黄金に染められ海つがる ~北東北よくばり旅 4日目 ③~ | 旅は未知連れ酔わな酒

黄金に染められ海つがる ~北東北よくばり旅 4日目 ③~

3月中旬春まだ浅い角館駅に入線する田沢湖線701系普通列車盛岡行き 旅グルメ

約1時間半の間で角館を急ぎ足で満喫し、この旅最後の目的地である盛岡を目指すことに。今回は、1日に数本しか走っていない普通列車に乗車。初めての体験を前に、鉄の血が思わず騒いでしまいます。

3月中旬春まだ浅い田沢湖線701系普通列車盛岡行きロングシート車窓に広がるのどかな田園風景
田沢湖線を走るのは、いつも乗り慣れた701系。とはいえ、他の線区を走るものとはちょっとした違いが。車内はロングシートとクロスシートの千鳥配置となっており、足元はこの区間を走る秋田新幹線に合わせて標準軌の台車を履いています。

3月中旬春まだ浅い田沢湖線角館を出発し田沢湖に向け山へと挑み始める
角館を出発してしばらくはのどかな田園の中を走りますが、奥羽山脈へと向け険しくなりはじめる田沢湖線。行く手には山が重なるようにして並び、その合間に刻まれた谷間がこれから行く道を示しているかのよう。

3月中旬春まだ浅い田沢湖線残雪と大量に杉が積まれた貯木場
川や国道と絡み合いながら、谷底を行く鉄路。山間の鉄道らしい車窓を眺めていると、大量の杉の丸太が積まれた貯木場が。今年はこれで見納めだ。秋田を感じさせる光景を彩る冬の白さに、そんなことを想います。

3月中旬春まだ浅い田沢湖線鉄路はより厳しさを増し日本の背骨奥羽山脈へと挑む
日本の背骨へと挑む鉄路は更に険しさを増し、どんどん山奥へ。日本海へと注ぐ川の流れも、これでしばらく見納め。

3月中旬春まだ浅い田沢湖線701系普通列車盛岡行き信号所で秋田新幹線と交換待ち
途中の信号所で、しばし佇む普通列車。無音の時間がしばらく続き、気配を感じたかと思えば秋田を目指し駆けてゆくこまち号が。普通列車と新幹線、このふたつが同居するという感覚はやはり独特なもの。

3月中旬春まだ浅い田沢湖線701系普通列車盛岡行きトンネルで分水嶺を越え太平洋側岩手県へ
新幹線上では320㎞/hで駆け抜けるE6系を交換待ちするという非日常を味わい、再び走り出す普通列車。程なくして長い長いトンネルへと入り、抜けたころには分水嶺を越えて岩手県へ。川の流れる向きが、そのことを知らせてくれるよう。

3月中旬春まだ浅い田沢湖線701系普通列車盛岡行き車窓から眺める春まだ浅い岩手山
列車は器用に谷を下り、車窓からはいつしか山深さも消え田園風景に。岩手の長閑な表情を、優しく見守るように横たわる岩手山。南部片富士の名のとおりの優美な姿は、何度目にしても見とれてしまう。

3月中旬春まだ浅い盛岡駅
こまちで何度も通過した田沢湖線には、こんなに駅があったんだ。初めての田沢湖線普通列車でそんな実感を得つつ、角館から約1時間半を掛けて盛岡駅に到着。

3月中旬春まだ浅い盛岡夕刻に佇む優美な開運橋
時刻はもう17時。本来ならば盛岡の街並みを歩きたいところですが、帰りの新幹線の時間もあるため〆の宴の場となるお店へと向かうことに。

3月中旬春まだ浅い盛岡開運橋から望む夕刻の北上川と頭を隠した南部片富士岩手山
盛岡での大切な儀式である開運橋へのご挨拶を終え、その橋上から眺める夕刻の光景。弱まりゆく夕空、その下を滔々と流れる北上川。遠くには頭を隠した岩手山が薄っすらとその姿を見せ、その全てが夜へと向け色を失い始めている。

3月中旬春まだ浅い盛岡ももどり駅前食堂
開運橋に別れを告げ、駅を目指してUターン。今回は、すぐ近くに位置する『ももどり駅前食堂』にお邪魔してみることに。

3月中旬春まだ浅い盛岡ももどり駅前食堂沢内わらびのお浸し
このお店は、旧沢内村の郷土の味を提供する沢内甚句というお店の姉妹店。ということで、まずは沢内わらびのお浸しを注文。太めのわらびはしゃっきりとした食感がしっかりと残され、ちょっとしたぬめりと山菜ならではの風味が堪りません。

3月中旬春まだ浅い盛岡ももどり駅前食堂西和賀名物のビス天
早速岩手の地酒に切り替え、山の恵みを味わうひととき。続いて運ばれてきたのは、旧沢内村の郷土の味だというビス天。1枚から注文できるので、試しにとチャレンジしてみることに。

一体どんな味がするのだろう。未体験の食べ物にワクワクしつつひと口。なにこれ、抜群にうめぇ!

