会津発、信夫へ続く銀鉄路。~冬の福島・湯季味旅 4日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

会津発、信夫へ続く銀鉄路。~冬の福島・湯季味旅 4日目 ①~

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯青白く煙る朝 その他

信夫高湯で迎える静かな朝。まだ明けきらぬ山並みには霧がかかり、夜から朝へと移ろう青白さに包まれています。その幻想的な光景に誘われ、早速朝風呂へ。きりりと締まった冬の空気の中浸かるにごり湯は、この季節ならではの贅沢そのもの。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯1泊目朝食
少々早く目覚め、朝湯の後の微睡タイム。そんなゆったりとした時間を過ごしたところで朝食の時間に。焼鮭やおひたし、たらこに鶏つくねの煮物。くつくつと煮える小鍋は餃子鍋で、おいしいおかずを供ににご飯がどんどん進みます。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯コーヒーを持ち帰り自室で雪見コーヒータイム
しっかりとご飯をおかわりし、満腹になったところで部屋へと戻ります。ロビーにはコーヒーマシンが置いてあり、自室に持ち帰りも可能。白さに埋もれる明治生まれの湯小屋を愛でつつのコーヒータイムに、連泊だからこそのゆとりを重ねます。

冬の高湯温泉旅館玉子湯露天風呂天翔の湯※この写真は2017年に撮影したものです
ベッドにころりと寝転がり、気が向いたら温泉へ。日ごとに男女入れ替えをする天渓の湯は、今日は左側が男湯に。大きな湯船には高湯の源泉が惜しげもなく掛け流され、自分好みの温度と眺め、そして深さの場所を探し当てのんびりゆったり浸かります。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯明治生まれの湯小屋を眺め味わうビール
みんながチェックアウトしてゆくなか、時間を気にせず青白く染まるにごり湯を独り占め。そんな連泊の甘美な時間をより一層深めてくれる湯上りの冷たいビールに、今はただ心身ともに酔っていたい。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯青空と白い雪
あぁ、いいなぁ。浸かって、飲んで、微睡んで。ただひたすらに怠惰な午前に揺蕩っていると、朝の霧はすっかり晴れ目を細めるほどの青空に。冬の生み出す強烈なコントラストに、呆けかけていた意識を取り戻します。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯昼食のおにぎりと金水晶で昼酒を
眩いばかりの雪景色に、思わず時が経つのも忘れて身を委ねてしまう。気づけばあっという間にもうお昼どき。連泊の場合は、予約しておくと昼食におにぎりか松花堂弁当を用意してくれます。

ふっくらもちもちのお米が握られた、大ぶりなおにぎり。そんなシンプルな昼食を、一層味わい深いものとしてくれる禁断の友。福島市は金水晶の純米酒片手におにぎりを頬張れば、お米の旨さが心身の隅々まで行き渡るよう。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯窓を開けるほどの暖かさ
それにしても、本当に天気が良い。暖房を止めてもまだ足りず、大きな窓を開けるほどの暖かさ。差し込む陽射しを浴び、おにぎり頬張り昼酒ちびり。こんな幸せ、探そうとしてもそう見つかるものでもない。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯青空に染まる白い雪
空を見上げれば、爽快な青さに浮かぶ白い雲。冬晴れの空と白い雪の鮮烈な対比に、日々の色々が染みついた心の奥底までもが漂白されてゆくよう。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯眩い冬の陽射しと佇む湯小屋
穏やか。どこまでも穏やか。まるで5年ぶりの再訪を祝してくれるかのように、僕を包んでくれる玉子湯での午後。こんな時間が永遠に続いたならば。それが叶わぬ願いだと知っているから、今この瞬間を噛みしめていたい。

明治の湯小屋玉子から望む雪壁と青空※この写真は2017年に撮影したものです
どこまでも清々しい、昼下がり。そんな豊かな時間には、露天も良いが内湯も似合う。150年以上もここに在り続ける湯小屋に抱かれ眺める雪壁に、冬の山湯の情緒を感じずにはいられない。

2月中旬冬の高湯温泉旅館玉子湯心すくような冬晴れの雪景色
爽快だ。こんなに胸に靄のかからぬ時間を過ごすのは、いつぐらい振りだろうか。胸のすくような冬景色に、ここ数年の自分的、社会的変化でこびりついたあれこれがすっかり溶けてしまったようだ。

まだまだ状況は不安定だけれど、長いトンネルを抜けたような気がする。旅を生きがいに持つ僕にとって、ようやく生きた心地で過ごせる日々が戻ってきた。そんな僕の気持ちを映すかのように、冬晴れの空は高湯での午後の時間を鮮やかに照らしてくれるのでした。

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会津発、信夫へ続く銀鉄路。~冬の福島・湯季味旅~
2月中旬会津鉄道車窓を埋め尽くす雪原と銀嶺
2022.2 福島
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●1日目(東京⇒湯野上温泉)
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●2日目(湯野上温泉⇒会津若松⇒中ノ沢温泉)
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●3日目(中ノ沢温泉⇒高湯温泉)
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●4日目(高湯温泉滞在)
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●5日目(高湯温泉⇒福島⇒飯坂⇒東京)
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