僕には、入社したときに生まれたいとこがおりまして、気づけばその子ももう小学校高学年。社会人になって、もうそんなに経つのか・・・、と思う今日この頃。
物心付いた頃から(その前から!?)電車の本やおもちゃを買ってあげていたら、いつの間にか本格的な電車好きに。これは完全に僕の責任です。(おばちゃんごめんなさい)
そんないとこが、今年の夏休みに電車乗りに連れてって!!と言うので、これはもう一緒にマニア旅行に行くしかない!!と一念発起し、5月から綿密な計画を立ててきました。
総移動距離は1000キロオーバー、1都8県を股にかける大移動。そのスタートが、この東武浅草駅。ここから2泊3日、列車乗りっぱなしの壮大な旅が始まります。
今回は、いとこと一緒の旅行のため、いつものような食やお酒を織り交ぜた旅行記とは違い、列車や車窓の写真がメインの記事になるかとは思いますが、僕らの暑い、アツい夏休みの様子をお届けしたいと思います。
東武浅草駅から乗車するのは、特急スペーシアきぬ号。栃木県は鬼怒川温泉まで2時間足らずで連れて行ってくれます。
この車両は僕の大好きな車両で、バブル期に作られた列車だけあり、内装はかなり豪華。ホテルのデザインを担当した会社が手がけたようで、そこかしこにデラックス感が漂います。
でも、決して派手ではなく、嫌味でもない、落ち着いた上質な車内空間を楽しむことができます。今のご時世、もうこんな車両は作れないだろうなぁ、と思う列車の一つ。
時刻はちょうど朝ラッシュに差し掛かるころ。サラリーマンを満載した通勤電車が、隣のホームに次から次へと入ってきます。
それは普段の僕らの姿なのですが、今日は違う。雑踏とは無縁の特急ホームから眺めるその光景は、今日からしばらく夏休みだ!という期待感をより一層盛り上げてくれます。
8時ちょうど、スペーシア号は定刻通りに浅草駅を滑り出しました。さっそくここで朝ごはん。今回は浅草駅で三社いなりを購入。パッケージには、東京の下町らしい風景がたくさん。見ているだけで楽しくなります。
蓋を開けると、あさり、五目、ゆかりの3種類の大きめなおいなりさんが並び、かまぼこ、玉子焼、煮物などの定番おかずが脇を固めます。
東京のおいなりさんなので、多少濃い味をイメージしていましたが、味付きのご飯ということを考慮してか、意外と薄め。それぞれ違った美味しさを持つご飯を、濃くは無いがしっかりと煮含められている揚げが包んでいます。
具の味を楽しめる、ちょうど良いバランス。周りのおかずもオーソドックスな味付けで、なんだかホッと安心できるような、優しい雰囲気のお弁当でした。
スペーシア号は広い平野をひた走り、鬼怒川を越えたあたりで、関東平野の縁を成す山々に挑み始めます。それまでののんびりとした風景から一転、車窓の緑が占める割合がグッと高くなります。
この2時間後、僕らは遠くに見える山々を越え、東北は会津地方にいるはず。乗換えさえうまく調整すれば、会津若松は意外と近いのです。
列車は約2時間を掛け、定刻通りに鬼怒川温泉駅に到着。ここで列車を乗り換えます。会津塗りをイメージしたという真っ赤なボディーがまぶしい気動車は、会津鉄道の所有するAIZUマウントエクスプレス。6月に運行を開始したばかりのピカピカの新型です。
このAIZUマウントエクスプレスは、東武鉄道、野岩鉄道、会津鉄道、JR只見線と4つの鉄道を直通し、鬼怒川温泉と会津若松を結ぶ列車。会津線内は快速運転なので、鈍行列車を乗り継ぐよりもずっと早く、僕らを会津若松まで運んでくれます。
車内へ入ると、すぐにご覧のようなゲートがお出迎え。会津と鬼怒川を結ぶという、観光や地域の足としての使命と、会津鉄道がこの列車に託す想いが表れています。
