祭の滾り、地の力。~ヤーヤドーが呼んでいる 1日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

祭の滾り、地の力。~ヤーヤドーが呼んでいる 1日目 ①~

8月上旬夏真っ盛りの東京駅東北新幹線E5系はやぶさ号新青森行き 旅の宿

8月上旬、灼熱の東京駅。今年もついに、この瞬間を迎えることができた。八重山にはじまり、みちのくで完成する僕の夏。早くも鼓膜の奥から、ヤーヤドーの声が聴こえてくる。

8月上旬東北新幹線E5系はやぶさ号新青森行きは夏色の荒川を越えて無事東京脱出
祭りに胸を焦がす僕を乗せたはやぶさ号は、定刻に東京駅を出発。サッポロクラシックで祝杯をあげていると、夏色の荒川を渡り無事東京脱出。

8月上旬東北新幹線E5系はやぶさ号新青森行き車内の愉しみ駅弁出水駅松栄軒宮崎チキン南蛮弁当W
この日も明けで3時半起き。朝から何も食べていないため、もう空腹は最高潮に。そんな状態で訪れた、東京駅の駅弁屋祭。あれこれ迷いつつもがっつりしたものが食べたいと、出水は松栄軒の調製する宮崎チキン南蛮弁当Wを思わず購入。

8月上旬東北新幹線E5系はやぶさ号新青森行き車内の愉しみ駅弁出水駅松栄軒宮崎チキン南蛮弁当W中身
蓋を開ければ、大ぶりな唐揚げ4個にご飯がドン!期待通りの見た目ににやけつつ、まずはもも肉から。ほどよい甘酸っぱさのたれが染みたもも唐を、大好物のタルタルソースにたっぷりつけて。このタルタルがまたおいしく、濃い目でちょっと甘めの塩梅がものすごくご飯に合ってくれる。

続いて、むね唐を。基本的に、鶏肉は断然もも派の僕。まぁ、むね肉だしな。そんな失礼なことを考えつつ頬張ってみると、予想外の旨さに思わずびっくり。特有のパサつき感はなく、しっとりとした身には濃い旨味が込められている。この食べ方なら、断然むねだわ。

ももとむねの味の違いを楽しめ、タルタルもたっぷりつけても大丈夫な量があるのも嬉しいところ。途中に高菜炒めや山菜のナムル、甘い玉子焼といった副菜を挟みつつ、ボリューム満点の一折をあっという間に平らげます。

8月上旬東北新幹線E5系はやぶさ号新青森行き車窓を染める東北の夏景色
北の大地のビールを飲み、鹿児島で調製された宮崎名物を食べみちのくを目指す。そんな混沌としつつも至福の時間に揺蕩っていると、車窓にはこれぞ東北の夏という鮮烈さが流れるように。

8月上旬東北新幹線E5系はやぶさ号新青森行き車窓から眺めるどこまでも広がる田園とその先に横たわる栗駒山
力強い緑に溢れる車窓を眺めていると、どこまでも広がる田園の先に横たわる栗駒山。念願の温湯温泉への旅から、もうすぐ半年か。そんな時の流れの速さを噛みしめつつ、こうして車窓に蓄積されてゆく想い出たちが堪らなく愛おしい。

8月上旬東北新幹線E5系はやぶさ号新青森行き車窓から眺める南部片富士岩手山の優美な姿
那須から安達太良吾妻、蔵王に栗駒と、車窓を過ぎゆく山々に旅の記憶を重ねる東北路。そんなことをしていると、韋駄天E5系はあっという間に盛岡へ。ここまで来れば、もう少し。終点目指し再び走り出せば、南部片富士の異名をもつ優美な姿をくっきり魅せる岩手山。

8月上旬東北新幹線新青森駅新幹線コンコースで旅人を出迎える青森県内各地のねぶたにねぷた
東京から豊かな東北の夏色を浴びること3時間23分、はやぶさ号は新青森に到着。人波に紛れコンコースへと下りれば、出迎えてくれる津軽の熱さ。青森ねぶたに五所川原の立佞武多、そして愛する弘前ねぷたと、この時期は一斉に津軽の夏が花開く。

8月上旬新青森駅奥羽本線701系普通列車弘前行き
ここ青森もねぶた祭の真っ最中。多くの人がバスや奥羽本線の下り列車に乗り換えるなか、僕は上りの弘前行きに乗車。いつもの701系に、東北まで来たという実感が一気に湧いてくる。

8月上旬奥羽本線701系弘前行き車窓から眺める津軽ののどかな田園と勇壮な津軽富士岩木山
列車は青森平野に別れを告げ、山間を抜けて津軽平野へ。次第に広がりゆく展望に津軽の夏を感じていると、濃密な緑に染まる田んぼの先にはっきりと姿を魅せる岩木山。もう何度もこの季節に来ているけれど、こんなに見えているのは珍しいかも。

8月上旬弘前駅で旅人を出迎えるねぷた
津軽富士の勇壮な姿に胸を打たれていると、列車はついに弘前に到着。改札を抜ければ、そこには出迎えてくれる優美なねぷた。さあこれから、僕の夏がはじまるぞ!

