うなばらホテル ~航跡紡いで旨し旅 2日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

うなばらホテル ~航跡紡いで旨し旅 2日目 ②~

9月上旬苫小牧駅 旅行記

北々亭から歩くこと約25分、苫小牧駅に到着。ここまでの道中、お目当てにしていたもうひとつのミッションをクリア。重たい荷物を抱えつつベンチに腰掛け、ちょっとした肌寒さを北海道の想い出として刻みます。

9月上旬苫小牧駅道南バスフェリー線フェリーターミナル行きバス
それにしても、我ながら本当にいかれた行程だ。13時半に上陸し、おいしいお寿司を小一時間ほど満喫してとんぼ返り。16:35に駅を出る『道南バス』のフェリー線に乗車し、来た道を戻ります。

9月上旬3時間20分ぶりの苫小牧西港フェリーターミナルへと帰還
バスに揺られること17分、3時間20分ぶりに苫小牧西港フェリーターミナルへと帰還。はたから見ればとんだ酔狂のようにも思われそうだが、今回の旅ではここはあくまで寄港地。これから旅の第二幕がはじまるのです。

9月上旬苫小牧西港フェリーターミナルに接岸中の太平洋フェリーきそ
ほんの数時間前、入港したさんふらわあふらのを出迎えてくれたきそ。これから僕は、この船に乗る。7年ぶりとなる再会を目前に、思わず熱いものがこみ上げる。

9月上旬苫小牧西港フェリーターミナル往路の商船三井さんふらわあさんふらわあふらのから復路の太平洋フェリーきそへと航跡はバトンタッチ
去年の夏、はじめて手を出してしまった海上での0泊4日。そのときは、太平洋フェリーから商船三井さんふらわあへのバトンタッチだった。今回はその逆回り、オレンジから白地に青へと海路のたすきが渡される。

9月上旬苫小牧西港フェリーターミナル近づく太平洋フェリーきその巨体を見据えつつ長い長いボーディングブリッジを歩く高揚感
前回は初のいしかりだったので、きそに乗るのは7年ぶり。この船は、僕にとって三度目の初恋の相手。久方ぶりの対面に、得も言われぬ高揚感が襲い来る。

