石垣島で迎える2度目の朝。窓の外には曇天が広がり、濡れた景色が先ほどまで雨が降っていたことを教えてくれるよう。今日は竹富行きはお預けかな。なんて本日の行程を考えつつ、朝食会場へと向かいます。
今朝僕が選んだのは、この品々。ゴーヤチャンプルーは程よい苦みが食欲を刺激し、パパイヤの甘酢漬けは全くクセのないシャッキシャキの食感が美味。クーブイリチーは上品な味付けで昆布の旨味が活かされ、島豆腐やポークといった脇役も定番の旨さ。
そして今朝のご飯はジューシーを。こちらのホテルではジューシーと八重山そばが毎日用意され、その味も無料の朝食とは思えないしっかりとした美味しさ。〆の餡入りサーターアンダギーもカリッと揚げたてで、今日も大満足で一日のスタートを切ることができました。
今日もターミナルより『東運輸』のバスで移動。5日間乗り放題で2000円のフリーパス。この価格設定で本当にいいのだろうか?と少々心配になってしまうほど、便利でお得。
空港線に揺られること15分、サンエー前で下車。地元スーパーのサンエーとマックスバリューでお土産などを見て回り、そこから歩いて真栄里ビーチへと向かいます。
時折雨粒が落ちては来るものの、天候はゆっくりと回復傾向に。この2日間ですでに熱を持ち始めた肌には、これくらいの薄曇りの方がありがたい。
全身をなでる心地よい風と、たまに感じる雨の冷たさ。ぼんやりと遠くに海を眺めつつオリオンを喉へと流せば、何もしなくても海があるだけでもう十分だとすら思えてしまう。
時刻は丁度お昼どき、お腹もすいたところで昼食を。今回は真栄里ビーチのレジャーハウスに併設された『ビーチレストラン』でアーサ入り八重山そばを食べることに。
運ばれてきた途端に漂う、アーサの香り。一口おだしを啜れば、その磯の恵みが口中へと広がります。何故こうも沖縄のアーサは美味しいのだろうか。本州で食べるあおさ海苔は下手をすると磯臭すぎるものもありますが、沖縄ではまだそんなアーサには出会ったことがありません。
麺は丁度良い太さのぷりっとしたしなやかな食感で、お肉の代わりに載せられた八重山の味たらし揚げがいいアクセントに。途中でピパーチやコーレーグースを加えれば、華やかな香りと辛さがおそばを一層美味しくしてくれます。
うぉ、調子に乗ってコーレーグース入れすぎた。焼けた唇にちょっとしたヒリつきを残しつつ、再びビーチへと戻ります。すると空には、薄っすらながらも晴れ間が見え隠れ。こうなってくると、八重山の太陽は本領発揮。一気に肌をじりじりと灼きはじめます。
世界は一気に色味を持ちはじめ、伝わる熱気すら楽しくなってしまう。ここに暮らすヤドカリも同じように感じるのか、砂浜を嬉しそうに歩きまわります。
あっつい暑い!こんな天気が一番危険。肌に感じる危なさを察知し、真栄里ビーチから離島ターミナルへと戻ります。ここで一発、クールダウン。ずっと飲んでみたいと思っていたマリヤシェイクを味わってみることに。
ちなみにこのマリヤシェイク、僕が勝手に愛読しているふらふら旅行ブログや続・ふらふら旅行ブログで初めて知りました。(しゃけさん勝手にリンクしてごめんなさい)離島ターミナルの小さなお土産屋さんの一角で売られているので、何かきっかけがなければなかなか見つけられないかもしれません。
地元のマリヤ乳業が作っているという、マリヤシェイク。プレーンにコーヒー、チャイといくつかフレーバーのある中で、今回選んだのは泡盛味。え?泡盛を練りこんだシェイク?面白そう!と思い注文したのですが、それを超える衝撃的な旨さにびっくり。
手渡すときに、よーくかき混ぜてから飲んでね!と言われました。ざっくり混ぜてから一口飲んで、その意味がよく分かりました。プレーンのシェイクの下には、原液の泡盛がたっぷりと隠されていたのです。
シェイク自体は、牛乳感ある甘さ控えめの素朴な味わい。バニラなどの無用な風味はなく、シンプルにミルクの味を楽しめます。そこに麹香る泡盛が混ざれば、一気に増す華やかさ。泡盛の牛乳割りなんてのもあるらしいのですが、この味を体験してみてそんな飲み方があることも納得。全く違和感のない独特な旨さは、石垣島でしか味わえない唯一無二のもの。
ホテルで一休みしたところで、夕食の時間に。今回は離島ターミナルの目の前に建つホテルミヤヒラ系列の『やいま家庭料理さつき』にお邪魔してみることに。
まず注文したのは、豆腐チャンプル。大ぶりに切られた野菜は食感がよく、それらから出た甘味を島豆腐がまとい素朴ながらもホッとするような美味しさ。八重山のチャンプルーは、本当に飽きない。家庭料理として長く愛され続けてきた理由が、食べるたびに感じられるよう。
続いては、マグロのしゃきしゃきわさび和え。まぐろの美味しい石垣らしく、もっちりとした食感と安定感ある旨さ。わさびはタコわさに使用されるようなあのタレが使われ、赤身との相性の良さに思わず納得。何で東京にもないのだろうか。タコイカほたて以外にも、もっと活用すればいいのに。
そして今夜も、定番のスパム料理を。今回はポーク天婦羅を注文してみました。フライや揚げ焼きはよく見ますが、天ぷらはこれが初めてかも。沖縄らしい若干厚めの衣とポークのバランスが絶妙で、カリッ、さくっ、ジュワっと旨さが広がります。
最後はやっぱり、八重山に来たら一度は食べたいラフティー。もちろん皮付きのものが使われ、よく煮込まれた三枚肉は文句なしの美味しさに。赤身はぎゅっと凝縮され、白身と皮はプッリプリ。脂をしっかりと落としたこのコラーゲン感は、一度食べると病みつきに。
ホテルの系列ということで最初は観光客や出張族向けのお店かと思いましたが、実際は見たところ半分くらいが地元の人。やいま家庭料理を名乗るだけあり、奇をてらわない素朴な美味しさに大満足でお店を後にします。
時刻はもう20時前。なのにまだうっすらと残る、太陽の名残。消えゆく今日の明るさに街路樹はシルエットとなり、揺れるその姿に一層南国感が掻き立てられる。
肌をなでる夜風に誘われ、酔い心地で歩く夜の港湾。島独特の湿り気を持つ空気が非日常を感じさせ、自分が今いる場所が現実かどうかすら怪しくなってしまいそう。
夢見心地で散歩を続けていると、停泊した海上保安庁の巡視船の先に何やら輝く巨大な物体が。あれ?あんなところにホテルなんてあったっけ?いや、あそこは海なはず。なんて目を凝らしてみると、それが全身に電飾をまとった巨大客船であることに気づきます。
WORLD DREAM,I LOVE ISHIGAKI。夜の暗い海に浮かぶ異様なネオンが、なんだか異世界へと誘っているかのよう。年々入港数が増す客船は、大きさもさることながら個性も巨大化しているのかもしれない。
もし客船に乗ることがあるならば、にっぽん丸のようなシックな船に乗ってみたい。何となく僕との縁遠さを感じさせる巨大客船ワールドドリームに別れを告げ、再び島の静かな夜の闇へと戻るのでした。
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