今年の夏の強烈さを実感しつつ港から歩くこと40分足らず、コンドイビーチに到着。木々の合間から覗く眩い碧さに、早く海へと駆けだしたくなる衝動が。
これまで潮が引いているタイミングで訪れることが多かったのですが、今日は満潮に近い状態。いつもよりも水深がある分、より一層海の碧さが際立ちます。
地上の楽園を具現化したかのような、南国感あふれる白亜のビーチ。脳天から足先までじりじりと灼く陽射し、それを存分に反射する白い砂浜。逃げ場のない夏力に圧倒されつつ、良きところを見つけるため浜辺を歩きます。
ここが、今日の僕らの特等席。シートを張りTシャツを脱ぎ捨て、一目散に海へ。いつもぬるいことの多い遠浅のコンドイ浜ですが、今日は深いため程よい冷たさ。道中で焦げた肌に、海の心地よい冷涼が沁みてきます。
そして湯上りならぬ海上がりには、やっぱり欠かせぬ冷たいオリオン。陸へと上がった瞬間から、クールダウンしたはずの肌を灼く南国の滾り。その力強さが、この爽快な苦みをより旨くしてくれる。
ビールを飲み、暑さに耐えられなくなったら再び海へ。そこに待つのは、見る者を幽玄の世界へと誘うような得も言われぬグラデーション。
ビーチの西端であるコンドイ岬へと立てば、全身を撫でゆく強い風。遠くには、海と空の境を成すようにうっすらと横たわる黒島の姿。その幻想的な島影に、去年の想い出が甦る。
空も青、海も碧く、島も蒼。視界を占拠する無限のあおさに逢いたくて、毎年毎年こうしてここまで来てしまう。陸海空のもつあおさのあまりの分厚さに、今はこころを無にして浴びていたい。
それにしても、今年の空は凄い色をしている。いつもよりも盛夏に近い時期だからか、それとも全国的な酷暑が予想されるような気候だからか。そんなことすらどうでもよくなるほど、広がる空は深く澄んだ純な青さをしている。
頭上からの猛烈な陽射し、それを反射する白砂の照り返し。サラマンダーの中にいるようなじりじりとした熱さに浜辺に立てば、足元を洗ってゆくきらきらとした涼しげな波。
浜を染める鮮烈なあおさと存分に戯れ、あっという間にもう12時前。冷たいオリオン片手に、離島ターミナルで仕入れたお昼を味わいます。
いつも気にはなりつつも、これまで買ったことのなかったうーまくぅのポークたまごおにぎり。具に様々なバリエーションがありますが、今回は好物の油味噌が合わせられたものを購入。
ずっしり重たい、厚みのあるおにぎりをひと口がぶり。うわぁ、これうめぇ!塩分油分しっかりのポークを玉子の優しさが受けとめ、油味噌の甘さやコクが全体をまとめてくれる。なんでこれ、今まで買わなかったんだろう。そう後悔する旨さに、冷たいオリオンが進みます。
でもね、やっぱりしまじりストアのじゅーしーおにぎりも外せない。ということで、ちょっとしたおかずも入ったおにぎりせっとを相方さんと半分こ。穏やかな旨味の染みたじゅーしーの味わいに、今年もこうしていられることの悦びを噛みしめます。
旨いおにぎりを食べ、オリオンを喉へと流し。そんな贅沢なランチを一層味わい深いものにしてくれるのが、この絶景。本当に、この世界を知らずに死ぬなんてもったいない。ここに出逢えなければ、僕はきっと違う気持ちで生きていたことだろう。
はぁ、しあわせだな。普段生活していて、素直にそう思える瞬間は多くはない。でもここへと来れば、必ずそう実感させてくれる。ベタだけれど、人生観を変えてくれた八重山の夏。今年もその熱量を、肌にこころに刻んでゆこう。
昨日の夕刻に到着し、まだ灼けていない肌に降り注ぐ全力の太陽。初日にしてはちょっと長く居すぎたかな。肌に宿りはじめたヤバさの予感に、後ろ髪を引かれつつも地上の楽園であるコンドイビーチを後にします。
早くも熱を持ちはじめた足の甲を気にしつつ、帰りも歩いて港を目指すことに。通り道だからと西桟橋へ寄ってみると、老朽化していた桟橋は修繕されきれいな姿に。僕らの買ったうつぐみチケットも、少しは役に立ってくれているのかな。
潮が満ちているときに来ると、こんな景色になるんだ。これまでとはまた違う幻想的な表情に、思わずすっと吸い込まれてしまいそう。
たぷたぷと心地よい音を奏で、寄せては返す碧い波。その先には、黒々と横たわる西表島。今から50年ちょっと前までは、この桟橋から舟を出し耕作のために西表まで通っていたそう。
西桟橋でかつての島の暮らしに思いを馳せ、海辺を離れて集落へ。真っ青な夏空に、ゆっくり流れる白い雲。絵に描いたような情景に、やはり僕にはここでの夏休みが必要なんだと思い知る。
翳ることを知らぬ絶好調な陽射しに、大汗掻きつつ歩く道。渋い色味の珊瑚の石垣に、彩りを添えるように揺れるブーゲンビリア。目の覚めるような鮮やかな色彩は、この暑さまでをも愉しんでいるかのよう。
島全体が植物園であるかのように、豊かな緑に覆われる竹富島。色とりどりに咲く花に、こんもりと実をつけたバナナの木。眼に映るものすべてが南国で、そのどれもが生命力に溢れている。
日々のあれこれに干からびた僕を、毎年生き返らせてくれる竹富島。今年も無事に再会できた歓びを胸に、この島に流れる空気感を思い切り吸い込むのでした。
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