憧れだった大内宿を満喫し、若松へと帰ってきました。ここですっかり恒例となった末廣酒造嘉永蔵に向かいます。新酒の時期だけあり、まだまだ杉玉が青々としています。
今回は久しぶりに酒蔵の見学をさせていただきました。担当の方が丁寧に説明してくれます。その担当の方曰く、ぜひ1月に見学に来て欲しい!とのこと。
かなり寒いようですが、雪の降った後の凛とした空気に包まれた若松の街と、仕込みの真っ最中の嘉永蔵を楽しむには1月が最適だそう。ぜひその時期に来て生の仕込を見てみたいものです。
運がよければもろみや舟口から出てくる絞りたての日本酒もその場で味見できるそうです。
嘉永蔵で3本お酒を購入し、いざ会津若松駅へ。お土産を見ながらしばし待てば、SLの改札開始のアナウンスが。切符を用意しホームへと向かうと、丁度ばんえつ物語号が入換をしてくるところでした。
今日はあいにくの天気。でも湿度が高い分SLが吐く水蒸気がより一層際立ちます。雨に濡れた真っ黒な鉄の巨体も、またいいものです。
今回ももちろん車内で会津地酒を楽しみます。今回選んだのは、先ほどお邪魔した末廣酒造の純米無濾過生原酒。今まで見たことなく、3月に瓶詰めしたばかりのようなので、今の時期に来ないと売っていないのかもしれません。
飲み口は重くはないのですが、しっかりとした純米酒の厚みと、生だけあってフレッシュな香りが特徴のお酒。ひやおろし等の落ち着いたお酒も美味しいですが、この手の若いお酒もおいしい。新潟までいい旅の友ができました。
雨に煙る車窓を眺めていまったりしていると、気が付けば野沢駅に到着。ここで10分ほど停車します。雨のせいかほとんどの乗客は車内に残っているため、ゆっくりとSLを眺めることができます。
閑散としたホームを眺めていると、この長い7両編成の客車を、水と石炭の力だけで動くSLが峠を越えて引っ張って行くというのが、本当に凄いことだと実感します。C57はいよいよ福島と新潟の県境に挑みます。
磐越西線は両脇を山に囲まれた阿賀川に沿って走るので、途中トンネルがたくさんあります。その中には明治に作られた現役の煉瓦隧道も多く含まれて居ます。
車窓がまっくらになりふと目を横にそらせば、そこは温かい白熱灯色に包まれた車内がいい雰囲気を醸し出しています。
昔このSLが牽引していた、いわゆる旧型客車という茶色い客車は、床や壁は木製で、電気も白熱灯が主流でした。車両は変われどこの汽車旅の雰囲気だけは、戦前となんら変わらないことでしょう。
県境を越え、新潟県は津川駅に到着。ここでC57は水を補給してもらいます。ボディーの各所から噴出す蒸気は、まさに息を整えるために深く呼吸をしているようです。何度見てもこの全力で頑張る姿には鳥肌がたってしまいます。
SLの先輪の前には、雪を跳ね飛ばすスノープラウが取り付けられていました。雪こそありませんが、福島・新潟という雪国を結ぶ磐越西線らしい一コマ。ばんえつ物語号は雪のある時期は運転しませんが、これが活躍するような白銀の世界を走る漆黒のC57も見てみたいものです。
県境を越えれば、一気に越後平野へと駆け下り、とうとう新潟駅に到着。C57ともしばしの別れです。今年中にもう一回逢うことはできるかな・・・、などと後ろ髪を引かれながらも再会を誓います。
いつもは最終の新幹線までに食事を済ませなければならないのであわただしく新潟駅を出ますが、今回は新潟に1泊するため、思う存分気が済むまでC57を眺めることができます。
遠路はるばる会津若松から駆け抜けてきた長いボディーをゆっくり休める姿は、まさに人間的。雨に濡れた体がホームの照明に美しく照らされます。
貴婦人にお別れを告げ、新潟駅を後しにします。去年行ったそば居酒屋さんで夕食をと思ったのですが、あいにくの混雑。仕方ないので先にホテルにチェックインし、繁華街である古町で夕飯をとることにしました。
今夜のお宿は、駅から徒歩10分ほど、信濃川に掛かる萬代橋の袂にある、『ホテルオークラ新潟』。
僕は基本は和室に布団が大好きなので、この手のホテルを利用したことがほとんどありませんでした。どうせベッドならビジネスホテルでもいいやと思っていました。
ですが今回初めてオークラを利用してみて、その違いにかなり驚きました。スタッフの方々の規律や対応は格段に違い、部屋ももちろんしかり。
そしてこのホテルで一番驚いたのが、ホテルで使用する水は全てヒバの木で作られたタンクに寝かせたものだということ。
シャワーから出てくる水の柔らかさと、かすかな木のいい香りに気付き、備え付けの案内を見たところそう書いてありました。ちゃんとしたホテルとは、こんなところまで気を遣っているんですね。今までの価値観がガラッと変わってしまいました。
ホテルを出れば、目の前に重要文化財の萬代橋。ライトアップされ、雨に濡れたその姿はより一層美しく映ります。
新潟の郷土料理を食べたいと思い、繁華街をかなりウロウロしたのですが全く見つかりません。
どうやら古町は地元の人向けのお店が多く、郷土料理を出すようなお店は駅周辺に固まっていそうだということが分かりました。新潟に行くときは、前もってお店のめぼしを付けて行くことが必須です。
そんな中見つけたのが、須坂屋そば山水庵。(閉店)新潟名物へぎそばのお店です。
メニューはいわゆる飲めるそば屋さん的なもので、焼味噌やさつま揚げなどの濃い目のつまみが並んでいます。
肝心のへぎそばは太麺と細麺が選べるようですが、この日は太麺が品切れのため仕方なく細麺を注文。つるっとした喉越しは健在ですが、へぎそば特有の強烈なコシは細麺のため感じられませんでした。きっと太麺だったらもっと美味しかったんだろうなぁ。少々残念。品切れなら仕方ない。
それにしても昨日の昼食から3食目のそば。そばばかりに偏ってしまいました。もう一度言います。新潟に泊まるときは、必ず前もってお店を調べて行きましょう。ちなみに現地にはグルメマップもなにもありません。
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