8月上旬夏晴れの弘前駅
今夏もこうして、無事に帰ってくることができた。1年ぶりとなる駅舎の姿に、なぜだか目頭が熱くなる。今年も善き夏を、よろしくお願いします。

8月上旬夏の弘前ホテルハイパーヒルズ弘前
2012年から、中止のとき以外は毎年通い続けてきた弘前ねぷた。当時からそうではあったものの、去年今年は特に宿の確保に苦戦。暇さえあればトラベルコを開き、そんなことを繰り返してようやく予約の取れた『ホテルハイパーヒルズ弘前』に2泊お世話になります。

8月上旬夏の弘前ホテルハイパーヒルズ弘前シングル客室
駅とお城の間に位置し、飲食店の多い土手町にも近いという嬉しい立地。宿泊費高騰が続くなか、この時期としては良心的価格で快適なお部屋は本当にありがたい。

8月上旬夏の弘前ねぷたの前の腹ごしらえに津軽酒場あん梅
ホテルを早めに出て列に並び、無事に県外客向けの無料観覧席の整理券を入手。ねぷた出陣まで2時間足らず、まずは『津軽酒場あん梅』で腹ごしらえすることに。

8月上旬夏の弘前津軽酒場あん梅イガメンチ嶽きみの天ぷらミズの塩昆布和え青森紅サーモン刺身
さっそく生ビールで旅の疲れを流し、タッチパネルで気になるものを注文。お通しのほたて入り山かけをつまみつつ待つことしばし、おいしそうな品々が運ばれてきます。

まずは青い森紅サーモンのお刺身から。初めて聞く品種のサーモンは、青森県で開発されたものだそう。

青森の清らかな水で育ち、出荷前には特産のりんごやにんにく入りの餌を食べ。そうして育まれた身は鮮やかな色をしており、瑞々しさとしっかりとした歯ごたえが美味。ほどよい脂がありながらサーモン特有のクセやくどさはなく、上品な旨味に津軽の酒がぐいぐい進む。

そのお隣は、ミズの塩昆布和え。しゃきっとした食感に、ちょっとしたぬめりのあるミズ。僕的山菜の女王である大好物と塩昆布が合わされば、それはもう旨くない訳がない。

そして夏に弘前へと来たら、やっぱり食べたい嶽きみの天ぷら。しゃきっとプチっと弾ける実からは、あり得ないほどの甘味をもつ芳醇な果汁。岩木山に抱かれた嶽は、とうきびをものすごいご馳走に変身させる魅惑の地。

これまた大好物となったイガメンチには、青森県産のいかが使用されているそう。たっぷりのしゃきしゃき野菜からにじみ出る甘味、いかの持つ深い滋味。そのままでもいいが、マヨを付ければさらに旨さは深化。この4品だけで、津軽の地酒を3杯いってしまった。

8月上旬夏の弘前酒場あん梅すじこと納豆を合わせた太宰巻き
じわりと近づく、出陣の時間。まだまだ呑んでいたいという欲望を抑えつつ、今宵の〆を。確か太宰巻きといっただろうか、すじこと納豆を合わせたお寿司を頼みます。

その名の通り、太宰治が好んだという筋子納豆。金木でその旨さに出逢って以来、もう僕はすっかりこの味の虜に。どれどれと期待しつつ頬張れば、口中に広がるしあわせの洪水。

小粒のすじこは、減塩などという言葉にあまりなじみのなかった幼少期を思い出させるきりりとした塩辛さ。その分魚卵の旨味が凝縮され、膜を残したすじこならではのねっとりとした濃厚な旨さが堪らない。

そこにひきわり納豆の粘りと香り、旨味が加われば、相乗効果で旨さの体感としては倍、いやその倍、それ以上。そんな魅惑のマリアージュを海苔とご飯が受けとめ、これだけを延々と食べていたいと思えてしまう。

8月上旬夏の弘前津軽酒場あん梅で景気づけし夕暮れ色の空に映えるお山を眺める
これだから、津軽って奴は。旨い肴と酒に、祭りを前にしてすっかり上機嫌。もうそろそろ土手町通へと向かわねば。そう思いお店を出れば、昼間の灼熱とは一変し肌を撫でゆく爽やかな風。

もうすぐはじまる、僕の夏が。そんな筆舌に尽くしがたい高揚感に包まれつつ歩いてゆくと、胸を焦がすような夕空に頭を覗かせるお山。「山」という漢字は、岩木山からできたに違いない。そんな特徴的な姿を見つめ、今年もこうして津軽に身を置ける悦びをしみじみと噛みしめるのでした。

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