石垣島で迎える穏やかな朝。しょっぱなから灼けすぎた肌も若干落ち着き、今日は海に行く予定。どんな空模様だろうと外を見てみれば、薄い雲のかかる柔らかな青空が。
これくらいの天気が今はありがたいかも。そんなことを思いつつ、今日も愉しみな朝食会場へ。もうね、昨日から決めていたんです。今朝は海鮮丼を食べるって。ということで、朝から贅沢にどんっ!と盛ります。
ご飯は普通の白いご飯のほか、すし飯も毎日常備。お好みで選べますが、僕は海鮮丼は断然白飯派。瑞々しい新鮮な近海まぐろ、もっちもち甘旨のセーイカ。わさび醤油をまとったネタとご飯との一体感は、別に食べるのとはまた違ったおいしさに。
そして合わせるおかずもまた旨い。独特の食べごたえがありつつもヘルシーな麩チャンプルー、さっぱりとしたわかめとゴーヤのツナサラダ。八重山そばは、今朝はホテルご自慢の牛汁で。しっかりと煮込まれた牛の豊かな風味と味噌が溶け合い、煮込みとしてご飯にぶっかけてもおいしそう。
本当に、このお宿は連泊しがいがある。大満足の朝食を終え、甘いものは別腹とブルーシールアイスにも手を伸ばします。今朝は鮮やかな色味が目を引く、ブルーウェーブ。ラムネ入りのソーダアイスに、果肉の入ったパイナップルアイス。そこに生パインを添えれば、爽やかな南国気分を独り占め。
やっぱり今朝も、食べすぎた。まぁでも今日向かうのは、バス一本でいける市街地のビーチ。ベッドでごろごろとお腹を落ち着け、良き時間になったところで博物館前バス停から『東運輸』の4系統空港線に乗車します。
空港を目指す人や買い物客で賑わうバスに10分ほど揺られ、沖縄県八重山合同庁舎前で下車。そこから歩くこと10分足らず。この旅初となる真栄里ビーチに到着。旺盛な緑の隙間から零れだす、ありえないほどの眩さ。この誘うようなアプローチが、今年のあおさへの期待を昂らせる。
深い木々の間を抜ければ、視界一面に広がる鮮烈な世界。今年の真栄里、これはちょっとすごいや。天気が崩れそうなときに来ることも多いため、このあおさはこれまで訪れてきたなかでは一番かも。
ドン・キホーテやサンエーなど、買い物に便利な大型店の並ぶ市街地のすぐそばに位置する真栄里ビーチ。人工とは思えぬうつくしい白浜、外海に面しているからこその海水の適度な冷たさ。遠くへと行かずとも、このビーチがあるから安心して港エリアで滞在できる。
今朝は、薄曇りのほうが・・・などと考えていたくせに。いざこの眩さを全身に受けてしまうと、もう我慢などできない。四肢を投げ出して八重山の漲りを浴び、アチチとなったら心地よい温度の海へ。顔も腕も脚も、着実に焦がされてゆく。でも今は、この海と戯れる以外の選択肢は僕にはない。
そして海あがりには、もちろんこれ。冷たいオリオンで、今年の真栄里のあおさに乾杯。この贅沢を知る前後で、僕の夏の鮮度は明らかに変化した。
それでもやっぱり八重山の太陽とは勝負にならず、1時間半ほどで真栄里ビーチを後にすることに。帰りはサンエー前からバスに乗り、港へと戻ります。
ぱいーぐる君、今年も最高の夏をありがとう!なんだか今年の八重山は、いつも以上に絶好調だね。4日目にして、もうすっかりこんがり灼かれてしまったよ。
ベッセルホテルに泊まっていたときはよく歩いていた浜崎町エリアですが、ここ最近はちょっとご無沙汰。4日目にしてようやくぱいーぐる君へのご挨拶ができ、ほっと一安心しつつ目的地へ。
かつて長距離フェリーやクルーズ船といった旅客航路のターミナルとして使われていた、石垣港ターミナル。相方さん曰く、ここに食堂があるらしい。えぇっ?ここの前は何度も通ったけど、決してそんな風には見えなかったんだけど。
入口にたなびく「営業中」ののぼりに、あっほんとだ!と驚きつつ館内へ。ふた昔前までは多くの旅客が往来していたであろう、旧ターミナル。エレベーターもエスカレーターも止まり、八重山を襲う台風の厳しさを感じさせる痕も。
