玉取崎からの鮮烈な眺めをこころに刻み、再び車を走らせます。東シナ海へと出るため伊野田で右折し進んでゆくと、本当にここで合っているのか?と思うような山深さに。ぐいぐいと走ってゆくと突然視界は開け、この眺望が目に飛び込みます。
右手にはときおり覗く碧い海、左手には鬱蒼と繁る山林。そんな車窓を愛でつつ川平を越え、底地ビーチに到着。ここもなかなかバスでは来るのが難しい場所。
浜辺には木陰が続き、その先に広がるのは遠浅の海。静かで落ち着いた雰囲気は、これまで訪れたビーチとはまた違った趣。
こちらのビーチはあまり観光客が来ないのか、駐車している車を見ても地元の人が多い様子。波のない遠浅の海と同様に、穏やかな空気感が流れています。
そして右手を見てみれば、想い出の宿である石垣シーサイドホテルが。35歳、生まれて初めての沖縄県。あの宿で過ごした3泊4日があまりに愛おしく、おかげですっかり八重山病に罹ってしまった。
時刻はちょうどお昼どき、そろそろ昼食を取ろうと来た道を米原方面へと戻ります。その途中、行きに見つけた駐車場へ。ここからは川平湾を一望のもとに収めることができ、川平公園からとはまた違ったうつくしさを楽しめます。
目的地はここ、『八重山嘉とそば』。ナビでは川平山原という住所は出てこないし、お店へと入る道の入口に小さな看板が出ているだけのため、危うく見つけられないところでした。
ですがここは有名店のようで、僕らが入ったすぐ後に待ちが発生。ちょうど良いタイミングだったとほっとしていると、注文した八重山そばセットが運ばれてきます。
まずは澄んだスープをひと口。豚やかつおをほんのり感じつつも、塩味ベースのかなりあっさりした味わい。そばは生麺を使っているようで、八重山そばと言って想像する茹で麺とは全く違った表情。細目でつるつるもちもちしており、どちらかといえばコシの弱いラーメンといった雰囲気。
全体的に優しい味わいのそばを啜り、続いてじゅーしーへ。こちらも穏やかな味付けで、お米にじんわりと優しい旨味が染みています。
途中でピィヤーシやコーレーグースを加えれば、一気に南国を感じさせる味わいに。添えられた冬瓜の煮物や島豆腐の冷奴もおいしく、汗を掻きつつスープの最後の一滴まで平らげます。
穏やかで個性的なそばを味わい、ドライブ再開。薄青に染まる名蔵湾に沿って軽快に走ります。
続いてやって来たのはバンナ公園。400haに渡るバンナ岳のうち290haを占めるという広大な公園で、園内にはいくつもの展望台が設けられています。
事前に調べていなかった僕らは、現地でそれを知ってびっくり。行きたかった場所がエメラルドの海を見る展望台であることが分かり、バンナ岳を貫くバンナスカイラインで向かいます。
展望台へと登れば、その名の通り眼前に広がる海の大パノラマ。真栄里方面では外海の青さがうつくしく、港方面へと視線を移せば碧い珊瑚礁に浮かぶ竹富島や黒島を一望のもとに。
さらに右へと回れば、先ほど海沿いを走ってきた大きな名蔵湾。それぞれの海の色合いの違いに、石垣島の表情の豊かさを感じます。
鮮烈なあおに染まる海を背にして北側を向けば、長い稜線をのばすバンナ岳と沖縄県最高峰の於茂登岳が。山々を覆う木の密度の濃さに、ここが亜熱帯であることを実感。
レンタカー返却までまだ時間があったため、富崎方面へと足を延ばすことに。小浜島や西表島を望む観音崎には、70年以上前に米軍に建てられたという琉球観音埼灯台が白く輝きます。
そしてドライブの〆にとやって来たのは、フサキビーチ。南の島のビーチと言って誰もが思い描く姿を具現化したような、南国感溢れる情景が広がります。
陽射しを返す白い砂浜、名蔵湾へと続く青い海。連なる石垣島の稜線も夏の太陽に蒼く染まり、じりじりと肌を灼く熱さまでもが楽しくなる。
本島、西表に次ぎ、沖縄県で3番目の大きさを誇る石垣島。思った以上の起伏もあり、これは車やバイクでなければぐるりと回るのは難しい。
8度目にして、初めてしっかりと周遊した石垣島。その豊かな表情と新たに出逢い、より一層この島が好きになるのでした。
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