めくるめく感動海遊 ~西行き航路が呼んでいる 3日目 ⑤~ | 旅は未知連れ酔わな酒

めくるめく感動海遊 ~西行き航路が呼んでいる 3日目 ⑤~

10月下旬初めての山口県下関城下町長府バス停からサンデン交通バスに乗車し赤間神宮へ 旅の宿

長府で初めての山口の味と城下町の情緒に触れ、『サンデン交通』のバスで下関駅方面へと向かうことに。

10月下旬初めての山口県下関壇ノ浦赤間神宮鳥居
城下町長府から来た道を戻り揺られること15分、赤間神宮前で途中下車。ここからは海沿いに見どころが並ぶため、歩いて駅方面を目指すことに。

10月下旬初めての山口県下関壇ノ浦赤間神宮に設置されたふくポスト
国道を渡ると、ふぐが乗ったなんともかわいいポストがお出迎え。そしてその隣には、下関といえばのふく料理についての説明板が。そうか、伊藤博文がこの地でふくに出会わなければ、もしかしたら僕らもあの旨さを知らずに生きていたのかもしれないのか。

10月下旬初めての山口県下関壇ノ浦赤間神宮水天門
下関といえばの名物に迎えられ、あらためて赤間神宮へ。爽やかな秋空のもとに映える龍宮造り、見上げるその鮮烈な対比に思わず息を呑む。

10月下旬初めての山口県下関壇ノ浦赤間神宮拝殿
阿弥陀寺として創建され、明治の神仏分離によって神社となった赤間神宮。御祭神は、壇ノ浦の戦いによって数え年8歳で入水したという安徳天皇。この荘厳な拝殿で、こうして初めてこの地を訪れることのできたお礼を伝えます。

10月下旬初めての山口県下関壇ノ浦赤間神宮耳なし芳一堂
その奥には、木々に囲まれひっそりとした一画が。近づいてゆくと、琵琶を弾く法師の木像が。怪談として有名な耳なし芳一は、阿弥陀寺に伝わる説話だったそう。

近寄れば、突如流れ出す琵琶の音色と吟ずる声。その迫力と木像の表情の妙な現実味に、否応なしに気圧される。その隣には、平家一門の墓。手を合わせようかと一歩入ってみましたが、一礼するだけですぐ出てきてしまいました。

10月下旬初めての山口県下関壇ノ浦赤間神宮ちょっとばかり不思議な体験をして水天門をくぐる
普段はほとんどお寺に行く機会もなく、神社も自然や社殿の荘厳さに誘われ訪れるような感覚を持ち暮らしている僕。でもあの一画は、なんともいえない雰囲気だった。

10月下旬初めての山口県下関マンホールにも描かれるふくの絵
あ、いけない。そう直感的に察したのは、はじめて八重山の御嶽を見たとき以来だ。知らなかったとはいえ、むやみにお墓に近寄ってはいけないんだよな。当然のことながらそうあらためて自戒していると、マンホールにはそんなこころの強ばりをほぐしてくれるようなかわいいふぐが。

10月下旬初めての山口県下関重厚な旧英国領事館
左手に海を感じつつすこし進めば、食べ歩きで有名な唐戸市場が。でももうとっくに15時を過ぎているし、遠目から見ても終わっていそう。下関は下関で、これまたきちんと再訪せねばだな。そんな次へとつながる宿題を残しつつ歩いていると、大きな交差点に建つ重厚な洋館が。

10月下旬初めての山口県下関現存する国内最古の領事館建築旧英国領事館領事室
来年で築120年を迎える旧英国領事館は、領事館を用途として建てられた建築物としては国内最古のものだそう。2014年には保存修理工事によって建築当初の姿に復元され、旧領事室も往時の様子に再現されています。

10月下旬初めての山口県下関旧秋田商会ビルとその隣の下関南部町郵便局のレトロな建物
国道と県道の大きな交差点に面するように並ぶ、ふたつの洋風建築。正面は、125年前に建てられた下関南部町郵便局。下関最古の洋風建築、そして日本で現存する最古の郵便局舎として現役を続けています。その隣の旧秋田商会ビルは大正4年築で、西日本では初めてとなる鉄筋コンクリート造の事務所建築なのだそう。

