この旅最後の目的、それはもうやっぱり牛たんしかありません。3度目の仙台、いろいろな牛たんのお店に行ってみればいいのでしょうが、またまた『べこ政宗』に来てしまいました。
とろ牛たん塩焼き定食。一度ここのとろ牛たんを食べてしまうと、もう他の牛たんは食べられない!というほど病み付きになってしまいました。
しっかりと脂の載った牛たんは、分厚くカットされていても柔らかい。ひとくち噛めば程よいサクッとした食感と、溢れんばかりの肉汁が香ばしい香りと共に広がります。
普通の牛たんよりも少々お値段は張りますが、ここまで来たらこれを食べない手は無いでしょう。本当に美味。テールスープにとろろも付いて大満足の昼食となりました。あぁ、これを書いていてるとまた食べたくなってしまう・・・。
絶品牛たんを満喫し、いよいよ東京への帰路へと就きます。東北の空気を吸うことも、もうしばらくありません。
名残を惜しみつつ仙台駅へと向かいます。仙台駅構内でお土産を選び、改札口へ。毎度のことながら、旅の最後はなんとも言えない淋しい気分になってしまいます。
仙台から東京へ、普通なら新幹線を使います。が、今回はこのスーパーひたちで上野を目指すことに。いとこ、渋い選択をしてくれるなぁ。さすが血は争えません。
このスーパーひたちは、JR東日本が分割民営化後初めて作った特急車両。JR東日本の数々の特急列車、全てがここから始まりました。
それまでベージュにエンジ、くちばしスタイルが当たり前だった特急のなかで、まっ白なボディーと130km/hで爆走する姿には、新時代の到来を感じたものでした。登場から20年以上経った今でも、このタキシードボディーと呼ばれたシックなボディーは輝きを放っています。
3日間をかけて南東北を巡った列車旅。数々の列車に乗りましたが、これが最後。そう思うと、いよいよここまで来たか、という感慨と少しの寂しさを感じます。
上野まで4時間以上。これまで列車に乗りっぱなしだったので、さすがにキツい。ということで、今回は大奮発してグリーン車にしました。
通常はグリーン車は仙台まで来ませんが、この時期は多客期ということでフル編成。本当にラッキー。4時間以上の快適を4000円で買えるなら安いものです。
さすがはグリーン車、室内は静かな空気に包まれています。今となってはJR東日本では珍しくなってしまった2+1のゆったりしたシート。やっぱりグリーン車はこうでなきゃ。
引率者としてこれまでお酒はビール1本程度に抑えていましたが、もうあとは帰るだけ。4時間以上の常磐路を、ゆったりとしたシートに揺られながらお酒と共に愉しむことに。
まずは石越醸造の澤乃泉。すっきり辛口の中に、日本酒特有の旨味と香りを感じるお酒。僕の好きな東北らしいお酒です。最近は、お土産屋さんにも純米酒のワンカップが色々と置いてあるので便利。列車旅に日本酒は欠かせません。
列車は単線の常磐線をトコトコ走り、宮城県から福島県へ。
今回の旅では、福島県の会津、中通り、浜通りと3地方全てを通りましたが、なんだかこの浜通りは雰囲気が違う。あまり高い山は見えず、どことなく開放的。今まで浜通り地方には縁のなかった僕にとって、また新しい福島の顔を垣間見ることができました。
続いて、寒梅酒造の宮寒梅。こちらは先程の澤乃泉とは打って変わって、まろやかで柔らかい雰囲気のお酒。コクと甘味をしっかり感じる、飲み口濃い目のお酒です。
日本酒をちびりちびりとやりながら眺める、延々田んぼの広がる長閑な風景はまた格別。この旅で何度も目にした、田んぼと青い空という車窓も、残りわずか。この組み合わせが2010年、僕の夏の象徴となりました。
いくら見ても飽きることの無い、心に訴えかけるなにかがある日本の原風景。旨い酒を片手にそんな感傷に浸っていると、遠くに海が見え始めました。
どんどん大きくなる海。しまいにはここまで海に大接近。車窓から海が見えるとは聞いていましたが、常磐線がここまで海沿いを走っているとは思いませんでした。
思いがけない大海原に感激。段々と日射しが弱まりゆく空と、どこまでも広がる水平線が、美しい青のグラデーションを造り上げます。
この後列車は再び内陸へと進路を取り、夕暮れ時に。まもなく車窓は漆黒の闇に包まれました。
山あり、川あり、海ありと、美しい夏の日本を満喫してきたこの旅も終わり。まさに車窓を愉しむ旅となりました。
同じ田んぼでも、場所が違えば表情も違う。久々に列車に乗ることをメインにした旅をしましたが、この3日間、心に残る様々な車窓を見つけ、その奥深さを再発見することができました。
僕の旅の原点である今回のような鉄道旅行。大人になって色々な楽しみを知り、旅の目的も多様化する中で、忘れかけていた自分の出発点を確認できたような気がします。
それを気づかせてくれたいとこに感謝。大人は童心に返り、子供はちょっとだけ大人になった、そんな夏休みになりました。
いとこよ、今回の旅行を心に留め、流れる車窓に何かを感じるような旅をする、そんな大人になってくれるといいな。
そのときは、もっと深い鉄道旅行をしようではないか。お兄ちゃんはそのときを楽しみにしているよ。
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