湯癒逸無二の山形へ ~陸羽仙山、時空旅。1日目 ⑤~ | 旅は未知連れ酔わな酒

湯癒逸無二の山形へ ~陸羽仙山、時空旅。1日目 ⑤~

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼ローマ式千人風呂脱衣所の上に飾られた昔話はなさかじいさんの彫刻 旅の宿

歴史の積み重ねから溢れる温もりに包まれた館内を味わい、ついに9年ぶりにあの湯との再会へ。脱衣所へと入れば、出迎える印象的なこの彫刻。花咲かじいさんの一場面が、躍動感をもって表現されています。

なぜ脱衣所の棚の上に、これを飾ろうと思ったのか。そんな無粋な疑問など、どうでもよくなるこの世界観。温泉マークの下からは、百萬両や一億両の小判がザクザク。その様子を嬉しそうに眺めるお爺さんの着物には、四つのキの中心にロが描かれた喜至楼のマーク。きっとこの宿の繁栄を願って造られたのでしょう。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼夜の雰囲気満点のローマ式千人風呂
シロ、かわいいな。独特の風情に心酔しつつ浴衣を脱ぎ浴場へと向かうと、中央に鎮座する大きな円形の浴槽。広い空間を支える何本もの柱や床、浴槽に貼られた細かいタイル。浴槽の中央には天井まで伸びる円柱が立ち、その佇まいはどことなく神殿のよう。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼ローマ式千人風呂の壁面に描かれたパンとシュリンクスの神話
そしてこの浴場をより一層独特な空間にするのが、この壁画。パンとシュリンクスの神話が、緻密なタイルで描かれています。ローマ式千人風呂、その名に恥じぬ唯一無二の魅惑の湯屋。この世界観に抱かれ瀬見の湯に揺蕩えば、夢と現の境すら緩んでゆく。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼本館101号室障子を閉めればまた違った雰囲気に
この宿を彩る独特な美意識を存分に浴び、身も心も火照ったところで自室へと戻ります。日中は暖かいとはいえ、夜はやっぱりちょっと冷える。そう思い障子を閉めれば、部屋はまた違った雰囲気に。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼夜のお供に樽平純米吟醸雪むかえ
9年ぶり、かぁ。あまりの宿の変わらぬ魅力に、過ぎた歳月すら信じがたい。やっぱり来て、良かったな。そうしみじみ思える夜に開けるのは、川西町は樽平酒造の純米吟醸雪むかえ。まろやかで、さらりと飲みやすいおいしいお酒。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼あたたまり湯の脱衣所に飾られた金太郎と熊の彫刻
旨い酒をちびりとやり、気が向いたら再びお湯へ。続いて向かったのは、男女別の小浴場であるあたたまり湯。棚の上には、おかっぱ頭の金太郎と毛並みまで表現されたかわいい熊。この宿の、空白を良しとしないこの感じが好き。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼あたたまり湯の小判型の浴槽
小さいタイルが埋め込まれた小判型の浴槽に、たっぷりと掛け流される源泉。浴槽が小さい分少し熱めで、オランダ風呂や千人風呂よりもすっきりシャキッとした湯上りに。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼レトロな洗面所を彩る細かいタイル
いい湯だった。額から垂れる汗をぬぐいつつ歩く、渋い館内。共同の洗面所には壁までタイルが用いられ、白熱灯に艶めく姿がまた美しい。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼飴色に輝く磨き抜かれた空間
この宿は、本当に大切にされているんだな。艶々としたタイルや磨き抜かれ飴色に輝く空間からは、そのことが溢れんばかりに滲み出る。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼階段の踊り場に佇む福助さん
今よりも、旅というものが遥かに贅沢であった昔の時代。だからこそ、非日常で最大限に旅人を出迎えよう。この建物に散りばめられた幾多もの装飾からは、そんな心意気のようなものが感じられる。どこを眺めても、何かがある。この空間自体が、嬉しいおもてなし。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼夜のお供に加藤嘉八郎酒造大山愛心酒特別純米超辛口
穏やかながら、しみじみとこころに沁み入る山形の夜。続いて開けたのは、鶴岡の加藤嘉八郎酒造の醸す大山愛心酒特別純米酒超辛口。確かにきりりとした辛さはあるものの、嫌な感じはなくするりと飲める旨い酒。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼本館101号室障子を彩る組子細工
いい夜だな。9年前に来たときは、この独特すぎる世界観に正直終始はしゃいでいる自分がいた。その時と同じ部屋に滞在していても、やっぱり感じ方って変わるんだな。なんだか今夜は、胸が温かい。

10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼本館101号室を包む飴色の歴史
湯上りと日本酒の火照りにごろり畳に転がり見上げれば、視界を染める時を経た木の放つ優しい温もり。

この宿を建てた主人の想いを、見事に具現化した古の職人の技。そんな他に類を見ない唯一無二のこの空間を、大切に手入れし続け残してきた宿の人々。この宿は、ずっと在り続けてほしい。馴染みの良い瀬見の湯のように、この宿に満ちる温もりがすっとこころに沁みてゆくのでした。

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湯癒逸無二の山形へ ~陸羽仙山、時空旅。~
10月中旬初秋の瀬見温泉山形県最古の旅館建築喜至楼本館101号室建具とは思えぬ美しさの鯉の滝登りの彫刻
2023.10 山形/宮城
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●1日目(東京⇒大崎⇒瀬見温泉)
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●2日目(瀬見温泉滞在)
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●3日目(瀬見温泉⇒山寺⇒仙台⇒東京)
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