10月下旬初めての山口県下関山口銀行旧本店
下関と山陰を結ぶ大動脈国道9号を歩いていると、遠目からでも判る歴史を感じさせる建物が。この重厚な銀行建築は三井銀行の下関支店として大正9年に建てられ、その後山口銀行本店を経て現在はやまぎん史料館として開放されています。

10月下旬初めての山口県下関今日一日たどってきた関門海峡を充実した気持ちで眺める
それにしても、本当に今日は朝からよく歩いてよく見たな。ある程度地図を見て当たりはつけていたものの、平面のデータからでは想像できぬほどの見どころが詰まりすぎていた。

もうこれは、あらためてじっくり回りに来るしかない。駆け足ながら、一日かけて巡った関門海峡。西日に染まる情景を、そんな再訪の想いとともにたっぷりの充実感に満たされ眺めます。

10月下旬初めての山口県下関国道9号線沿いに建つ大洋船具の渋い佇まいのビル
海峡の煌めきを胸いっぱいに吸い込み、ここで海辺に別れを告げ国道に沿って駅方面へ。ひっきりなしに車が往来する通り沿いにも、昭和12年築という目を引くオフィスビルが。

10月下旬初めての山口県下関国道9号線沿いに建つ福徳海苔福原商店の歴史深い建物
新旧の建物が続く通り沿いを進んでゆくと、これまた渋い佇まいの建物。歴史を感じさせる看板のとおり、なかでは海苔が売られています。

10月下旬初めての山口県下関国道9号線沿いで異彩を放つ昭和レトロな下関第一ビルディング
通りを挟んで斜向かいには、あきらかに年代を感じさせるアパートが。1階には店舗その上は住居とよくある造りですが、正面階段部を飾るガラス壁が印象的。奥に聳える近未来的な海峡ゆめタワーとの対比に、なんともぞくぞくしてしまう。

10月下旬初めての山口県下関関門海峡をぐるりと周遊し駅近くの下関ステーションホテルにチェックイン
いやぁ、しつこいようだが歩いた歩いた。16時半をすぎたころ、ようやく今宵の宿である『下関ステーションホテル』に到着。さっそくチェックインし、自室へと向かいます。

10月下旬初めての山口県下関ステーションホテル快適な個室カプセル
最近は毎月のように旅行しているので、節約できるところは〆ていかなければ。ということで、今夜は個室カプセルを予約。最近リニューアルしたのか、まだ新しさを感じる館内。個室にはテーブルと椅子のほか鍵のかかるロッカーも置かれ、大浴場も付いて4,500円はありがたすぎる。

10月下旬初めての山口県下関ステーションホテルから眺める幻想的な夕景
あらかじめ目星をつけておいた今宵のお店を再確認し、ちょっとばかりうたた寝。歩き疲れを癒したところで、いよいよ下関での宴へと繰り出すことに。

10月下旬初めての山口県下関美食酒家ゆめぜん下関店
せっかく初となる山口県、ふくも外せないが他にも食べたい。ということで選んだのは、山陽本線のガードをくぐったすぐ先にある『美食酒家ゆめぜん下関店』。早めに訪れたので運よく入れましたが、その後満席に。予約していった方が確実かもしれません。

10月下旬初めての山口県下関美食酒家ゆめぜん下関店お通しにはふく皮の梅和えをはじめとする3品
まずは冷たいビールで今日一日をねぎらっていると、おいしそうなお通しが。玉子焼きや野菜の中華炒めとともに、はやくもふくが登場。梅と和えられた皮の厚みに、さっそく地酒を欲してしまう。

10月下旬初めての山口県下関美食酒家ゆめぜん下関店とらふく刺しととらふく皮ポン酢
勢いよくビールを飲み干し、利き酒セットを注文。地元山口の酒が豊富に揃えられており、それから好みの3種類を選べるという旅行者にはなんともうれしいシステム。

