会津発、信夫へ続く銀鉄路。~冬の福島・湯季味旅 5日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

会津発、信夫へ続く銀鉄路。~冬の福島・湯季味旅 5日目 ②~

2月中旬冬の福島交通飯坂電車福島駅入口 旅行記

おいしい餃子で腹ごしらえし、いざ山へ。福島交通の『飯坂電車』のりばへと向かいます。それにしてもこの入口、何度見ても堪らない。駅ビルの横にひっそりと佇む感じ、この地方私鉄臭がゾクゾクくるのです。

2月中旬冬の福島交通飯坂電車福島駅に停車中の元東急1000系電車
前回乗車した時は元東急の古参が駆けていましたが、5年前に新車に置き換えられたとのこと。この電車も東急生まれ。バリバリの現役時代を知っている車両が地方へと巣立ってゆく。その数が増えるごとに、自分も歳を取ったもんだと実感してしまう。

2月中旬冬の福島交通飯坂電車木目とゆののれんが印象的な1000系車内
飯坂電車の歴史や沿線の魅力をテーマにしたカラーを纏った車両に乗り込めば、これまた東京時代とは違った温かい趣に包まれています。運転台や貫通路には「ゆ」ののれんが掛けられ、これから向かう湯の街への期待を高めてくれるよう。

2月中旬冬の福島交通飯坂電車美術館図書館前駅
2両編成の小さな列車に揺られること2駅、たったの3分で最初の目的地の最寄りである美術館図書館前駅に到着。車掌さんにきっぷを見せ、小さな構内踏切を渡り外へと出ます。

2月中旬冬の福島交通飯坂電車1日フリーきっぷ
今回利用したのは、全線乗り放題と飯坂温泉共同浴場の入湯券がセットになった、800円の『1日フリーきっぷ』。飯坂温泉まで往復してお風呂に入るだけでもお得になります。

2月中旬冬の福島これから挑む信夫山
駅を出て住宅地を抜けると、駅名の通りとても大きな美術館と図書館が現れます。そしてその背後に聳えるのが、これから挑む信夫山。盆地の中でここだけぽつんと聳える姿を新幹線からもよく見ますが、麓からこうして見上げると意外と高そう。

2月中旬冬の福島信夫山へと続く車道からの眺め
美術館・図書館の左右どちらからも裏手へと回れますが、行き帰りと両方試した感覚では左側の道が近そう。大きな敷地を左に回り込み、信夫山の裾野へと登ってゆく住宅地の道を道なりに進みます。結構な勾配の道を進んでゆくと、あっという間にこの高度感。お昼、餃子半皿にしておいて良かったかも。

2月中旬冬の福島信夫山へと登る車道
実は当初、市内でもハイキングにもってこいの有名な山なのだから、何かしらの案内板でもあるだろうと思ってここまで来てしまいました。でも美術館図書館前駅からのルートはマイナーなようで、実際は案内板は皆無。スマホの地図や他の方のブログ記事を参考にしつつ、車道を進んでゆきます。

2月中旬冬の福島信夫山月山・湯殿山登山口
こっちで合ってるのかなぁ、なんて少々不安になりつつも歩いてゆくと、月山・湯殿山と書かれた登山道入口の標識を発見。ほっと安堵するとともに、思った以上の山道にちょっとばかりひるんでしまいそう。

2月中旬冬の福島信夫山月山・湯殿山ルートの荒々しい道
でも積雪もなさそうだし、せっかくここまで来たのだからと登山開始。足元には木の根や大きな岩が多数隠れており、大小の段差をいくつも越えながら細い道を登ってゆきます。

2月中旬冬の福島信夫山月山・湯殿山ルートからの展望
あまりペースを上げると早々に息が上がりそうなので、一歩ずつゆっくりと進みます。そして視界が開けた場所で小休止。ちょっとこの眺め、凄いんですけど。中腹でもこの展望に、この先待ち構える絶景への期待が高まります。