その想いに応えるように、2両編成の小さな列車は一路会津若松駅を目指し、スペーシアからのたくさんの乗り換え客を乗せ、エンジンを唸らせながら出発します。
スペーシアから乗り換えたときに見劣りしない車両を、という想いから作られた車内には特急列車と同等のリクライニングシートが並び、シックな木目が落ち着いた雰囲気を醸し出します。
塗装の赤や黒といい、木目の車内といい、会津の雰囲気をとてもよく表していると思います。この不況の最中、ただでさえ厳しいであろう第三セクターの鉄道が、よくもここまでの車両を新造したものだ、と思わず拍手を送りたくなります。
どこの鉄道会社も、設計を共通にした車両を採用し、守りに入っていると思える今、他社のおさがりでもなく改造でもない、クオリティーの高い完全新造車を導入した会津鉄道の勇気と心意気に感動。これで特別料金を取らないのだから驚き。
先代の元名鉄特急であるAIZUマウントエクスプレスも好きですが、今回の会津鉄道オリジナルのマウントエクスプレスの方が僕は好き。
外箱の形こそ一般的なローカル用ディーゼルカーですが、より一層会津鉄道のカラーが表現され、以前にも増して会津の空気を感じることができます。
山と川を縫うように、たくさんのトンネルと橋を繋いで走る野岩鉄道を抜け、いよいよ東北地方に突入。山地を抜けると、広大な農地に青い山々という、昔ながらの農村の風景が広がります。
どこまでも真っ青な夏の空の下に広がる田んぼからは、車内にいても草の匂いが伝わってきそう。これぞ、日本の夏休み!差し込む日差しに、肌だけでなく心までも、じりじりと熱くなってゆくのを感じます。
このブログでも何度か登場している湯野上温泉駅。真夏の陽射しに焼かれた茅葺屋根の建物は、まるで古い農家のよう。夏の会津鉄道の車窓には、あたかも昭和30年代にタイムリップしたかのような風景が広がります。
浅草を出発してから4時間足らず、夏真っ只中の会津若松駅に到着。抜けるような青空に、まっ白な駅舎が輝きます。
本当は、ここで名物ソースカツ丼を食べ、鶴ヶ城を見て、蔵の並ぶ街並みを散策と、いとこに初の若松の魅力を伝えたかったのですが、あまりの暑さに断念。
今年の夏はあまりにも暑い。それも盆地である会津と来たら、大げさでなく歩けないほど。残念ながら、昼食もそこそこに、すぐにホテルにチェックインすることに。
会津若松の市街地から『会津バス』の路線バスに乗り込み、今夜の宿のある東山温泉へ。以前SLに乗りにきた時以来、2度目の訪問です。今回も立派な鳥居がお出迎え。猛暑のためお参りは叶いませんでしたが、鳥居に向かい心の中でごあいさつ。
今回お世話になったのが、東山パークホテル新風月。365日同一金額、バイキングが売りの、伊藤園ホテルグループの宿です。
今回はたまたま新しい方の棟に部屋が用意されており、室内はとてもきれい。広い窓からは、溢れんばかりの緑を眺めることができます。
ここは東山温泉でも3つしかない源泉を保有するホテルの一つで、無色透明の肌触りのいいお湯が注がれています。露天は若干ぬるめで、この暑い時期でもゆっくり入れるいい温度。
お風呂で汗を流し、無料の卓球でいとこと遊んだ後に夕食。一般的なバイキング料理が並びます。その他に、ビールやお酒が飲み放題。日中が暑かった分、冷たいビールの美味しいこと。たくさん飲んでしまいました。
初めてのいとことの旅行。東京から福島まで、1日目の行程を無事に終え、深い眠りに就きました。明日は鳴子温泉までの移動。新幹線あり、ローカル線あり、これまた楽しい旅になりそうです。
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