石垣島で迎える静かな朝。空模様を確かめるべくベランダへと出てみると、今朝ももわっと包まれるような湿度の高さ。午後は雨が来る予報。今日は午前中のうちに行動だな。

ここ数日丼やカレーを愉しんだため、久々におかずと白いご飯といった王道の朝食を。麩とゴーヤ、やさしい味付けの2種のちゃんぷるー。なすと豚のみそ炒めはコク深く、さっぱりとしたシークヮーサーもずくやサラダといった副菜もどれも美味。そしてうれしい、大好物のもずくのり。おいしい品々にどんどんご飯が進みます。

ご飯おかわりの誘惑を我慢し、即席で思いついた石垣牛すじカレーそばを。湯通しした八重山そばにだしを注ぎ、ピィヤーシとコーレーグースを加えカレーを適量。これがまた、もう堪らん旨さ。
ほんのりトマトの薫るスパイシーなカレーが、八重山そばのだしで一気に和風に。わしわしと食べ応えある麺によく絡み、お店のメニューにあったら頼みたいほど。

本当に、ここのホテルの朝食は食べる楽しさにあふれてる。だからこそ毎朝食べすぎてしまうのだが、それでも食後のデザートまで行ってしまう。マンゴーにパッションフルーツ、パインと南国のフルーツヨーグルト掛け。ほどよい酸味と甘さが、カリサクのサーターアンダギーとぴったり。

ベッドで食後の怠惰にゆらゆらと身を任せ、今日の予定を決めてゆく。そんなゆるやかな時間を過ごし、バスの時間に合わせて出発。桟橋通りバス停から『東運輸』の9系統、川平リゾート線に乗車します。

市街地を抜け走ること18分、フサキビーチリゾートに到着。今日は海には入らず、景色を眺めて愉しむことに。

林を抜ければ、思った以上に視界を染めてくれる鮮やかなあお。あたたかい色をした碧い海と若干赤みがかった砂浜の対比が、このビーチらしい情景を生み出している。

着いたときには空を覆っていた雲も、あっという間に切れ間が。そうすると、一気に力を持ちはじめる八重山の色彩。突如顔を出したあまりの鮮烈さに、海支度を持ってくればよかったとちょっとばかり悔やまれる。

全身をじりじりと灼く八重山の太陽に、居ても立っても居られず足だけ海へ。熱を持った甲に寄せては返す、冷たい波。そのここちよさに、思いがけない今日のあおさが沁みてくる。

期待していなかっただけに、鮮烈な八重山色に逢えて素直にうれしい。フサキの今年のあおさを眼にこころに灼きつけ、観音崎方面へとのんびり歩いてゆくことに。

本当に、今回の旅は天候に恵まれてるな。季節外れの台風は来るし、もともと梅雨ど真ん中だし。来るまでは、自分にそう言い聞かせていた。それなのに、こんな夏色に染まれるなんて。

たしかもうすぐ、ヤギが暮らしている場所があったはず。そう思いつつ日射に耐えながら歩いてゆくと、記憶していた以上にたくさんのヤギたちの姿。

フサキビーチからのんびり歩くこと10分足らず、この地で起きたバウン号事件の犠牲者を弔う唐人墓へ。その隣には、航海や漁業の神様を祀る媽祖廟が建築中。

異国情緒漂う唐人墓を後にし、東シナ海に突き出る観音崎へ。全身を撫でる強い海風に乗り、ときおり肌に感じる波しぶき。遠くには小浜に西表のあおい島影をうっすら望み、あまりの眩さが網膜を通して胸の奥を焦がしてゆく。

ここには何度か来ているものの、そういえば近くまで行ったことがないな。そう思いちょっとばかりの坂道を登ってゆけば、青空目指して聳える白亜の灯台。この琉球観音埼灯台は、昭和28年に当時統治していた米軍により建てられたものだそう。

その足元からは、全力に輝く碧い海と巨大客船の浮かぶ石垣港が。この観音崎が面する海は、西表や与那国、そして海外への船が行き交う交通の要衝。初点から70年以上もの間、航路の安全を照らしつづけてきました。

そして正面には、豊かな緑に覆われた竹富島の全貌が。こうして見ると本当に薄く、まるでひらりと海に浮かんでいるよう。
雨が降る前にと出かけた冨崎散歩、そこで思いがけず出逢えた夏模様。八重山を愛し、そして愛され。こんな鮮烈なあおさを魅せられれば、僕が勘違いしてしまうのも仕方がない。
来年へと繋がる1年分のあおさを、無事に胸いっぱい持ち帰ることができる。その歓びを静かに噛みしめ、今年の八重山色を眼にこころに刻むのでした。



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