大鰐温泉でのんびり過ごし、1時間に1本の大鰐線で弘前へと戻ってきました。もうすぐねぷた、その前に腹ごしらえをすることに。
今宵訪れたのは、昨日のけん太にも程近い『夢地』。昨日下駄を買ったゑびす屋さんの女将さんがおすすめしてくれたお店です。結果から言えば、やっぱり地元の方のおすすめは大正解!
お店に入ると観光客の姿はなく、ねぷたを控えた地元の方で賑わっています。そんな中、まず最初に注文したのは、なすのしそ巻き。津軽の郷土料理のようです。
初めての料理に、どんなものかとひと口。もうそれが旨いのなんの!長めに切ったなすに甘めの味噌を塗り、驚くほど大きな大葉で巻いて焼いたもの。油で焼くことでなすやしそに程よくしっとり感とコクがでて、香ばしい味噌の風味も相俟って地酒にドンピシャ。これぞ夏野菜!!
続いてはやはりお刺身が食べたいと、ほたてを注文。これまた切り方に技あり。繊維を断ち切るようにスライスしたものは、舌全体に甘味が広がるしっとりとした口触り。対して、縦に割ったものは、ほたての鮮度の良さをしっかりと伝える、心地よい歯ごたえ。
更にはこりっこりの食感と磯の風味が美味しいひもまでついて、まさに帆立づくし。こうしてほたて刺を食べ比べるのも楽しいものです。
そして、津軽に来たら一度は食べたい貝焼き味噌。こちらの貝焼き味噌は、ほたての他に豆腐や長ねぎがごろっと入った、食べ応えのあるもの。味付けは控えめで、お出汁や味噌の風味が香ります。
そして〆は、青森名産の田子にんにくの唐揚げ。素揚げはよくありますが、唐揚げは初めて。ふっくらと揚げたて熱々をひと口。何これ!ものすごく甘い!
にんにく好きで、素揚げなどもたまに食べますが、このフルーツのように甘いにんにくは生まれて初めて。食感もほっくりとしっとりのいいとこどりで、舌触り良く溶けてゆきます。周りを固める衣の味も食感も絶妙。そして敬遠されがちな臭いも全く無し。
履物屋さんのおすすめのお店で、旨い津軽の味をつまみに、しこたま楽しむ津軽の酒。青森は本当に食が深い。弘前に来たら、けん太と夢地。間違いのないお店に出会い、早くも来年また飲むことを夢見てしまうのでした。
お店の居心地の良さにあやうく時を忘れそうになりましたが、何とかねぷたに間に合わせることが出来ました。酔いに包まれ歩く道。心配していた天気も、どうやら大丈夫そうです。
今夜もホテルに席を用意して頂き、暮れ始める中ねぷたを首を長くして待ちます。そのお供は、お祭りといえばの焼きそば。夢地にも美味しそうな〆があったのですが、我慢してこのお祭り感を楽しみたかったのです。
縁日の焼きそばと、お店で頂いたねぷたのうちわ片手に待つ夕べ。この夜が終わると、僕の夏も終わる。そしてその思いは、また来年へ。
この旅最大にして最後の目的の終わりが始まってしまう寂しさを、涼しい津軽の夏の日暮れに重ねるのでした。
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