うなばらホテル ~航跡紡いで旨し旅 4日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

うなばらホテル ~航跡紡いで旨し旅 4日目 ①~

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ静岡沖で迎える静かな朝 旅行記

ついに迎えてしまった、最終日の朝。船中3泊。旅立ち前は有り余る時間を愉しもうと思っていたのに、気付けばあっという間の濃密な船旅だった。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ湯上がりに海風に吹かれ見上げるファンネル
それにしても、本当に個室は快適すぎる。今朝も7時半までぐっすり熟睡。Tシャツ短パンに着替えて大浴場へと向かい、この旅最後となる洋上での湯浴みを噛みしめます。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ甲板から渥美半島の影を眺める
船上での朝風呂という非日常をしかと味わい、湯上がりの散歩へ。低く垂れこめる雲の下、うっすらと横たわる渥美半島の影。そうか、もうここまで来てしまったのか。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ船尾から眺める去りゆく航跡
大洗から苫小牧へ、そして仙台を経て名古屋へ。壮大だと思えたこの行程も、もうすぐ幕を下ろす。この旅で何度も何度も眺めた、去りゆく航跡。そのひと筋の道はいずれ海原へと還ってゆくが、僕のこころに描かれた航海の記憶は決して消えることはない。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ特等和室で味わうセコマの紅鮭塩すじことお味噌汁で贅沢な朝ごはん
甲板上で船旅ならではのあたたかい感傷に抱かれ、ちょっとばかりの寂しさを漂わせ自室へ。そんな僕を元気付けてくれる、北の朝ごはん。セイコーマートの紅鮭塩すじこをお供に、熱々のパックご飯を頬張る。そんな静かな時間が、とてつもなく愛おしい。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ伊良湖水道へと入りいよいよ船旅のフィナーレとなる伊勢湾内へ
おいしい朝ごはんに満たされ、敷きっぱなしの布団にごろり。こんな怠惰に揺蕩えるのも、残すところあとわずか。うつらうつらと微睡みつつしみじみ浸っていると、きそはゆったりと右へと舵を切りいよいよ伊勢湾内へ。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ特等和室から眺める名古屋の港湾風景
名残を惜しむかのように、ぐっと速度を落として進む船。身支度を整え、広げた荷物をリュックにしまい。あとはもう、そのときを待つばかり。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ航海のフィナーレを見届けるべくデッキへ
先ほどまで強く降っていた雨も、まもなく入港というタイミングで小康状態に。急いでデッキへと向かえば、名古屋港はもう目の前。きそ、今回も最高の航海を本当にありがとう。曇天を突く凛々しいファンネルに、熱い想いがこみ上げる。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそは長い航海を終えまもなく名港トリトン名港西大橋をくぐる
そしていよいよ間近に迫ってきた、名港トリトンのひとつ名港西大橋。いつもは航海の幕開けを飾る光景も、今日は船旅の終わりを告げる存在に。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ名港トリトン名港西大橋の下をゆっくりとくぐり目的地である名古屋港へ
名古屋発では日没後となるため、明るいなか船が橋をくぐる様子を見るのは今回が初めて。ファンネルと橋桁の思った以上の距離感に、思わず感嘆の声が漏れてしまう。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ名港トリトン名港西大橋をくぐり右へと舵をとり名古屋港接岸へ
苫小牧から遥か1,330㎞、39時間以上にもわたる航海がまもなく幕を閉じる。名港西大橋をくぐったきそは、意を決したかのように右へと舵を切る。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ終着地名古屋港が迫りくる
ゆっくりと、しかし確実に迫りくる終着の地。いつもは旅立ちの高揚感に包まれ眺めるターミナルも、今日の僕の眼には切なく映る。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ長い航海を終え終着地名古屋港接岸に備えもやい銃を発射
背後から聞こえる無線のやり取りに航海の終焉を重ねていると、すぱーんという音とともにもやい銃が発射。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそは長い旅路を終えまもなく終着の地名古屋港に接岸
全長199.9mという巨体を、器用に岸壁へと寄せてゆくきそ。どんどん縮まる陸との距離に、この旅の想い出が走馬灯のように甦る。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ長い航路を終え名古屋港に無事接岸
そしてついに、音も衝動もなく名古屋港に無事接岸。大洗発、苫小牧経由名古屋行き。0泊4日、2,084㎞にもわたる壮大な船旅はこうして静かに幕を閉じた。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ航海を支えたファンネルをもう一度目に焼き付ける
終わってしまった。きそとの豊かな時間が、ついに終わりを迎えた。2泊3日を過ごした愛する船との、確かな質量をもった分厚い記憶。ダメだ、なんだか泣きそうだ。凛と立つファンネルの雄姿に、万感の想いがあふれ出す。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ温かみあふれるマーメイドクラブ
すっかり愛着の湧いてしまった自室に戻り、荷物を背負いマーメイドクラブへ。徒歩下船がはじまるまで、この船との別れを惜しもう。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ長い航海を終え静けさただようマーメイドクラブ
この旅を決めたとき、7年ぶりにきそと再会できることを素直に喜んだ。そして旅立ちを待つ間に流れてきた、新造船での代替決定。この船も、今年でもう21歳だもんな。そう頭では判っていても、こうして実際に乗船してみるとそれが本当に惜しくて堪らなくなる。

9月上旬7年ぶりの再会となる太平洋フェリーきそ長い航海を共に歩んだ雄姿をもう一度眼にこころに灼きつける
下船を待つ船客で賑わう階下とは裏腹に、長い航海を終え静けさに包まれるマーメイドクラブ。きそらしい優雅でぬくもりあふれる雰囲気に浸っていると、ついに徒歩下船開始。船員さんに見送られ、後ろ髪を引かれつつも陸上へ。

その時を迎える前に、また必ず逢いに来るからね。だから今日は、さようならは言わないでおこう。零れてしまいそうな切なさをなんとかこらえ、その優美な姿にまたの再会を強く強く誓います。

初めてフェリーと出逢った、東日本フェリー青函航路のびるご。二度目の恋は、初めての長距離フェリーとなったびくとり。そして人生初めてのゴールデンウイーク、そこで出逢ったきそに三度目の初恋をした。

これまで乗ったフェリーは、どれも善き想い出ばかり。そのなかでも、きそは僕にとって特別な存在。あのときこの船と出逢えてなければ、忙しさを理由に未だに船旅への想いに蓋をしていたかもしれない。

あの旅で僕は知った、願えば海路が拓けるということを。だからこそ、これが最後となるはずがない。もう一度、いや一度とは言わず二度三度。きそが最後のときを迎えるまで、できるだけ逢いに来よう。そんな決意にも似た思いを胸に、溢れんばかりの感謝を愛する船に伝えるのでした。

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