特別急行で、いつもの先へ。~諏訪路を彩る金と銀 3日目 ⑤~ | 旅は未知連れ酔わな酒

特別急行で、いつもの先へ。~諏訪路を彩る金と銀 3日目 ⑤~

1月中旬冬の上諏訪神州一発祥の地丸高蔵 旅行記

諏訪の浮城の別名を持つ高島城を後にし、再び上諏訪の街をのんびり歩きます。するとすぐに立派な蔵を持つ大きなお店を発見。ここ『丸高蔵』は、なんとあの神州一味噌発祥の蔵なのだそう。僕にとって味噌といえば神州一。思わず脳内に「神州一おみお~つ~け~」の歌とみ子ちゃんの姿が浮かびます。

1月中旬冬の上諏訪信州や甲斐から移築された神州一丸高蔵の連なる蔵
先ほどの店舗となるお屋敷は木曽から、そして連なる蔵は甲斐や富士川から移築されたものだそう。酒蔵や紡績工場から味噌蔵へと転身を遂げて以来、100年以上も現役で味噌を醸し続けています。

1月中旬冬の上諏訪嘉茂鶴今井商店の渋い佇まい
僕にとっての味噌の原体験ともいえる神州一の故郷でお土産を手にし、ほくほく顔で湖方面へと進みます。途中並木通りや湖明館通りにも、古き良き建物が点在しています。

1月中旬冬の上諏訪凍てついた諏訪湖と八重垣姫
そしてたどり着いた、冬の諏訪湖。前回訪れたときは、確か夏真っ盛りの時期だった。そのときの印象とは大きく変わり、凍てつく湖水とモノクロームの山並みがこの時期ならではの旅情を掻き立てるよう。

1月中旬冬の上諏訪凍てつく湖水と泳ぐ鴨
諏訪に到着した日は全面結氷していたようですが、今日は沖合にはさざ波が立ちだいぶ溶けている模様。足元には薄氷が重なり、寄せては返す波に洗われカラカラと小気味良い音を耳へと届けます。

1月中旬冬の上諏訪一部が結氷した諏訪湖
時折小雪の混じる強い風の中、ただ立ち尽くし眺める諏訪湖。夏の爽やかさもさることながら、冬旅の情緒を凝縮したかのようなこの渋い世界感もまた堪らない。いつかは御神渡り、見てみたいなぁ。

1月中旬冬の上諏訪国登録有形文化財の諏訪市美術館
諏訪湖を渡る風にすっかり体も冷えたところで、諏訪湖に面した思い出のあの場所で大地の恵みに浸かることに。その隣には、城郭を思わせる歴史ある建物が。この諏訪市美術館は、懐古館として昭和18年に片倉財閥によって建てられたものだそう。

1月中旬冬の上諏訪13年ぶりとなる片倉館へ
そして13年ぶりの再会となる『片倉館』へ。重厚な佇まいの洋館は、絹産業で盛業であった片倉財閥が地元住民の憩いの場として建てたもの。

1月中旬冬の上諏訪重厚な佇まいの片倉館会館棟
先ほどの塔屋が印象的な建物は温泉棟と呼ばれ、千人風呂と名付けられた浴場と休憩室が設けられています。そしてこちらの会館棟は、講演会や会合のための施設として建てられたものだそう。

1月中旬冬の上諏訪重厚な雰囲気の片倉館休憩室
荘厳さを漂わせる外観を愛でたところで、入浴料を支払い早速中へ。大浴場である千人風呂はその名の通り広い湯舟を持ち、その深さは1.1m。底には玉砂利が敷かれ、立ったり縁に腰掛けたりと、思い思いの形で温泉を楽しめます。

そして何より、目を引くのが室内の装飾。緻密なタイル張りの壁には装飾が施され、日本ならではの湯浴みと西洋の文化を融合させてしまう和洋折衷の心が見事に具現化されています。

1月中旬冬の上諏訪片倉館の休憩室で湯上りのビールを
厳かな雰囲気の中さらりとした諏訪の湯に浸かり、しっかりと温まったところで2階の休憩室へ。柱に施された装飾と腰壁の艶めきを愛でつつ飲む湯上りのビールは、それはもう格別の味わい。

1月中旬冬の上諏訪片倉館バルコニーから望む夕刻の諏訪湖
休憩室の奥の階段を登った先には、諏訪湖を眼前に望む広いバルコニーが。湯冷めが心配なので外へは出ませんでしたが、春から秋にかけては湯上りに諏訪湖の風がきっと気もちよいことでしょう。

雪雲の背後に感じる夕暮れの気配。凍てつく諏訪湖を眺め、感じ始める旅の終わり。今日一日、本当に盛りだくさんだった。

念願のお社にお参りし、古き良き建物や城郭、結氷した湖水に触れて。仕上げにお湯で温まれば、身も心も充足感で満たされるよう。そんな良い一日の最後を締めくくるべく、諏訪の酒場へと向かいます。

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