9月上旬7年ぶりの想い出の船太平洋フェリーきそ船客をその豪華さで出迎える光壁の眩い吹き抜けのロビー
着実に迫りくる白亜の巨体を見据えつつ、長い長いボーディングブリッジを歩きいよいよ船内へ。船員さんのあいさつとともに船客を出迎えるのが、光壁と吹き抜けが印象的なロビー。はじめて出逢った8年前、この豪奢な空間に一瞬にして恋に落ちた。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ南太平洋のしらべをテーマにしたマーメイドクラブの温もりあふれる空間美
前回乗船したいしかりのテーマは、「エーゲ海の輝き」。その6年前に就航したきそは、「南太平洋のしらべ」がテーマ。こうして乗り比べてみると、姉妹船でありながらそれぞれまったく異なる魅力にあふれていることが手に取るように判る。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ7デッキ1等特等の部屋が並ぶ廊下
いつもならさきほどのマーメイドクラブに急行し場所取りしますが、今回はさらに上の7デッキへ。期待に胸を高鳴らせ、両側にドアの並ぶ長い廊下を歩いてゆきます。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ初めての個室特等和室角部屋の708号室
そしてこの部屋が、これから2泊僕の城。このときはちょうど、個室の貸切料金が不要な期間。ですが定員の半数未満では貸し切れないため、ひとり旅の僕が乗れる和室は特等のみ。ということで、なんと贅沢にも最大3名泊まれる特等和室を独り占め。いくらなんでもこれ、バチが当たるぞ。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ初めての個室特等和室角部屋の708号室窓のあるバストイレ
操舵室直下、7デッキの船首側にずらりと配置される特等和室。通常の部屋は行く手を見据える窓が居室に設けられていますが、今回指定した角部屋は居室と水回り、それぞれに側窓が。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ短パンに履き替えさっそく大浴場へ
もうすでに、僕のしあわせな時間は約束された。そんな自室との対面を果たし、短パンに履き替えさっそく旅の汗を流しに展望大浴場へ。木目や黒を基調にした和の空間、そこで身を委ねる湯の心地よさ。後悔先に立たず。この非日常を知ってしまうと、もう取り返しのつかないことに。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ湯上がりに自室で冷やしておいたサッポロクラシックを携え甲板へ
温泉旅館顔負けの大浴場で身もこころもすっかり茹だり、いそいそと自室へ。冷蔵庫に入れておいたサッポロクラシックを携え、夜の気配が深まりつつある甲板へと向かいます。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ船尾から眺める商船三井さんふらわあさんふらわあふらの
白地に青いマークが凛々しいファンネルに祝杯を挙げ、ぐいっとひと口煽ったところで船尾側へ。そこから眺めるのは、僕を北の大地へと連れてきてくれたさんふらわあふらの。こちらは東北に中部、そしてあちらは茨城関東。それぞれの行先を抱いた人々が、各々の想いをもって甲板上で過ごしている。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそランプが灯り情緒を増すデッキとファンネル
小学生のときにはじめて乗ったフェリー、びるご。高校生になり、びくとりで長距離フェリーの旅情を知った。その後社会人となり、時間的制約から気づかぬうちに蓋をしていた船旅への想い。そんなパンドラの箱を開けてくれたのが、このきそだった。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ落ち着いた雰囲気のプロムナードでサッポロクラシック片手に出港前のひとときを
海風の冷たさが身に沁みるデッキからプロムナードへと舞台を移し、そんな回想の続きを。僕にとって、三度目の初恋の船であるきそ。あの旅と出逢っていなければ、このしあわせをいまでもきっと知らずにいたのだろう。そんな愛する船も、新造船での代替が決まったそう。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ日はすっかり暮れ夜闇に浮かぶ勇壮なファンネル
予約後に知った悲しいニュースに、久方ぶりとなる逢瀬の邪魔をさせるわけにはいかない。今回もきっと、きそはあらたな旅路をこの眼に魅せてくれるに違いない。漆黒の夜空に輝くファンネルに、そんな僕の想いを託す。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそはランプウェイをゆっくりと上げ出航態勢へ
太平洋フェリーでの濃密な想い出に胸を熱くしていると、甲板上や岸壁に動きが。しずかに引き上げられてゆくランプウェイ。もうまもなくきそは、1,330㎞という果てしない航海へと旅立つ。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ係船杭から外されゆっくりと巻き上げられる係船索
ほどなくして合図があり、係船杭から外されゆっくり巻き上げられてゆく係船索。接岸から5時間半、短い時間を過ごした北の大地とついに切り離される瞬間が。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそはエンジンの唸りとともに仙台名古屋目指して苫小牧港を離岸
足元からのエンジンの響きが一段と強まり、きそは遥かなる海原へと向け苫小牧港を離岸。ありがとう、北海道。今度はしっかり時間を取って、遊びに来ます。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ甲板から遠ざかりゆく苫小牧港北海道の灯りを見送る
遠ざかる北の大地、存在感を増してゆく漆黒の空と海。雨上がりの海風に揺れる煌めきが、胸の奥を焦がしてゆく。別れの切なさ、これからはじまる航海への昂り。船旅でしか味わえぬこの感情に、いまはただ身を任せていたい。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ初めての特等和室セイコーマートで仕入れたお惣菜と地酒でひとり船上宴会開始
船出のもつ世界観にこころを焦がし、身体も冷えたところで自室へ。そしていよいよ、今宵も船上でのひとり宴会開始。北々亭のほか、もうひとつのミッションというのがセイコーマートでのお買い物。これからの2泊3日に備え、いろいろなものを買い込んでしまいました。

ということで、冷蔵庫から出して並べるだけの居酒屋セコマ開店。ほんのり生姜の香る、たらこの食感と旨味がうれしい子和えこんにゃく。道産昆布と椎茸の煮物も薄味で、昆布のしゃっきりとした食感と風味がしっかり活きている。

いい塩梅の甘じょっぱさで、大根の香りや味わいが残された道産切干大根。これまた道産のふきの煮物はしゃっきしゃきとした魅惑の食感で、上品な味付けに香るおかかの風味が心憎い。

