鮮緑したたる奥鬼怒へ ~ゆるっととちぎ大満喫 3日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

鮮緑したたる奥鬼怒へ ~ゆるっととちぎ大満喫 3日目 ②~

5月下旬栃木駅 旅グルメ

鬼怒川温泉から普通電車を乗り継ぎ1時間16分、栃木駅に到着。ここは小江戸とも称される蔵の街。古き良き建物たちに出逢う旅へと繰り出します。

5月下旬蔵の街小江戸栃木巴波川沿いの渋い町並み
駅前からのびる道を進んでゆくと、豊富な水の流れる用水路が。橋を渡り右折すると街路の雰囲気は一変し、情緒あふれる水辺の風景が現れます。

5月下旬蔵の街小江戸栃木巴波川をゆく船頭さん
ここ栃木は、古くから交通の要衝として栄えた商都。市内を流れる巴波川は、幕末から昭和初期まで北関東と江戸を結ぶ舟運で賑わった場所。広い川面には、往時の情緒を想わせる小舟がゆったりと行き交っています。

5月下旬蔵の街小江戸栃木巴波川沿いに建ち並ぶ塚田歴史伝説館の立派な土蔵群
船頭さんの操る遊覧船に水運の街の風情を感じていると、川沿いにずらりと建ち並ぶ立派な土蔵群が。白亜の漆喰に、黒い板壁。そのモノクロームに染まる情景は、ここだけ時が止まったかのよう。

5月下旬蔵の街小江戸栃木巴波川に沿って建ち並ぶ塚田歴史伝説館
巴波川から利根川を経て深川木場まで、木材回漕問屋を営んでいたという塚田家。その財力を物語るかのように連なる、蔵の数々。陸上交通が貧弱だった近代まで、水運が輸送の主役であったことが伝わるよう。

5月下旬蔵の街小江戸栃木塚田歴史伝説館の向かいに建つ黒塗りの見世蔵
建ち並ぶ白亜の土蔵のうつくしさに心奪われていると、その向かいにはこれまた立派な土蔵が。緻密な瓦屋根と深い黒に彩られた漆喰からは、ぐっと気圧されるような重厚感が。

5月下旬蔵の街小江戸栃木巴波川沿いに連なる人の暮らしの息遣いの宿る町並み
力強い土蔵の姿に水運の果たしてきた役割を感じつつ、川沿いを上流方向へと進みます。先ほどまでの江戸情緒とは打って変わり、人々の暮らしに溶け込むように流れる巴波川。

5月下旬蔵の街小江戸栃木重厚な石蔵が印象的な横山郷土館
水辺と絡み合う濃密な生活感を抜けると、またも目を引く歴史を感じさせる建物。渋い佇まいの母屋を挟むようにして建つ、鹿沼産の石材で造られた左右対称の蔵。ここではかつて、麻問屋と銀行が営まれていたそう。

5月下旬蔵の街小江戸栃木旧栃木町役場の栃木市立文学館
巴波川の流れに別れを告げ、石蔵の脇を流れる県庁堀沿いへ。すると現れる瀟洒な洋館は、100年以上前に栃木町役場として建てられたもの。10年前まで市役所別館として使われ、今は栃木市立文学館として今なお現役で活き続けています。

5月下旬蔵の街小江戸栃木110年以上現役を続ける旧栃木病院栃木中央クリニック
文学館を背にし、県庁堀沿いを北へと進みます。その名の通り、お堀の内側がかつて栃木県の県庁があった場所。廃藩置県により栃木県と宇都宮県が誕生し、統合されて栃木県に。その後10年ちょっとで宇都宮に県庁が移転しましたが、県名としては今なお栃木が残り続けています。

ここが県庁所在地であったことを現代へと伝える水路端を離れ、次なる交通の歴史を残す地区へ。その途中には、古き良き美意識が込められた洋館が。栃木病院と掲げられたこの建物は、築110年以上を経た今でもクリニックとして現役を続けています。

