昨日もたっぷり遊び、ぐっすり眠って迎える石垣島の朝。すっきりとした目覚めと共に窓の外を見てみると、雲は多いながらも風は止んでいる模様。どうやら今日は、竹富島へと渡れそう。
ということで、浮足立つ気持ちを抑えつつまずは腹ごしらえ。今朝のラインナップはこんな感じ。素材の味を活かす塩梅の麩チャンプルーやにんじんしりしり、お気に入りの八重山かまぼこやもずくのりで思わずご飯を3杯も食べてしまいます。
一杯になったお腹も少し落ち着いたところで、ホテルを出発。歩いて7分ほどで、八重山諸島への玄関口であるユーグレナ石垣港離島ターミナルに到着。
具志堅さん、お久しぶり!空へと向かい両腕を突き上げる勇ましい姿に、1年ぶりのご挨拶。そのパンチで、この曇天もどこかへやってくれないかなぁ。そんな淡い期待を託してみます。
今回は、ホテルに置いてあった情報誌に『八重山観光フェリー』の割引券がついていたので、そちらのカウンターで往復乗船券を購入。そして毎度のことですが、竹富港路は『安永観光』の船にも乗船可能。ということで直近のうみかじ2に乗り込み、一路竹富島を目指します。
満席の船に揺られることあっという間の10分、1年ぶりとなる竹富島に上陸。久々に味わう独特の空気感を胸いっぱいに吸い込み、ビーチへとむけて移動を始めます。
白い砂道と、そこに連なる珊瑚の石垣。モノトーンのそれらを華やかに彩るのが、竹富島の象徴ともいえる赤瓦と、集落に咲き乱れる色とりどりの花々。この光景を肉眼で見られただけでも、ここまで来た甲斐がある。四年目となる竹富島ですが、何度訪れてもその感動は色褪せない。
優しく穏やか、しかし強烈な感動を覚えつつ集落内を進み、竹富島唯一の海水浴場であるコンドイビーチに到着。鬱蒼とした林を抜けた瞬間飛び込むこの景色は、いつもいつも鮮烈な感動を与えてくれる。
長くのびる白い砂浜は奥へと続き、多くの人で賑わっていても全くと言っていいほど窮屈さはありません。場所により見える景色、風の強さ、人口密度が変わるので、のんびりと歩きながら今日の居場所を探します。
ここだ!というところでレジャーシートを広げ、周囲に落ちてる珊瑚の塊を重石に陣取り完了。荷物を下ろしてTシャツを脱ぎ捨てれば、1年越しの竹富島の夏が始まります。その瞬間を祝し開けるのは、もちろんオリオン。青さと風を浴び飲む味は、筆舌に尽くせぬ至極の快感。
写真では伝わりにくいですが、この曇天でも結構感じる肌への日射。カンカン照りだと長い時間いることができないので、これくらいの天気の方がコンドイビーチを満喫するには丁度いい。
ビールを飲み、ごろんと寝ころび、暑さに灼けたら海へと向かう。波打ち際に立てば、足に感じる波の鼓動。繰り返し寄せては返すそのリズムは、自分が自分である以前に、生き物だということを思い出させてくれるよう。
飲んでは浸かるという極楽怠惰に心酔していると、潮はだいぶ引き沖の砂州まで渡れる浅さに。去年までは足元の岩に苦戦し上陸を断念しましたが、今回は相方さん持参のマリンシューズを借りて探検してみることに。
足元で注意しなければならないのは、岩や海藻の塊だけではありません。砂地には幾多ものナマコ君たちがうごめき、本気で苦手な人は足を踏み入れられないほど密集している場所も。
ナマコを踏まないよう気を付け、波に揺られつつ歩くことしばし、沖に見えていた真っ白な砂州に上陸。潮が引いたばかりの陸地には水が残り、海と陸、空との境界線すら滲むような光景はまさに幻想的のひと言。
ビーチよりも更に外海の近くに位置する砂州からは、より一層の透明度を感じさせる海原を独り占め。コンドイビーチでも十分きれいなのに、その先にはこんな美しい海が広がっていたなんて。この清らかさは、渡った者のみに許される贅沢。
白い砂は波と風により美しい波紋へと姿を変え、見る者の心まで溶かしてしまうような幽玄な世界。違う次元か、幻か。自分の意識を遠のかせるような眺めに、軽い眩暈すら感じてしまう。
晴れには晴れ、曇天には曇天の美しさがある。今この瞬間は、まさに後者。陸と海、現実と幻が溶け合うような妖しい美しさは、この天気だからこそ。このままどこか違う世界へと迷い込んでしまいそう。そう本気で思わせるほどの、これまで経験したことのない幻想の世界。
自分が自分だと思い込んでいる意識すら溶けかけたところで、再びビーチへと戻ることに。その道中、海中に現れた海の使者。鮮やかな水色をした小魚の群れが足元に戯れ、なんだか本当に竜宮城にでも連れていかれそう。
写真的には、ちょっと残念な今日のコンドイビーチ。でも僕は、ここで素晴らしい景色を確かに見た。訪れるごとに表情を変える別世界に、やはり八重山まで来てよかったと幸せを噛みしめるのでした。
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