のなか辛抱すること小一時間、ようやく入店。(料理が出てきたらさ、延々と写真撮ってアップして、箸でつんつんしながらしゃべってないで、ちゃんと食べようよ・・・。)

9月上旬晩夏の仙台駅たんや善治郎牛たん通り店上選極厚真中たん定食
前は出張族が多くて回転が良かったんだけど・・・。このあと山寺に行く予定、狂っちゃったな・・・。そんなちょっとばかりのモヤっと感をビールで呑み込みつつ待つことしばし、お待ちかねの牛たんとの再会の瞬間が。

今回注文したのは、上選極厚真中たん定食。一本の牛たんから1~2枚しか取れないという、一番柔らかい部分を使用した定食です。

魅惑的な分厚い塊を、サクッとひと口。たんとは思えぬ柔らかさと歯切れの良さの後、ぶわっと広がるどこまでも豊潤な肉汁の波。ギュッと凝縮されたたんの香りや旨味、香ばしさが口中に溢れ、間髪入れず麦飯が欲しくなる。

たんでひと口ふた口、南蛮味噌でもうひと口。お漬物でさっぱりしたところで旨さに満ちたテールスープを啜れば、また分厚い牛たんへといきたくなる。そして〆には、麦とろご飯。もっとじっくり味わいたいのに、箸を止めることができずあっという間に平らげてしまいました。

6年ぶりに再会できた、善治郎の真中たん。久々に食べてやっぱり実感、僕の好みど真ん中。たんの旨さを最大限に感じさせてくれるシンプルな塩味、歯ごたえと柔らかさの絶妙な共存、そして何より溢れんばかりに詰まった旨味。テールスープもこれまた絶品で、この記事を書いているだけでもよだれが止まらない。

久々に味わった仙台牛たんの本気の旨さに圧倒され、大満足でお店を後にします。山寺へは行けなくなったけれど、この味に再会できただけでもう充分。急遽の予定変更は旅には付きもの、午後は仙台の街歩きへと繰り出します。

栗駒蔵王、名残り夏。~金銀乳白いで湯旅~
9月上旬晩夏の須川高原温泉源泉地帯と秋田を望む
2022.9 岩手/宮城
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●1日目(東京⇒須川高原温泉)
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2日目(須川高原温泉滞在)
●3日目(須川高原温泉⇒青根温泉)
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●4日目(青根温泉⇒白石⇒鎌先温泉)
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●5日目(鎌先温泉⇒仙台⇒東京)
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