長崎浪漫 ~初夏色の肥前路へ 1日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

長崎浪漫 ~初夏色の肥前路へ 1日目 ②~

5月中旬長崎空港旅人を出迎える龍踊の灯篭 旅の宿

羽田から西へと翔ること2時間足らず、長崎空港に到着。到着ロビーでは、旅人を出迎える龍踊の灯篭。その眼光鋭い凛々しさが、異国情緒あふれる街への期待を昂らせる。

5月中旬長崎空港から長崎県営バスのリムジンバスで市内へ
舞い踊る龍にごあいさつを終え、すぐにリムジンバス乗り場へ。するともう結構な列ができていましたが、無事なんとか並びの席を確保。ちなみに補助席まで使用しますが、それでも満席の場合は次便まで待つことに。この日も乗り切れない人が出ていたため、確実に乗りたい場合は急いで並んだ方がいいかもしれません。

5月中旬長崎空港リムジンバス車窓から望む穏やかな大村湾とぷかりと浮かぶ臼島
満員の乗客を乗せた『長崎県営バス』は長崎空港を出発し、空港となった島の名を冠した箕島大橋へ。足元に広がるのは、どこまでも穏やかな大村湾。歩道も併設され、ランニングを愉しむ地元の人の姿も。

5月中旬26年ぶりの長崎リムジンバスで新地中華街に到着
それにしても、上空から眺めたとおり本当に長崎は山深い。大村から高速道路に乗ったかと思えば、ときおり遠くにちらりと海がのぞく以外はずっと山の中。

もうそろそろ着くころなんだが。時計を眺めつつ訝しんでいると、最後のトンネルを抜けたと思えばいきなり市街地へと放り出される。あまりに想定外な長崎との再会に、思わずすげぇやとつぶやいてしまう。

5月中旬26年ぶりの長崎新地中華街の北門
リムジンバスに揺られること40分足らず、新地中華街バス停で下車。そこでもうひとつ驚くことが。電停やバス停の並ぶ交通量の多い道路ですが、左右を見ても信号がない。そして横断歩道に立つと、びっくりするほど車が停まってくれる。

5月中旬26年ぶりの長崎新地中華街北門前に架かる新地橋から望む長崎ホテルマリンワールド
長崎の街に流れる空気感に新鮮さを覚えつつ川沿いを進んでゆくと、電停の名の由来となった新地中華街が。その北門前の新地橋からは、斜面の中腹に建つ今宵の宿が。

5月中旬26年ぶりの長崎新地中華街北門前に架かる新地橋から望む長崎ホテルマリンワールド三角形の小上がりのあるトリプルルーム客室
新地中華街バス停から歩くこと5分足らず、これから2泊お世話になる『長崎ホテルマリンワールド』に到着。これがまた坂のまちらしい造りで、銅座の繁華街に面した入口の建物にあるのはエレベーターのみ。ここでフロントのある4階へと向かい、そこからホテル本体のエレベーターへと乗り継ぎます。

今回は、HISのプランでツインを予約。ですがうれしいことに、ちょっと広めのトリプルの部屋が用意されていました。三角形の出窓スペースには、畳の小上がりに小さなテーブル。これが夜のちょい飲みに結構便利。

5月中旬26年ぶりの長崎福砂屋長崎本店と丸山町交番の歴史を感じさせる建築美
今夜は予定を組んでいるため、荷物をおろして少々早めの夕食へ。お目当てのお店目指して歩いてゆけば、なんとも味わい深い一画が。カステラといえばの福砂屋長崎本店、その先には繁華街を見守りつづけてきた石造りの丸山町交番。

5月中旬26年ぶりの長崎長崎随一の繁華街である思案橋
そのまま道なりに進んでゆくと、ぎっしりとお店の連なる思案橋へ。さきほど通った丸山町は、かつて遊郭のあった場所。そこへ行こか戻ろかと思案したことから、その名が付いたそう。現在では長崎随一の繁華街となっています。

5月中旬26年ぶりの長崎浜町に位置する江戸時代創業の吉宗
この界隈の賑わいは明晩に感じることとし、路面電車の走る通りを渡り浜町へ。このあたりも居酒屋がいくつも目に入り、思わず吸い込まれそうになってしまう。そんな誘惑に打ち勝ちやってきたのは、江戸時代創業の『吉宗』。ちなみに「よしむね」と読みたくなりますが、「よっそう」が正解。

