黄金に染められ海つがる ~北東北よくばり旅 1日目 ①~ | 旅は未知連れ酔わな酒

黄金に染められ海つがる ~北東北よくばり旅 1日目 ①~

3月中旬春晴れの東京駅に停車中のE5系はやぶさ号新函館北斗行き 旅行記

3月中旬、また僕は東京駅に立っていた。先週木曽路から帰ってきたばかりだというのに、旅に行き過ぎている自覚はある。が、今回は連休なしの勤務サイクルに移行する際の棚ぼた年休。もうこの先は、休みを取らなければ旅に出られない。こんな千載一遇のチャンス、活かさないわけにはいかない。

この休暇チャンスが発覚したのが、出発の5日前。旅先はどこにしようかと一瞬悩みましたが、長年温存していたあの憧れの地へ。こんなとき、いつもどこかへ行きたいと蓄積してきた妄想が役に立つ。あっという間にスマホで手配を終え、旅立ちの瞬間を迎えます。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き車内のお供に一番搾りといぶりがっこチーズ
この日は昼過ぎまで会議的なものがあったため、いつもよりかなり遅い出発。本当なら旅立ちの乾杯からの駅弁と行きたいところですが、今回はいぶりがっこチーズをお供に冷たい刺激を味わいます。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き西日に煌めく荒川を渡り無事に東京脱出
この時間の下りの東北新幹線に乗車するのは初めてのこと。なんだろう、これから旅に出るのか、それとも東北へと帰るのか。いつもの旅立ちとは違った感覚を抱きつつ、西日に煌めく荒川を渡り無事に東京脱出。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き旅路のお供に酔仙特別純米酒岩手の地酒
大宮を過ぎると、全席指定の車内はほぼ満席状態に。利用者としては空いている方が快適ではあるものの、やはり僕にとっては鉄道の需要が戻りつつあることがただただ嬉しい。北を目指す旅客を乗せ加速するE5系に身を委ね、お気に入りの酔仙ワンカップをちびりと味わいます。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き車窓から望む青く霞む安達太良山
順調に加速し、関東を抜け東北へと駆け抜けるはやぶさ号。車窓には青く霞む安達太良山が現れ、あの地で出逢えた秋色の想い出が甦る。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き車窓から眺める蔵王山
安達太良山に見送られ、吾妻連峰を望みトンネルへ。その闇を出た先には、遠くにうっすらと姿を見せる蔵王山。半年前、夏の名残りに訪れたことがつい昨日のことのように思い出される。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き車窓から眺める仙台の街と広瀬川
車窓から見える山々に、想い出が重なってゆく。それは、それだけ東北を訪れることが出来ているという揺るぎない証。旅路の途中で、旅の想い出に触れられる。それは旅を愛する者として、一番の贅沢なのかもしれない。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き車窓を染める美しい夕日
仙台で多くの乗客を降ろし、さらに北へと疾走するはやぶさ号。ちらほらと空席の目立つ車内、車窓を染める眩い夕日。やっぱり今日は特別だ。往路でこんな感情になったことがない。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き夕日に輝く北上川
旅立ちではなく、家路に就くような感覚。ある意味、それは僕にとって幸せなことなのかもしれない。なぜなら東北は、僕の帰りたいと思える特別な場所だから。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き車窓から眺める奥羽山脈に沈む夕日
車窓を染める、うつくしい夕景。岩手らしい牧歌的な田園はシルエットとなり、その背後には延々と連なる奥羽山脈。眩いほどに輝く夕日も、もう間もなく日本の背骨へと沈むだろう。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き車窓から望む盛岡貨物ターミナル越しの南部片富士岩手山
昼から夜へ、空を彩るグラデーション。パステル色に包まれる世界に裾野を広げる、南部片富士の優美な姿。もうまもなく盛岡に到着。でも僕は、そのまだ先へ。

3月中旬E5系はやぶさ号新函館北斗行き優美に裾野を広げる夕暮れ時の南部片富士岩手山
東京から離れるごとに、刻一刻と移ろう車窓。夕日はとっくに奥羽の山並みの影へと隠れ、あとはもう陽の名残りが消えゆくのをただぼんやりと眺めるのみ。

初めてとなった、この時間での旅立ち。今日の旅路は、いつも以上に胸に来る。半年ぶりに東北に戻ってくることのできた歓びと、夕暮れに誘われ湧く郷愁。旅は始まったばかりだというのに、そんな嬉しさと切なさの綯い交ぜに心を焦がすのでした。

黄金に染められ海つがる~北東北よくばり旅~
3月中旬黄金崎不老ふ死温泉客室から望む美しい日没
2023.3 青森/秋田/岩手
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●1日目(東京⇒青森)
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●2日目(青森⇒黄金崎不老ふ死温泉)
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●3日目(黄金崎不老ふ死温泉滞在)
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●4日目(黄金崎不老ふ死温泉⇒秋田⇒角館⇒盛岡⇒東京)
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