僕は北海道が大好き。特に冬の北海道は格別です。この寒い時期に敢えて寒いところに行く。それが旬な旅というものだと思います。今回も、JR東日本の「ぐるり北海道フリーきっぷ」を使っての旅。往復に新幹線や北斗星が利用でき、道内は特急の指定席が乗り放題のとてもお得なキップです。(廃止)
やっと空が明るくなってきた頃、はやて1号で一路八戸を目指します。何度旅をしても、この出発の瞬間のワクワクはたまりません。
列車旅といったら、やっぱりまずは缶ビール。暖かい車内でホッと一息つき、冷たいビールをプシュッと開けます。今にも北海道へと飛び立ってしまいそうな心を抑え、ビールと共に飲み込みます。
長い道中、これから行く先々での出来事に思いを馳せつつ、一歩、また一歩と進んで行くのも、列車旅のいいところ。
丁度朝ごはんの時間なので、早速駅弁を頂くことに。今回買ったのは、ふるさと弁当。年末年始の帰省時期に合わせた期間限定商品です。新幹線をメインにしながらも、郷愁を誘うパッケージに魅かれて購入してしまいました。
蓋を開けるといかにも駅弁、というような昔ながらのオーソドックスなおかず。お母さんの手作りを意識して作っているそう。
そのラインナップは、サーモントラウト塩焼き、厚焼き玉子、青菜と菊花のお浸し、ぜんまいの五目煮、舞茸天ぷら、帆立旨煮、煮物、ご飯、南高梅の梅干といったもの。お品書きも入っており、それぞれにこだわりがありそう。
一品一品丁寧に調理されており、薄味で素材の良さが感じられます。玉子焼はほんのりとした甘さの優しい味。サーモンは大きい上にしっとりと焼き上げられており、ご飯がどんどん進みます。
そのどんどん進んでしまうご飯にも秘密があり、契約栽培農家の有機認証秋田県産あきたこまちだそう。冷めているにもかかわらずモッチモチで、甘味もしっかりしたとっても美味しいお米。このご飯は、今まで駅弁を食べてきた中で、間違いなく一番。
前日、旅立ちの嬉しさのあまり飲みすぎて、二日酔い気味だった僕ですが、そのおいしさにあっという間にたいらげてしまいました。
絶品駅弁に舌鼓を打っているうちに、気が付けば外は雪化粧。今年は福島あたりでも雪がちゃんとあるんですね。ここ最近、本州は雪不足が続いているので、少し安心しました。
ここでワンカップを取り出し、雪見酒といきます。出発が朝早いため、前日にお気に入りのお酒を用意しておきました。石川のお酒、加賀鳶の極寒純米です。
加賀鳶は僕のお気に入りのお酒ですが、極寒純米は酒粕の強烈な香りと旨味を感じられる、ガツンとくる逸品。地域は違えど、雪国で作られたお酒を、雪を見ながら堪能する、まさに贅沢。
東京から3時間ちょっと。あっという間に八戸に到着。ここから在来線の特急、スーパー白鳥に乗り換え、北海道の鉄道の玄関口である函館を目指します。
先程までの飛んでゆくような景色の流れとは違い、心地よい速度で車窓は流れていきます。田んぼに積もった雪が、ここがもう北国であることを実感させます。
深い山の中をくねくねとひた走る列車。気が付けば目の前には陸奥湾が広がっていました。重たく、暗くなりがちな冬の海ですが、今日は晴れているのでどことなく海も明るい表情を見せています。
中間地点の青森駅に到着。ここで進行方向が変わるため、しばらく停車します。ここで開けたのは、八戸駅で仕入れた、にごり酒ワンカップの雪っこ。
純米ではありませんが、口当たりのいい、美味しいにごり酒です。ただし、アルコールは20度近くあるので要注意。じっくり、ゆっくり、味わいながら飲みます。
青森駅を出発してしばらく走れば、いよいよ本州と北海道を結ぶ青函トンネルへと突入します。この光を最後に、もう本州の景色を見ることはありません。
真っ暗な闇の中を、列車は轟音と共に滑っていきます。次に光を見るときは、そこはもう北海道。時刻はちょうどお昼時。津軽海峡の下で味わうのは、青森が誇る大間のまぐろを使用した、大間のマグロまっしぐら。
蓋を開けると目を引くのが、大きな赤身のヅケ。薄味の茶飯の上に、赤身が3枚と、マグロのそぼろ、錦糸卵に煮物が載っています。
程よくヅケにされ、表面を炙られた赤身にわさびを付けて口に運べば、赤身の濃い旨味が口中に広がります。さすがは大間の本マグロ。身のねっとりとした食感といい、旨味といい、申し分ありません。
続いてマグロのそぼろを一口。丁度良く甘辛に味付けされたそぼろはこれまた美味。美味しいマグロは、火を通してもその美味しさが損なわれることはないんですね。
ツナのようなものをイメージして食べると、その違いに驚きます。ふっくら、ジューシーなそぼろは、これだけでも食べる価値あり。
美味しいマグロと、青森の新品種のまっしぐらというお米の相性もバッチリ。さすがは明治創業、有名な八戸小唄ずしを作っている会社です。いやぁ、今日は駅弁にツイてるなぁ。
おいしいまぐろをつまみに、青森のお酒じょっぱりを愉しみます。これは青森駅の停車中に仕入れたもの。東北は青森のお酒らしく、キリッと辛口の、すっきりとした飲み口です。まぐろの旨味をさらに引き立ててくれる、そんなお酒。
さて、この真っ白な画像は何でしょう。正解は、列車が北海道に抜けた瞬間の光景です。30分以上青函トンネルの闇を見続けたこの目にとって、北海道の光はあまりにもまばゆいものでした。
無事に北海道入りを果たし、列車は津軽海峡沿いを走ります。石川さゆりの出番の無さそうな青い海の先に、雪化粧をした函館山がぽっかりと浮かんでいます。ここまできたら、函館はもう目の前。
八戸を出てから3時間とちょっと。北海道は函館に到着。この旅で初めて雪に触れられるチャンス到来!誰も通らない雪の中を無駄に歩いたのは言うまでもありません。本日の目的地、洞爺湖温泉まではあと一息。
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