5月下旬蔵の街小江戸栃木国の重要伝統的建造物群保存地区嘉右衛門町瀟洒な舘野家住宅
水の路として栃木を支えてきた巴波川とともに、古くからの交通を担ってきた日光例幣使街道。その街道沿いに位置する嘉右衛門町は国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されており、歴史溢れる建物が濃密な世界観を醸し出しています。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町重要伝統的建造物群保存地区日本で3番目に古い見世蔵とされる大貫邸
昭和初期のモダンな邸宅があるかと思えば、店舗用として建てられた見世蔵としては日本で3番目に古いとされる土蔵も。190年の歳を重ねてきた黒漆喰の質感からは、見る者を否応なしに圧倒する迫力が。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町重要伝統的建造物群保存地区緩やかに弧を描く日光例幣使街道沿いの歴史の滲む建物群
旧街道に沿って、ゆるやかに弧を描く古き良き建物たち。江戸時代後期から昭和初期までの年代や様式の異なる建築が並ぶこの一画は、歩みを進めるごとに無限の表情を魅せてくれる。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町重要伝統的建造物群保存地区断髪令に伴い開業した栃木県内最古の理容館
白亜の土蔵に挟まれるように佇む、ものすごく渋い木造の建物。この旧市村理髪館はなんと明治4年、断髪令に伴い開業。平成元年に営業は終えていますが建物や備品類は創業当時のものが遺されており、栃木県内最古の理髪店として理容遺産に認定されているそう。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町重要伝統的建造物群保存地区町名の起こりともなった旧家岡田記念館
例幣使街道の東側を占める大きなお屋敷は、二十六代続く旧家である岡田家。代々当主は嘉右衛門さんを名乗り、それがここの町名の起源にもなったそう。現在は岡田記念館として開放され、先ほどの理髪館も見学できるようです。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区渋いホーロー看板が目を引く木造建築
先ほどの塚田家に横山家、そして岡田家と、内部を見学できる施設が目白押し。今回は時間の都合で泣く泣く断念しましたが、これは改めてしっかり時間を取って再訪しなければ。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町重要伝統的建造物群保存地区黒漆喰と木の風合いがうつくしい平澤商事
ここまでも思った以上にゆったりペースで歩いてきたので、ちょっとばかり先を急ごうか。そう思えど、この街並みがそれを許さない。進むごとに薫る歴史の風に、心酔せずにはいられない。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区みそ工場跡地を復元整備したガイダンスセンター
栃木県で唯一重伝建地区に指定されている嘉右衛門町。江戸時代から続く街道に宿る分厚い世界観に呑まれていると、まだ新しさを感じさせる一画が。ここはかつて味噌工場だった場所。その建物を復元整備し、次世代へと繋げる取り組みがなされています。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区江戸時代創業の油伝味噌
奥に新栃木駅からのびる大通りが見えてくると、嘉右衛門町の重要伝統的建造物群保存地区も終わり。その手前に、かなり大きな木造建築が。江戸時代から続く味噌蔵、『油伝味噌』を覗いてみることに。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町伝統建造物群保存地区油伝味噌歴史情緒漂う店内
ここ数年、旅先でその土地のお味噌を買うのが僕のお気に入り。そういえばもうすぐ家の味噌もなくなるし、お土産にひとつ買って帰ろうか。そんな軽い気持ちで、歴史を感じさせる建物へと吸い込まれます。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区油伝味噌で味わう油伝麦酒カエモンエール
あれ?そんでなぜこうなっちゃうの?いや、本当に偶然だったのです。最近は旅先での出逢いを愉しむため、あまり下調べせずに旅に出るようにしています。ここにお味噌やさんがあるな、くらいしか確認していませんでしたが、レジ横には回避不能な魅惑の文字列が・・・。

ということでこの味噌蔵の醸す油伝麦酒、カエモンエールを一杯だけ。栃木市産の二条大麦を使ったというペールエールは、ほろ苦さとしっかり香るホップが印象的。それでいて地ビールにありがちな嫌なクセはなく、気をつけないとおかわりをグイっといきたくなってしまう。

5月下旬蔵の街小江戸栃木嘉右衛門町伝統的建造物群保存地区油伝味噌豆腐田楽
いや、クラフトビールだけだったら誘惑に打ち勝っていたはず。こちらでは焼き立ての田楽が味わえてしまうのです。味噌屋に来てこんな機会を逃すわけにはいかない。そう思うのも、致し方ない。

こんにゃくや芋、餅も選べる中、今回は一番シンプルにお味噌を味わえそうな豆腐田楽を注文。しっかりした豆腐は外香ばしく、中ほっくりふるとろ。肝心のお味噌はコクや旨味があり、それでいてピシッと一本筋の通った素朴な味わい。

きりりとした味噌の良さが活きる熱々の田楽、その滋味を腹へと届ける至福の琥珀。開け放たれた戸から吹き込む涼風に撫でられ、そんな贅沢を味わう昼下がり。大人のおやつを静かに噛みしめ、後半の栃木歩きへの英気を養うのでした。

鮮緑したたる奥鬼怒へ ~ゆるっととちぎ大満喫~
5月上旬関東最後の秘湯の異名を持つ奥鬼怒温泉郷八丁の湯朝日を浴び輝く滝を眺めながら浸かる雪見の湯
2024.5 栃木
旅行記へ
●1日目(東京⇒八丁の湯)
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2日目(八丁の湯滞在)
●3日目(八丁の湯⇒鬼怒川温泉⇒栃木⇒佐野⇒東京)
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