そして驚いたのが、北のポテトサラダ。じゃがいものほくほく感がしっかりと味わえ、ちょっとこれはコンビニの域を超えている。そんな旨いつまみに合わせるのは、俱知安の二世古純米酒。ほどよい甘酸っぱさをもつすっきりとした辛口が、彼の地でのシュプールを想い出させる。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ特等和室夜のお供に福司純米酒
ひとびとが思い思いに過ごすスペースでの宴も善いが、こうしてゆっくりと自室で晩酌も最高だ。そんな甘美な怠惰を彩る2本目に開けるのは、釧路の福司純米酒。酸味のある軽やかな口当たり、気をつけないとしゅるしゅると飲んでしまう。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ特等和室で味わうセコマ居酒屋〆にホットシェフの紀州梅おにぎり
近所のコンビニ、全部セイコーマートになってくれればいいのに。そんなセコマの魅力に圧倒され、福司も飲み干したところで腹固め。

大きくて旨そうだな!そう意気揚々と買った、ホットシェフの筋子おにぎり。と本当にこの瞬間まで信じてやまなかったのに、よく見たらこれ紀州梅じゃんかよ。

いや、梅も嫌いじゃないしいいんだけど。でも、筋子、ずっと楽しみにしてたんだよ・・・。と若干意気消沈しつつ、ぱくっとひと口。我ながら現金なやつとは思いつつ、一瞬にして頬がゆるんでしまう。

ほどよくきいた塩気、きちんと握っていることが伝わる握り飯の良さ。しっとりとした海苔も風味よく、ひと口目からすでに塩むすびとして完成形。さらに食べ進めると、顔を出す肉厚の梅干し。これがご飯と合わぬわけがなく、久しぶりに本気でおいしい梅おにぎりを食べたとひとり感嘆の声を漏らしてしまう。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ初めての特等和室で食後にごろりと布団に転がる甘美な贅沢
いやぁ、びっくり驚いた。これはきっと、今日は梅のおにぎりを喰え!ということだったに違いない。セコマの味にすっかり心酔し、ぱつぱつのお腹を抱えて布団にごろり。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ船上とは思えぬ快適空間の広がる旅館のような特等和室
これ、旅館じゃなくて太平洋上。旨いつまみと地酒に満たされ、そのままこんな状態に。のりものらしい情緒のあるカプセルタイプも最高だが、和室の善さを知ってしまうとやばいことになりそうだ。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ初めての特等和室夜のお供にふらのワイン赤
食後の怠惰とゆったりとした揺れに身を委ね、お腹も落ち着いたところで大浴場へ。洋上での湯浴みという船旅でしか味わえぬ贅沢にどっぷりと浸り、火照った体を癒すべく甲板へと向かうと結構な雨。

そうだ、これからはほとんど雨予報だった。夜風に当たるのはあきらめ、自室に戻り宴の続きを。行燈の灯りのなか、じっくり味わうふらのワイン赤。奥行きのある渋みと酸味、そこに広がる香りが船上での夜を深めてくれる。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ初めての特等和室ワインのお供に標津羊羹
辛口の赤に合うだろうと買った、標津羊羹。原材料はビート糖、金時豆、麦芽糖、寒天のみと至ってシンプル。

北海道産の金時豆で作られた餡には、豊かな豆の風合いがぎゅっと凝縮。これまた道産のビート糖のおかげなのか、尾を引かない清々しい甘さが印象的。これは今までに出逢ったことのない羊羹だ。その特徴的な旨さに、ふらのの赤がくいっと進んでしまう。

食べて飲んで、風呂に入ってまた呑んで。甘いもので酒が呑めるようになってからが呑兵衛だ。そんなことを宣ういつもの旅となんら変わらぬ気もするが、足元から伝わる海の鼓動がそうではないと教えてくれる。

これが2泊3日も味わえると考えたら。欲張らずに、今夜のところはそろそろ寝るか。歯を磨いて布団へと寝ころべば、ゆったりとした波のリズムに抱かれる。秘密基地的なカプセルも最高だが、和室のゆとりもまた捨てがたい。個室という禁忌にはやくも心酔し、いつしか深い眠りへと落ちてゆくのでした。

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