5月中旬26年ぶりの長崎浜町に位置する江戸時代創業の吉宗
玄関で人数を告げて靴を脱ぐと、拍子木を鳴らす番頭さん。その大きな音にも驚きますが、拍子木だと思ったのは下足札。その分厚い木札を手渡され2階へと上れば、歴史を感じさせる重厚な空間が。

5月中旬26年ぶりの長崎浜町に位置する江戸時代創業の吉宗昭和2年築の重厚な室内に飾られた立派な鬼瓦と長崎くんちのくじらの山車を模した鯨の潮吹きの置物
昭和2年に建てられ、平成に大改修されたというこの建物。大広間には、その当時に造られ実際に屋根に据えられたという巨大な鬼瓦が。その隣には、不思議な表情をしたくじらの置物。帰宅後調べてみると、長崎くんちで奉納される鯨の潮吹きという山車を模したもののよう。

5月中旬26年ぶりの長崎浜町に位置する江戸時代創業の吉宗昭和2年築の重厚な空間に抱かれ料理を待つ時間も愉しむ
東京から1,000㎞近くの旅の疲れをいやすべく、まずは冷たい瓶ビールで乾杯。のどへと沁みわたる心地よい苦味と刺激、それを一層深いものとしてくれるこの情緒。はぁ、長崎。はやくも善きだな。

5月中旬26年ぶりの長崎浜町に位置する江戸時代創業の吉宗茶碗むしと蒸寿し揃の御一人前と唐揚げ
久々の瓶の旨さを確かめつつ待つことしばし、注文した品が運ばれてきます。看板メニューである茶碗むしに、蒸寿しがセットとなった御一人前。このシンプルな名前からも、お店の自信が窺える。

まずは茶碗というよりも小丼ぶりサイズの茶碗むしから。れんげを入れた刹那、ふるりと崩れるほどの繊細さ。ふんだんにあふれ出しただしとともにちゅるりと吸い込めば、口いっぱいに広がる幸せの概念。

まず驚くのが、その食感。茶碗むしとして固まるギリギリ、極限を攻めたかのような心地よいゆるさ。だからこそ味わえるくちどけの良さに、またひと口もうひと口と後を追ってしまう。

だしは至って深みがあり、それでいてずっと飲んでいたいと思わせてくれる絶妙な塩梅。風味と食感のよい色かまぼこをはじめ、穴子にしいたけ海老鶏銀杏その他もろもろ具沢山。ひと口ごとに新たな悦びがあり、嘘偽りなく匙が止まらなくなる。

つづいて、同じく長年親しまれてきたという蒸寿しを。ちょっと甘めの桜でんぶや錦糸卵、香ばしさと魚の旨味を添える穴子のそぼろ。それを支えるすし飯は、蒸されることによりもっちりふんわりやさしい味わいに。

江戸時代からの味に心酔しつつ、あわせて頼んだ唐揚げを。これがまた、旨いのなんの。しっかりと下味の付けられた大ぶりの唐揚げは、外はかりっかり中ジューシー。噛むと肉汁が飛び出すほどで、あっという間にビールが空っぽになってしまう。

5月中旬26年ぶりの長崎吉宗で江戸時代からの味に大満足し中島川沿いを歩く
ちょっとこれは、期待をはるかに超えるおいしさだった。さすがは元祖を名乗るだけのことはある。もともとゆるゆるの茶碗蒸しが好きな僕。そのなかでも最上級の滋味あふれるおだやかな味わいに、もうこれだけでも長崎まで来た甲斐があったと思えるほど。

5月中旬26年ぶりの長崎色とりどりのあじさい越しに眺める出島
大満足の夕餉を終え、次なる目的地への集合場所を目指しつつのんびり街歩き。西日に染まる中島川に沿って歩いてゆけば、江戸時代に唯一ヨーロッパとの貿易が行われていた出島が。

5月中旬26年ぶりの長崎大波止交差点に佇む文明堂総本店の渋い建物と長崎電気軌道の路面電車
そのすぐ北側の大波止交差点には、ビルの間に佇む文明堂総本店。漆黒の渋い建物と路面電車の共演は、往時の街の面影を現代へと伝える生き証人。

