石垣港から船に揺られること45分、ついに黒島に初上陸。港へと迎えに来ていた黒島レンタサイクルの送迎車に乗り込み、自転車を借りて島一周の旅にいざ出発。
島の西側を通る未舗装の外周道路を走ってゆくと、南国感溢れる木々に覆われた道を発見。その名も木漏れ日ロード、海へと続く小径は名の通り心地よい煌めきに溢れています。
眩い木漏れ日を浴びつつ歩いてゆくと、深い緑の隙間から顔を覗かせる八重山のあお。この海の出現の仕方、南の島感があってワクワクしてくる。
踏み跡通りに辿ってゆくと、一気に視界を染める鮮烈な世界。眩いほどの輝きに満ちる純白の砂浜、網膜を灼くほどの彩度に染まる碧い海。あまりの鮮やかさに、現実感というものがなくなってゆく。
ウミガメが産卵のためにやってくるという西の浜。その美しさに心奪われ、波に誘われるかのように思わず海へ。足を撫でてゆく波はきらきらと太陽を映し、灼けた甲へと心地よい清涼を連れて来てくれる。
驚くほどの透明度に感動しきり、浜へと上がればここにも散らばる南の島らしいうつくしさ。大小の珊瑚や貝の欠片が、浜一面を覆いつくしています。
反対側へと目をやれば、ごつごつとした岩場が。黒島は、珊瑚礁が隆起してできた平坦な島。ここではそんな黒島の基部を垣間見ることができます。
その岩場に立ち眺める、現実離れしたうつくしい海岸線。あまりの眩いあおさに時も忘れ、頭も心もからっぽのままただ茫然とこの光景を浴びるのみ。
この絶景を借景に、可憐に咲くはまゆう。海風に吹かれ揺れる華奢な姿は、思わず見とれてしまう清楚な美しさ。
地上の楽園というものを体現したかのようなうつくしさの西の浜に別れを告げ、再び外周道路を南下。道は草木に浸食され、刻まれた軽トラの轍を器用に縫うようにして進んでゆきます。
黒島といえば、人口よりも牛の方が多いことで有名な畜産の島。広大な牧草地を見つつ走ってゆくと、ついに第一牛さん発見。大人から子どもまで、草を食んだり木陰で休んだりとのんびり過ごしています。
軽トラの轍と茂る草に格闘しつつさらに進んでゆき、だいぶ道が開けたところで『黒島研究所』に到着。ここで一旦小休止、中を見学してみることに。
入館料を支払い、まずは館内の展示スペースへ。主にウミガメの研究をしているというだけあり、様々なウミガメの剝製がずらりとお出迎え。
ウミガメだけでなく、黒島にまつわる様々なものが展示されています。この鋭い歯の並ぶ顎の骨は、近海で捕えられたイタチザメのものだそう。
壁一面に展示される、様々な種類の珊瑚たち。そのバリエーションの豊かさに、ダイバーはこんな世界を見ているのかと未知なる海中の世界に思いを馳せます。
何やら鳴き声がしたので中庭の方を見てみると、そこには立派な孔雀が。石垣島でも目にすることのある孔雀は、元は飼育されていたものが逃げ出し野生化したものだそう。現在は外来種として駆除の対象になっているようです。
黒島の生き物にまつわる展示物の中で、ひときわ目を引く大きな物体。これはH-2Aロケットの一部だそうで、黒島の海岸に漂流してきたものだそう。断面からは中のハニカム構造がよく見て取れます。
他にも固定相場時代に使われていた円ドル換算表など島での暮らしを感じられる展示物を見学し、続いて屋内の生き物展示場へ。まず出迎えてくれたのは、沖縄といえばのハブ。八重山に住むサキシマハブは、本島のハブに比べ毒性は弱いのだそう。
毒性は弱いとはいえ、路上で遭遇してしまったらと思うとゾッとする。初めて目にする生ハブに肝を冷やしていると、ヤシガニが飼育されているというサークルが。
え?どこにいるの?そう思い視線を上げてみれば、思わずうわっ!と声が漏れてしまいそうに。この距離で対峙する、生ヤシガニ。これはこれでインパクト大。
気持よさそうに泳いでるな。そう思いつつ眺めていると、どんどんと近づいてきてかわいい顔を見せてくれました。
こんなに近くでウミガメを見られる機会なんてそうはない。手の届く距離で眺める見事な紋様に、思わず目を奪われてしまう。
ウミガメの優雅な泳ぎに見とれつつ、次の水槽へ向かうと大きなヤドカリが。南の島って、やっぱり何でも巨大化するんですね。
そしてこちらでは、鋭い歯が特徴の海のギャングことウツボが顔を出しています。
ゼブラの小さな魚の横、一見海藻のように見える不思議な魚。このヘコアユは頭を下にして泳ぐ魚だそうで、立ってゆらゆらと揺蕩う姿は印象的。
こちらの大きな水槽には、ゴマモンガラという大きな魚が。目を半分閉じリラックスした表情は、なんだか気持ちよさそうに寝ているよう。
そんなことを思いつつ眺めていると、むくりと体を起こしこちらへと向かって泳いできます。このゴマモンガラは縄張り意識が強く、ダイバーを噛んだりすることもあるそう。これ今、怒られてるのかな。
涼しい館内でたくさんの生き物に触れたところで、今度は屋外の水槽へ。鮮やかな色をした二匹のクマノミが泳ぐ姿は、まさに南国そのもの。
背中に感じるじりじりとした暑さの中、冷たい水の中で気持ちよさそうに泳ぐサメ。眺めていると手の届く距離までやってきて、水越しでも鮫肌といわれる独得の質感が伝わるほど。
その隣の大きな水槽には、先ほどよりもさらに大きなウミガメが何匹も。実はすぐ後ろで餌が売っており、餌がもらえると勘違いしてか人懐っこく寄ってきます。
え~?この人ご飯くれるのかな~?なんだよ、くれなさそうだなぁ。
ちょっと、ご飯ちょうだいよ。後ろに売ってるんだからさ~。なんて言葉が聞こえてきそうな距離感。近くでまじまじと見るウミガメは、やっぱりかわいい顔をしています。
小休止にと立ち寄った黒島研究所。そこに詰まった数々の展示や生き物に、たっぷり時間を掛けて大満喫。ダイビングは経験のない僕ですが、黒島周辺の生き物に触れることができ大満足の時間を過ごすのでした。
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