厚めの衣に包まれたビスケットは衣のもつ水分で程よく蒸らされ、ふっくらしっとり、ところどころサクッとした食感。熱せられたことにより際立つビスケットのほどよい甘味と油のコクが合わさり、素朴ながら驚くほどのおいしさに。もちろんこれ、日本酒にも合っちゃいます。

3月中旬春まだ浅い盛岡ももどり駅前食堂皮がパリッパリの名物ももどり
続いては、このお店の名物だというももどりを。盛岡で鶏もも焼きのイメージがなかったので一瞬迷いましたが、店名にもなっているくらいだから頼んでみるかと注文。

打算的な考えで注文してごめんなさい。結論から言うと、これ、本当に名物だわ。

皮は音がなるほどパリッパリに焼かれ、それでいて身はふっくら柔らかジューシー。まずその食感に驚きますが、味付けがまた絶妙。香辛料をきかせたスパイシーさはありつつも、鶏の味をしっかりと活かす塩梅。もうこれ、地酒を飲む手が止まらない。

3月中旬春まだ浅い盛岡ももどり駅前食堂〆に盛岡名物じゃっじゃ麺
鶏もも1本を平らげすでに結構満腹になっていますが、メニューにじゃじゃ麺を見つけたので〆に食べることに。

ラー油とにんにくを加えてがっと混ぜ、ぺとぺとになった麺をずるりとひと口。あぁ、幸せ。口中が盛岡の味わいで満たされ、自ずと頬がほころんでしまう。

3月中旬春まだ浅い夜の盛岡駅
ももどり駅前食堂、今度は泊まりのときに腰を据えて飲みに来よう。そう思えるこの旅最後のグルメを満喫し、すぐ近くに位置する盛岡駅へと向かいます。

3月中旬春まだ浅い夜の盛岡駅H5系はやぶさ号東京行き
駅前ということもあり、油断して発車の10分前まで飲んでしまった。急ぎ足でホームへと向かい、すでに停車していたはやぶさ号に乗り込みます。

3月中旬H5系はやぶさ号東京行き車内のお供に酔仙岩手の地酒ワンカップ
いやぁ、今日はいろいろと駆け足の1日だった。普段は余裕をもって行程を組みますが、ちょっとばかり詰め込みすぎたかもしれない。

そう思いつつも、何となく包まれる謎の満足感。たまにはこんな旅もいいものだ。駆け足で別れを告げた岩手の地の余韻に浸るため、発車前にささっと仕入れたお気に入りの岩手の地酒を傾けます。

3月中旬東京駅に到着したH5系はやぶさ号
棚ぼた年休で出発を決めた、今回の旅。日々の妄想で蓄積されたストックから即興で行程を組み、手配を終えたのは出発の5日前。それにしては、上出来すぎるだろ。我ながら、自分を褒めてやりたい完璧な旅程。

青森で酒を飲み、名物の唯一無二の麺を味わい長年憧れ続けてきた名湯へ。2泊3日を掛けて黄金色の湯と海原に染めあげられた感動は、忘れ得ぬ大切な想い出に。秋田では艶肌のうどんを味わい、角館を経て盛岡では郷土の味を満喫し。

今回は、北東北のいいところをちょっとずつ色々愉しめた。いつもより駆け足で、いつもよりよくばりな行程だったけれど、4日間をフルに満喫できた気がする。そんな満たされた気持ちで、東京へと疾走するはやぶさ号に身を委ねるのでした。

黄金に染められ海つがる~北東北よくばり旅~
3月中旬黄金崎不老ふ死温泉客室から望む美しい日没
2023.3 青森/秋田/岩手
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●1日目(東京⇒青森)
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●2日目(青森⇒黄金崎不老ふ死温泉)
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●3日目(黄金崎不老ふ死温泉滞在)
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●4日目(黄金崎不老ふ死温泉⇒秋田⇒角館⇒盛岡⇒東京)
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