3年ぶりの熱い夏を味わわせてくれた津軽の地とも、いよいよお別れのとき。真新しい青森駅に吸い込まれ、列車の待つホームへと向かいます。広く明るくなったコンコースに揺れる、たくさんの金魚ねぶた。窓から眺める幾筋ものレールに、懐かしい青森駅の姿を重ねます。
いつもの701系に乗り込み、発車を待つ静かなひととき。ホームの向こうから祭りの賑わいを感じつつぼんやりしていると、列車は定刻通りに青森駅を発車。
奥羽本線に揺られること1駅、あっという間に新青森に到着。ここで東北新幹線へと乗り換えます。コンコースには、津軽塗で彩られた輝く青森県。津軽に伝わる様々な技法で塗り分けられ、いつ見てもその美しさに心を奪われます。
そしてこちらには、ずらりと並ぶねぷたにねぶた、立佞武多。ようやく今年、再会できた。今年も良い夏を、本当にありがとう。来年の再訪の誓いを、この勇壮な灯りに託します。
津軽の余韻に浸りつつ、はやぶさ号東京行きに乗車。2泊3日、久々に青森の夏を満喫できた。思い残すことは何もない。そう自分に言い聞かせても、やはり別れ際の寂しさは拭えない。
E5系は東京駅に向けて静かに発車。車窓を彩る青森の夏に、最後のお別れを告げます。
と、こんな明るい時間にすんなり東京へと帰る僕ではありません。早めに青森を発ったのは、盛岡にも寄りたかったから。毎年夏の恒例行事となった、東北巡り。今年は帰り際だけでも、盛岡の夏を感じたい。
盛岡には結構来ている気がしますが、夏に訪れるのは4年ぶり。白い雲を浮かべる夏空に映える開運橋に、またこの街へと戻ってくることのできたお礼を伝えます。
開運橋から岩手山を眺めるのが、僕にとっての盛岡到着の大事な儀式。今日は大半を雲に隠し、うっすらと霞むように裾野を見せています。
そういえば、夏に盛岡を訪れるときはいつも曇っていた気がする。眩い夏空に輝く盛岡に新鮮味を覚えつつ、重厚な石垣が印象的な岩手公園へと向かいます。
夏の陽射しを受けて緑を深める桜の先には、青空の下横たわる青い峰。ようやく盛岡の本気の夏に出逢え、肌を灼くこの暑さすら嬉しく思えてしまう。
セミの合唱と陽射しを浴びつつ歩いてゆくと、修復中の石垣がずらりと並べられた一画が。お城を維持することの大変さが伝わるような光景です。
夏真っ盛り、豊かな緑に覆われる盛岡城跡。眩い木漏れ日に目を細め見上げれば、大きな木々に守られるかのように鎮座する烏帽子岩。
そのすぐ近くにも、地中から顔を出す大きな岩が。岩手公園以外にも三ツ石神社や石割桜と、あちこちに点在する大きな岩。特徴的な形を持つ南部片富士、岩手山の力のすさまじさを感じます。
木漏れ日と戯れつつ歩く、豊かな緑に包まれた岩手公園。これまで知らなかった夏の表情を愉しみつつ歩き、櫻山神社までやってきました。
それにしても、今日は暑い。僕の記憶の中では、こんなにしっかりと夏を感じる盛岡は初めてかも。また新たな表情に出逢えたことのお礼を、櫻山神社に伝えます。
もう何度も訪れている、大好きな街盛岡。眩い夏空の下、まだ知らない盛岡の顔を探しに更に歩みを進めます。
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