極上のスキーを堪能させてくれた安比とも、今日でお別れ。盛岡へはJR花輪線を利用することに。近くに大きなスノーリゾートがあるとは思えないような小さな駅舎。もちろん、無人駅です。
駅のまわりには、林と雪だけ。吹く風の音しか聞こえない、静寂に包まれた空間。昔懐かしい木の電信柱が、郷愁を誘います。
青い空と白い雪の中にたたずむ赤い屋根。まるで風景画やジオラマでも見ているかのよう。ここだけもう何十年も時間が止まっているかのような、まさに日本の鉄道の原風景。
静かな林の中を、エンジン音を響かせて列車が到着。線路は雪に埋もれ、よくもこれで走れるものだと感心してしまいます。
いつもの、スキー場からバスでダイレクトにさようならとは違い、列車での帰路はなんとなく寂しさを感じます。
安比、本当にいいところでした。どこまでも晴れ渡る空と、ひたすら続く雪景色。そんな車窓を眺めながら、楽しかったスキーを噛みしめつつ、盛岡を目指します。
盛岡駅で秋田新幹線こまち号に乗り換え。ここから田沢湖駅を目指します。秋田新幹線とは言っても、盛岡から先はJR田沢湖線を走る在来線特急。
田沢湖線もローカル線で本数が少ないので、田沢湖に行くにはどうしてもこまちを利用する必要があります。そのため、特急料金も特定のものが適用され、利用しやすい値段になっています。
こまち号は単線の田沢湖線へと入り、秋田県を目指します。途中こまち同士の交換待ちをしながら、のんびりとしたペースで進みます。車窓には岩手の雪原が広がり、きらきらと輝きます。
こまちはグネグネと峠を登り、いよいよ秋田県に突入。秋田に入ると、まずその雪深さに驚きます。
安比も雪が多いと思いましたが、やはり奥羽山脈を挟んで日本海側は違う。岩手の優しさのある雪景色とくらべ、秋田のそれには力強さや迫力を感じます。
盛岡を出て40分足らずで田沢湖駅に到着。ガラス張りのきれいな駅舎で、観光案内とビジターセンターが併設されています。
ここで時刻は丁度お昼時。昼食とお土産探しを兼ねて、駅前の『田沢湖 市』に入りました。中にはたくさんの種類をそろえる酒屋さんや、農産物などを売る直売所があります。
市の中にある、『そば五郎』で昼食。手打ちそばの店で、原料のそば粉の一部に地元産を使用した地そばを食べることができます。
僕が注文したのは、比内地鶏せいろ。比内地鶏の旨味が溶け出た濃い目の温かいつゆに、冷たいそばをつけていただきます。
おそばは十割ですがコシが強く、食べ応えのあるおそば。その太さや噛み応えが田舎っぽく、僕は好き。つゆには比内地鶏が入っており、鶏の美味しい脂が浮いています。
お肉は地鶏らしく、締まった歯ごたえのある、噛めば噛むほど味の出るもの。地元のそば粉に比内地鶏、秋田の恵みのつまったおそばを満喫しました。
お昼を食べて、酒屋さんで地酒を物色しながらバスの時間を待ちます。駅前から『羽後交通』の乳頭温泉行きバスに乗り込みます。
本日の宿である鶴の湯へは、アルパこまくさというバス停で下車。路線バスに乗る前に、宿へ乗車するバスの時刻を電話で連絡すれば、降車バス停まで迎えに来てくれます。鶴の湯はそこからさらにマイクロで15分ほど分け入ったところに位置します。
2年前、初めて日帰り入浴で訪れた鶴の湯。念願叶い、いよいよ初宿泊が迫ってきました。
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