待ちに待った仙台での夜。訪れるのはもちろんここ、『べこ政宗』。以前ブログでご紹介した名掛丁店ではなく、今回はもう少し駅から離れた中央二丁目店(この店舗は閉店)にお邪魔しました。
基本的なメニューはさほど変わらないのですが、よくよく見比べると片方にしかないメニューがあるため、今回はこちらにしました。
牛たん屋さんでありながら宮城を初めとする地酒も豊富にあり、土地のものを使ったつまみもある、飲めるお店。もちろん、僕も地酒を注文します。
お通しで出てくるのは、とろ牛たんのお寿司。薄く切られた生の牛たんをにぎりにしてあります。見るからに美味しそうな淡い桃色のにぎりを頬張れば、もう幸せのひとことに尽きます。
牛とは思えないほど融点の低い脂は、口に入れただけで溶けて旨みと共にさっと広がります。それでいて牛たんらしく心地良い歯ごたえを感じることができ、何とも不思議な感覚。
良く味わって飲み込めば、牛の甘い良い香りと共に、牛たんの持つ特有の香りがほんの少しだけ感じられます。それは本当にクセのないほんのりとした風味。その余韻を口の中で感じ、どっぷりと幸せに浸ってしまいます。
そしてこちらがメインの、本場仙台味噌を使用したとろ牛たんみそ焼き。とろ牛たんとは1本のタンから100gしかとれない貴重な部位だそうで、僕はこのとろ牛たん食べたさにべこ政宗を選んでしまうのです。
このとろ牛たんはどちらの店舗でも食べられるのですが、それをみそ焼きにしたものは、ここ中央二丁目店でしか食べられません。だからこそ、駅からは少し遠いですがこちらを選びました。
塩竈の藻塩を使ったシンプルな塩焼きももちろんとっても美味しいのですが、この仙台味噌をまとったとろ牛たんは格別の旨さ。味噌の香りにノックアウト寸前。
逸る気持ちを抑えて一口噛めば、これほど分厚いのにさくっと噛み切れる柔らかさと適度な歯ごたえ。そして広がる上品な脂の旨さ。それらを仙台味噌の芳醇な香りがまとめ、三位一体となり口から鼻まで牛たん一色に染めてゆきます。
あぁ、書いているだけでまた食べたくなってきました・・・。仙台牛たんは地元の方にも人気の有名店がいくつかあり、そこへも行ってみたい気持ちはもちろんありますが、どうしても足がべこ政宗に向いてしまうのです。それほど、このとろ牛たんに心酔しています。
そしてとどめはとろ牛たんのお刺し身。以前にとろ牛たんのお寿司を食べて、おっ!生の牛たんってこんなに美味しいんだ♪と思って以来食べたかった一品。とろ牛たんセットというのがあり、先程の焼きと刺しを単品で頼むよりお得になっています。
実はこれ、食欲に負けて思わず2~3枚程つまんでしまってから撮った写真。ですから実際はもう少し量があります。
同じ生のたんでも先程のお寿司とはまた印象が違い、もっとしっかりお肉を感じる存在感があります。しゃりの熱が加わっていない分、脂が溶けずにいるためでしょうか。
適度な歯ごたえと柔らかさを兼ね備えた独特の食感を楽しみつつ噛みしめれば、牛の旨さがたっぷりと詰まった脂がじゅわっと染み出してきます。ですが、決して脂っこい訳ではなく、なんとも上品で控えめな牛らしさ。
ホント、これは食べてみなければ分かりません。横にはわさびの他にニンニクが添えられており、そのどちらで食べるかによってもこれまた大変身。もう、モウ美味しいのひとこと!!
仙台に来るたびに訪れてしまうべこ政宗。今回も期待を裏切らない絶品牛たんの数々で大満足の夕飯となりました。これを食べるためだけに仙台に来てもいいと思えるほど。
東京に進出している地元の人気店ももちろん美味しいのですが、やっぱり僕はここが好み。仙台でしか食べられないのが、悔しくもあり、それが魅力でもあり。そんな思いも、きっと良い調味料となっているのでしょう。
牛たんの余韻に酔いしれつつ歩く仙台の街。駅前は海からの濃霧に包まれ、とても幻想的な雰囲気に。これほど霧が濃いにもかかわらず、それほど嫌なジメジメは感じません。それどころか8月とは思えないほど涼しくて爽やかな空気。
仙台の観光サイトによると、2000年までの30年間の平均として、真夏日と真冬日を合計した日数は年間約20日だそうで、これは日本の県庁所在地では一番少ないのだそう。つまり、極端な気候の少ない住みやすい街、ということです。
仙台、今僕の中で住みたい街ナンバー1。まだ数回訪れただけなので、街のことはよく知りません。ですが、この街の持つ独特なパワーや雰囲気、流れる時間の早さの違いなど、初めて訪れたとき以来本当に住んでみたいと思うようになりました。
僕の職業はある意味その土地に根っこを張って働くような仕事。絶対にそのエリアからは離れられません。ですから今は無理でも、もし定年を迎えてそれでもこの街が好きでいたならば、本当に引っ越して来たい。そう思っています。
そんな憧れの地仙台で楽しむ宮城の旨いもの。牛たんを満喫した後は、ホテルでゆっくり晩酌タイム。
この日ももちろん、仙台駅で仕入れた澤乃泉ワンカップと笹かまぼこを両手に持って御満悦。今回は有名な老舗である阿部蒲鉾店の笹かまぼこ、千代を購入。パッケージの千代の文字は、伊達政宗公の直筆だそう。
表面はしっかりときつね色に焼かれ、程よい香ばしさが感じられます。噛めばブリッとした弾力のある歯ごたえ。しっかり身の詰まった力強さを感じます。余計な味付けは無く、程よい塩加減で魚の旨さがしっかりと楽しめます。
心地良い弾力としみじみとした魚の旨さを噛みしめれば、お酒が進まないわけがありません。そう思いもう一本、宮寒梅を用意しておきました。素朴なつまみは地酒の旨さをより一層引き立ててくれます。
到着後から仙台の美味しいものをたくさん楽しみ、政宗公の歴史に少しだけ触れてみる。そんな仙台を満喫した1日でした。明日は東北鎮護、陸奥国一之宮が鎮座する塩竈を訪れます。
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