そんな地酒に合わせるのは、下関といえばのとらふく刺し。厚めに切られた身をぽん酢にちょんとつけて噛みしめれば、ふぐならではの筋肉質と広がる滋味。添えられるのは地元下関産の安岡ねぎという、ふく料理のために栽培されたねぎだそう。風味がありながら辛味やくせがなく、上品なふぐをまったく邪魔しない。

そしてこれまた外せないのが、とらふく皮ポン酢。身も大好きだけれど、それ以上に愛してやまないふぐ皮。これさえあればいいとは言わないまでも、絶対食べたい大好物。分厚い皮はしっかりとした弾力があり、それでいて口内の温度で溶けてしまう。その旨味とともに広がるコラーゲン感に、笑みがこぼれて止まらない。

10月下旬初めての山口県下関美食酒家ゆめぜん下関店ふくの唐揚げとくじらのユッケ
つづいてもう一丁ふくをと頼んだ唐揚げは、さっくり香ばしい衣に抱かれた白身の弾力が堪らない。ぶりっとした食感、じゅわっと広がる上品な旨味。淡白ながら滋味深く、正直これまであってもなくてもいいと思っていたふぐ唐のイメージが変わってしまった。

そしてそろそろ違うご当地の味をと頼んだ、くじらのユッケ。くじらの通り道であったという長州の海では、古くから捕鯨が盛んだったそう。しっとりとした身は見ての通り赤身の旨味が濃く、黄身のまろやかさも加わり吞兵衛殺しの逸品。

10月下旬初めての山口県下関美食酒家ゆめぜん下関店ふくしゅうまいとめんたい生からすみ
このお店、何を食べても旨いしお値段もありがたい。食欲呑み欲に火が付いた僕は、さらに2品を追加。

蒸したて熱々のふくしゅうまいは、ふんわりとした食感に広がる繊細な白身の味わいが美味。そして明太子は、なんとここ下関が発祥の地とのこと。てっきり九州福岡のものだと思っていた。だしの旨味と華やかな辛味に彩られたぷちぷちとともに、食の実体験という旅の醍醐味を噛みしめる。

10月下旬初めての山口県下関美食酒家ゆめぜん下関店下関産新米の塩むすびと萩名産のしそわかめおむすび
ちょっとここは、大当たりだわ。到底ひとりでは、食べたいものを一度では味わい尽くせない。またこのために下関に来よう。そう思いつつ、満腹ながら名残りを惜しむべく今宵の〆を。

ちゃっかり2切れだけ残しておいた明太子に合わせるべく頼んだ、塩むすび。下関産の新米だそうで、ふっくらと瑞々しく、そしてすごく甘い。失礼ながら、この瞬間まで山口に対して米どころという印象がまったくなかった。このお米の旨さには、言い過ぎではなく衝撃を受けた。

そしてそんな旨いお米に、萩名産というしそわかめを混ぜたおむすびも。またこのしそわかめが逸品。ほどよく水分が残され、しゃっきりとした歯ごたえとともに広がる磯の香りと善き塩気。しそもまたこれみよがしなものでなく、爽やかなことこのうえなし。

10月下旬初めての山口県下関美食酒家ゆめぜん下関店で初めての山口グルメを堪能し大満足で歩く夜の街
いやぁ、初めての山口は最高だった。旨い地のものつまみに呑む、旨い酒。でも僕は、大満足であると同時にあることを直感した。これまで山口県のこと、あまりに知らずに生きてきしまった。

10月下旬初めての山口県下関ステーションホテル夜のお供に海響純米大吟醸
豊富な地酒メニューに、あれこれといろいろ飲み比べ。出されるもの、どれも旨い酒ばかり。でも僕は、長門と周防の区別もつかない。なぜいままで、この地へと来なかったのだろう。

これだから、旅することをやめられない。初めて訪れた地に秘められた、数え切れぬほどの魅力。そんな未知なる出逢いにあふれた今日一日を振り返り、あらためてこの生き甲斐とこれからも向き合おうと強くこころに決めるのでした。

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