石垣島で迎える爽快な朝。窓辺を越えて、部屋まで溢れる全力のあお。今回で八重山旅は8度目だけれど、こんなに晴れ渡る日々が続くのは初めてかもしれない。
昨晩の「ここに住んでいるかのような飲み」が愉しく、今朝は若干二日酔い気味。ゴーヤチャンプルーやクーブイリチーをメインに、少しボリュームを減らして朝ごはん。八重山の優しい味付けに、ご飯を食べるうちに元気になってくるのだから不思議なもの。
朝食後部屋で一旦休憩し、JAおきなわに併設された『ゆらてぃく市場』へ。名産のパインを始めとする数々の農畜産物や、タイミングによっては新鮮なお刺身まで手に入る料理好きには嬉しい場所。ここで四季柑や島にんにく、珍しい生のピパーツの実を買って帰ります。
ゆらてぃく市場を出て新栄公園へと歩いてゆくと、2日後に開催されるオリオンビアフェストに向けて会場の設営が。いいなぁ、いつかはビアフェストの時期に合わせて来たいなぁ。
ぱいーぐる君!ご挨拶が遅くなったけど、今年も本当に最高の夏をありがとう。おかげで肌もこころも、すっかり真っ黒夏色だよ!
恒例のぱいーぐる君へのご挨拶を終え、ホテルに戻りクールダウン。だらだらと午前の怠惰に揺蕩い、お昼前になったところで『なかよし食堂』へと向かいます。
ここはいわゆる町の食堂で、カレーやチャンプルー、生姜焼きなどおいしそうなメニューがずらり。でも僕は、初志貫徹で八重山そばを注文。あっと驚くスピードで、おいしそうな一杯が運ばれてきます。
まずはほんのりしょう油色をした透明なスープから。豚の味わいがしっかりと溶け出し、飲むそばから体へと浸透してゆくかのような沁みる味わい。麺はわしわしと食べごたえがあり、シンプルな豚スープが麺の味わいを引き立てます。
続いてピィヤーシを入れて南国感を愉しみ、さらにコーレーグースを加えて最高の旨さに昇華。甘辛い豚やかまぼこがまたいいアクセントとなり、大汗掻きつつあっという間にスープ一滴残らず完食します。
ひと口に八重山そばといっても、お店により本当に違う。素朴ながらじんわり沁みる優しさに満たされ、大満足でホテルに戻ります。
涼しい部屋で一旦休憩し、10系統空港線の時刻に合わせてバスターミナルへ。これだから、市街地泊はやめられない。港の近くに泊まれば、島へ渡るのもバスに乗るのも本当に便利。
『東運輸』のバスに揺られること20分、ANAインターコンチネンタルで下車。今日も真栄里ビーチにお世話になります。
目の覚めるような眩い白浜、抜けるような青空に碧く染まる珊瑚礁。その鮮烈なコントラストが、網膜を通して胸の深い部分まで圧してくる。
暑い暑いと言いながら海に浸かり、しっかりと涼んだところで喉へと流す冷たいオリオン。この旅で、何度も味わったこの瞬間。こんな日々が、明日も明後日も続いてくれたなら。
そんな願いは叶うはずもなく、もうそろそろビーチを引き上げる時間に。今回は、すっかり真栄里ビーチにお世話になったな。今年最後の海の涼感を肌にこころに刻み込み、意を決して別れを告げます。
はぁ、愉しい、本当に愉しすぎる日々だった。八重山に来るまで、自分がこんなに海が好きだなんて知らなかった。ただ揺蕩って、ビールを飲んで、陽を浴びて。そんな豊かな時間を叶えてくれた真栄里ビーチのあおさを、もう一度だけ振り返り眼にこころに灼きつけます。
明日の今ごろは、もう相模灘の上だろう。愉しい時間というものはあっという間に過ぎるもの、長いと思われた7泊最後の夕刻を迎えます。
石垣島最後の夜にと選んだのは、去年も訪れておいしかった『焼肉オリオン』。ここも予約が必要な人気店で、頑張って相方さんが押さえてくれました。
メニューずらりと書かれた、石垣牛の様々な部位。そういえばこれまで食べたことないと、石垣牛上タンを注文。
見るからに旨そうな桃色のタンを炙れば、すぐさま滴る豊かな油。レモンを絞り頬張れば、こんなに霜が降っているのになぜこうも上品なのだと感嘆してしまう至福の旨さ。甘味旨味がしっかり濃いのに、クドさがまったくない。本当に、毎度のことながら石垣牛には驚かされるよ。
その隣は、石垣牛上ハラミ。適度にサシの入ったハラミはジューシーで、噛めばじゅわっと肉肉しい香りと旨味が溢れてくる。
奥の塊肉は、石垣牛ランプブロック。全面を20秒ずつ焼き店員さんに渡せば、薄くスライスされて戻ってきます。火の入った外側は肉の風味が凝縮し、レアな内側は溢れんばかりの赤身の肉汁。
そんな旨いたたきを、白飯にど~ん!肉汁に宿る赤身の濃い旨味、それをまとった熱々のご飯。正義です。これこそが、正義ですよ!
続いて頼んだのは、この2品。上ミノはしゃくしゃくした歯ごたえが愉しく、それでいて歯切れの良さが魅力的。噛めばじんわりと滋味が溢れ出し、ミノでしか味わえない幸せを噛みしめます。
石垣牛レバテキは、表面は炙られ中はレアな仕上がりに。箸でもった瞬間に分かる、新鮮さ。ぶりんとした手触りに期待しつつごま油塩を付けて頬張れば、牛レバーならではの豊潤な甘味が弾ける感動の味。石垣牛って、中身まで旨いのかよ!
オリオンビールを1杯で我慢し、ご飯に切り替えた僕。そのお供にと、テッチャンも追加で注文。鉄あみで焼けば程よく脂が落ち、その煙によりまとう香ばしさ。甘味たっぷりの脂とご飯を合わせれば、肉には白飯!と声高に訴えたくなってくる。
あぁ旨かった。肉の旨味の余韻に浸りつつ歩く帰り道、この旅最後のユーグレナモール散策へ。こうして7夜を過ごしていると、こんな日々がずっと繰り返していきそうな錯覚が。
やっぱりいつかは、暮らしてみたい。それが定住でなくても、数ヶ月の時限であっても。訪れる度に膨らみゆくそんな願いを胸に、石垣での最後の夜は暮れゆくのでした。
コメント