2月中旬冬の福島信夫山何とか月山駐車場へとたどり着く
纏っていたダウンすら脱ぎ、結構な汗を掻いたところでようやく人工物を発見。入口の標識以来何もなかったので、このルートで合っていたと一安心。

2月中旬冬の福島信夫山月山神社
先ほどの月山駐車場からは標識が整備され、迷わず歩くことができます。ここ信夫山は、熊野山、羽黒山、出羽山の三山からなる古くからの信仰の山。山内には大小の神社やお寺が点在しており、この月山神社もそのひとつ。

2月中旬冬の福島信夫山湯殿神社
月山神社にお参りし更に進んでゆくと、再び小さなお社が現れます。こちらは湯殿神社。ここまで来れば、絶景まではあともうすぐ。

2月中旬冬の福島信夫山烏ヶ崎展望デッキまでもうすぐ
湯殿神社から先は道は下りへと転じ、左右の木々越しに感じる展望の気配にワクワクしつつ進みます。そしてついに、視界の先には壮絶な青さの予感が。何となく立ち寄ったつもりだけれど、もしかしたら凄いところに来てしまったのかもしれない。

2月中旬冬の福島信夫山烏ヶ崎展望デッキからの大パノラマ
嘘みたい。辿り着いたこの瞬間、僕の口から出た素直な感想。小高い山だと思って登ってみれば、こんな素晴らしい眺望が待っていたなんて。

2月中旬冬の福島信夫山烏ヶ崎展望デッキから望む吾妻連峰
信夫山の西側に切り立つ烏ヶ崎の展望デッキからは、福島の街や吾妻連峰、安達太良山を一望のもとに。抜けるような青空の下連なる銀嶺に、もう感動以外の言葉が見つからない。

2月中旬冬の福島信夫山烏ヶ崎展望デッキからの壮大な眺め
あまりにも青く、あまりにも空に近い。視界を遮るものが全くない烏ヶ崎の突端に立てば、冬の福島の壮大さを全身に浴びているかのよう。

2月中旬冬の福島信夫山烏ヶ崎展望デッキから見下ろすE5系東北新幹線
雄大な大パノラマに圧倒されていると、足元に吸い込まれるE5系の姿が。これまで何度も潜ってきた信夫山。あの漆黒のトンネルの上にはこれほどまでの絶景があったなんて、想像してもみなかった。

2月中旬冬の福島信夫山烏ヶ崎展望デッキ青く染まる大パノラマ
デッキに腰掛け、いつまでもいつまでも飽くることなく眺めるこの展望。冬の青さと白さを全力で集めたかのような光景に、何時間でもこうしていたいと思えてしまう。

2月中旬冬の福島信夫山車道ルートで下山
想像を絶するほどの雄大な絶景に後ろ髪を引かれつつも、冬の青さを心にしまい下山することに。帰りは少々距離は延びるものの歩きやすそうな車道ルートを進みます。

2月中旬冬の福島信夫山下山後に改めて見上げる烏ヶ崎
素晴らしかった。本当に感動した。ふらりと立ち寄ったはずなのに、これほどまでに福島の美しさをこの眼に見せてくれるなんて。予期せぬ出会いの余韻も冷めやらぬまま、足取り軽く無事に下山。

今一度、麓から見上げる烏ヶ崎。先ほどまで、僕はあの頂にいた。あの地でもらった感動は、きっと死ぬまで忘れない。こう文字に起こすと少々オーバーなようだけれど、この気持ちは登った人にしか分からない。この小高い信夫山には、そんな魔力が宿っているのでした。

会津発、信夫へ続く銀鉄路。~冬の福島・湯季味旅~
2月中旬会津鉄道車窓を埋め尽くす雪原と銀嶺
2022.2 福島
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●1日目(東京⇒湯野上温泉)
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●2日目(湯野上温泉⇒会津若松⇒中ノ沢温泉)
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●3日目(中ノ沢温泉⇒高湯温泉)
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●4日目(高湯温泉滞在)
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●5日目(高湯温泉⇒福島⇒飯坂⇒東京)
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