大階段で2階へと上がれば、より一層色濃く残るターミナルの空気感。その左、広い待合室跡を利用した『食事処みなと売店』が営業しているのを見つけほっと一安心。
その名の通り、ターミナル時代は売店として営業していたというこのお店。その名残を感じさせるカウンターで注文し待つことしばし、おいしそうなタコライスが完成。
まずは、おつゆ代わりの八重山そばをひと口。ぶわっと広がる濃い旨味、濃すぎずしかし薄すぎずの塩梅。黄色い丸麺との相性もばっちりで、一気に期待感が高まります。
続いて、ボリュームたっぷりのタコライスを。まず驚くのが、その肉感。石垣牛や南ぬ豚を使用しているそうで、そのブランドの有無など関係なく思える深く濃い肉の旨さが印象的。
そのひき肉に負けない、たっぷりのせん切りのキャベツと水菜。その瑞々しさが肉々しさに軽やかさを与え、ピリッと辛いソースやときおり感じるチーズのまろやかさが抜群に絡み合う。
そんなおいしいタコライスをより旨くしてくれるのが、このロケーション。かつて行き交った旅客の残像に思いを馳せつつ味わっていると、接岸すべくゆっくりと回頭する巨大な貨物船。
現在は港湾で働く人々に利用されているというみなと売店。他にも様々なメニューがあり、相方さんが食べていた牛丼も旨そうだった。これはまた、来年以降も再訪せねば、だな。
またひとつそう思えるお店に出逢うことができ、大満足でかつての送迎デッキへ。先ほどダイナミックに方向転換していた船も、もう間もなく接岸。こんな光景を目の当たりにすると、冬眠させておいたはずの海路への憧れが目覚めてしまう。
おいしいタコライスと南国の海に漂う港湾の情景で、お腹いっぱい胸いっぱい。帰りは道中で夕飯のお買い物。うとうとごろごろし、お腹も空いたところで今宵もいけない晩酌を始めます。
『ゆらてぃく市場』で買った、金城かまぼこ店のもずくの天ぷら。かまぼこ屋さんらしく魚のすり身が入っており、ふんわりとした食感と染み出る滋味が泡盛を進ませる。
おなじく市場で売っていた漬け寿司は、ねっとりとした近海まぐろやとろりとした食感に変身したセーイカがまた美味。ちょっと甘めのすし飯とからしの南国感が、泡盛にまたぴったり。
そして驚いたのが、相方さんが見つけた『島さしみ店』で買ってきたまぐろ。もっちもちと瑞々しく、そしてしっかりと感じる筋肉質。硬い、筋っぽいということでは決してなく、しっかりとした赤身の旨さがぶりんとした身にこれでもかと凝縮されている。こんなまぐろ、生まれて初めて口にした。
ちょっとずつつまんで、ちびちび呑んで。泡盛の熱が程よく回ったところで味わう、ヒバーチじゅうしー。旧市役所近くの『星野商店』のジューシーおにぎりは、これなら毎日でも食べられる、いや食べたい、違う、食べさせてくださいと思える穏やかなおいしさ。
そんな豊かな時間の〆にと味わうのは、昨日ゆらてぃく市場で買っておいた島バナナ。これだけ八重山に来ておきながら、こうしてきちんと食べるのは初めてだと思う。
薄い皮をむいて、いざひと口。ものすごく口どけのよい繊細な食感、それとともに広がる甘酸っぱさ。近年のフルーツにありがちなただただ甘いものとは一線を画す、果実らしい風味。おしとやかな表情をした甘酸っぱさには、控えめに言って感動を禁じ得ない。
35歳に初めて訪れて以来、島のおいしいお店にはたくさん出逢えた。八重山で口にするものは、ほとんどはずれがない。それだけでもすごいことなのに、僕らはいま、更にその先へと足を踏み入れようとしている。
出来心で近づいては行けない領域へ。初日の予感通り、やはりこの旅は危なっかしいことになってきている。地元のお店で手に入るもので知る、石垣の未知なる美味。いつかはと願う日々の輪郭にふいに触れてしまい、予感は実感へと質量を持ちはじめるのでした。
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