5月中旬26年ぶりの長崎稲佐山公園長崎ロープウェイ利用者用無料循環バス
夕刻の街並みを歩き、文明堂総本店に隣接するホテルベルビュー長崎出島へ。ここから稲佐山の麓へと向かう無料循環バスに乗車。このバスは長崎ロープウェイの利用者向けに運行されており、『稲佐山公園のHP』で当日の12時から予約受付開始。この日は木曜日でしたが、早々に満席になっていたため早めの予約がよさそうです。

5月中旬26年ぶりの長崎稲佐山へと登る長崎ロープウェイ淵神社駅
市内のホテルをぐるりと結んでゆく無料バス。時刻表上では所要時間25分でしたが、10分ほど遅れて麓の淵神社駅に到着。すでにちょっとばかりの行列が。急いで乗車券を購入して並び、20分ほどで順番が。

5月中旬26年ぶりの長崎稲佐山へと登る長崎ロープウェイ登りはじめれば車窓にははやくも煌めく夜景が
満員御礼のなか待つことしばし、ベルとともに上昇を始めるゴンドラ。するとはやくも車窓からは煌めきが零れだし、そのうつくしさに自ずと期待は高まってゆく。

5月中旬26年ぶりの長崎稲佐山展望台から望む新世界三大夜景に選ばれた長崎の絶景
眼下に広がりゆく夜景にこころを弾ませること約5分、稲佐岳駅に到着。イルミネーションがまばゆい通路を進んでゆけば、駐車場からでも望める夜景。でもそれだけではもったいない。その圧倒的なうつくしさは、円筒の展望台に登ってこそ。

5月中旬26年ぶりの長崎稲佐山展望台から望む長崎駅付近の夜景
南北に長い長崎の街。視座を変えるごとに、うつろってゆくそのうつくしさ。強い光を放つ駅に港、それを囲むように広がる灯りの粒。その繊細かつ緻密なきらめきに、思わずため息がこぼれてしまう。

5月中旬26年ぶりの長崎稲佐山展望台から望む漆黒の長崎港を囲むように広がる夜景のきらめき
さらに南へと視線を移せば、灯りのなかに横たわる長崎港。手前には造船場のものづくりの光、対岸には人々のくらしのきらめき。漆黒の海を囲む山全体が瞬く様は、生命が宿っているようにすら思えてしまう。

新世界三大夜景とは、決して誇張ではなかった。写真や映像で見たものとは比べ物にならないほどの質量を持った夜景のうつくしさに圧倒され、感動しきりで稲佐岳駅へ。するとそこには長蛇の列。ロープウェイとバスを乗り継ぎ、市街地に戻ったのは22時過ぎ。

5月中旬26年ぶりの長崎出島通りをやってくる長崎電気軌道の路面電車
それでも並んだ甲斐があったな。行列嫌いな僕でも、珍しくそう思わせてくれる長崎の夜景。こうして記事にしてみても、肉眼の億分の一すら伝えられない。そんな圧倒的質量の余韻に浸りつつ、ホテルへと帰ります。

5月中旬26年ぶりの長崎片側1車線の出島通りを行く長崎電気軌道の路面電車
いま歩いている出島通りは、かつては海だった場所。左手に出島の塀を見つつ歩いてゆくと、向かいから駅方面へと向かう路面電車が。片側一車線の道路を、道幅いっぱいにごとごとごとごと。車にも負けず交通の主役であるという矜持を感じ、鉄道好きとしてはうれしくなる。

5月中旬26年ぶりの長崎長崎ホテルマリンワールド夜のお供に六十餘洲純米酒
江戸からつづくやさしい味に、こぼれんばかりの圧倒的な夜景。到着後まだ数時間だというのに、なんと濃い時間を過ごしたのだろう。

そんな夜のお供には、波佐見町は今里酒造の醸す六十餘洲純米酒。甘酸っぱさの後に日本酒らしさが「かんっ!」と抜けてゆく、個性豊かな旨い酒。

26年ぶりの再訪となった長崎。とはいえ、今日訪れたところはすべて初めて。歓迎されるかのように浴びた新鮮な感動に、はやくもこの旅を決行して正解だったと静かなる悦びを噛みしめるのでした。

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