想い焦がれて夏つがる ~ヤーヤドーに逢いたくて 2日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

想い焦がれて夏つがる ~ヤーヤドーに逢いたくて 2日目 ②~

8月上旬夏の弘前津輕藩ねぷた村津軽旨米屋 旅グルメ

今朝はゆっくり目に起き、朝ごはんも食べずに街歩きをしていたのでもうお腹はぺっこぺこ。弘前城北側に位置する津輕藩ねぷた村に併設された『津軽旨米屋』で、お待ちかねのお昼を食べることに。

8月上旬夏の弘前津輕藩ねぷた村津軽旨米屋中華そばとミニ津軽海峡の鮭イクラ丼セット
ここ津輕藩ねぷた村は10年前、今は亡きあけぼの号で初めて弘前に降り立ったときに訪れた想い出の場所。あのときねぷたに、三味線に、そして津軽の味に出逢わなければ、絶対に違う人生を送っていた。そう断言できるほどに、あの旅は深く心に刻まれすぎた。

ねぷたの灯りに、三味線の響き。その余韻に浸りつつ食べた、貝焼き味噌やけの汁の味。あの瞬間、僕は弘前、そして津軽に恋をした。そして気づけばもう十年。来れば来るほど、津軽は良い。

ビール片手にそんな回想と感傷に耽っていると、頼んでいた中華そばとミニ津軽海峡の鮭イクラ丼セットが到着。まずは中華そばのスープをひと口。うわぁ、丸い、優しい、穏やか、沁みる。

津軽海峡の鮫節や鶏豚を合わせたスープは、その見た目通りの清らかさ。クセやくどさのないすっきりとした味わいながら、しっかりと宿るコクや旨味。たれに使われているしょう油はお隣藤崎町のものだそうで、角のない豊かなしょう油の風味がスープに深みを与えます。

麺はおいしいスープをしっかりと口へと連れて来てくれる、手もみの縮れ麺。チャーシューやメンマも自家製だそうで、観光施設の食堂とは思えぬ本格的な中華そばに正直びっくりしてしまいます。

つづいては、津軽海峡の鮭イクラ丼を。地元青森県産の鮭は旨味や風味が濃く、竈で炊いた自慢のごはんと相性抜群。載せられたいくらは、お隣の北海道産。大粒のプチプチとしたいくらからは、旨味の洪水がとめどなく溢れます。まさに、海峡を挟んだ最強タッグ。

8月上旬夏の弘前お堀の先に聳える岩木山
やっぱり東北は、中華そばが旨い。大当たりの昼食にお腹も満たされ、大満足でお店を後にします。すぐ目の前には、弘前城のお堀と裾野を広げる津軽富士。目を灼く弘前の夏色に、引いた汗が早くも再び噴き出します。

8月上旬夏の弘前亀甲門より弘前城へ
豊かな緑に染まるお堀端を歩き、亀甲門より弘前城内へと入ります。築城当時は正門だったというこの門は、弘前城築城の際に他のお城から移築されたものだそう。

8月上旬夏の弘前緑に映える弘前城丑寅櫓
戦で付いた矢の跡が残るという城内でも最古といわれる門をくぐり、広大な四の丸の広場を抜けて中濠へ。端正な顔つきをした丑寅櫓と夏の緑との対比は、その荘厳さを一層深めるかのよう。

8月上旬夏の弘前弘前城の巨大なネズコの木
いつもは丑寅櫓の横を過ぎそのまま内濠沿いへと進むのですが、今日はまだ歩いたことのない三の丸へと進んでみることに。するとすぐに現れる、独特な樹皮を持つ巨木。この木はネズコという木で、樹皮からは銃の火縄が作られるのだそう。

8月上旬夏の弘前鮮やかな緑に彩られる弘前城三の丸
樹齢500年、築城以前からここに居たという古木に別れを告げ三の丸へ。広大な広場を染めるのは、どこまでも深く鮮やかな緑。青々とした芝生に、豊かに葉を茂らす桜たち。全身を包む緑の洪水に、心の深いところまで染まってしまう。

8月上旬夏の弘前東内門をくぐって弘前城二の丸へ
何度も訪れた弘前城だけど、こんな場所があったなんて。また新たな弘前城の表情に心を動かされ、新鮮な感動を抱きつつ東内門をくぐり二の丸へと進みます。

8月上旬夏の弘前緑豊かな桜に彩られる下乗橋
するとすぐに現れる、真っ赤な欄干の下乗橋。弘前城を訪れる度に眺めるこの橋も、いつもとは違う順路で再会するとまた違った印象を受けるのだから不思議なもの。

8月上旬夏の弘前修理中の石垣と弘前城天守閣
夏真っ盛りの弘前。大きく枝を広げた桜は豊かな葉を元気に茂らせ、その合間からはちらりと覗く修復中の石垣や曳屋された天守の姿。

8月上旬夏の弘前二の丸の馬場を復元した弘前城情報館
あと数年で天守は元の位置に戻る予定。この眺めもあと何回見られるだろうか。そう思いつつ、やはり曳屋され戻る日が待ち遠しい。初めて出逢ったときの姿を思い出しつつ歩いてゆくと、これまた入ったことのない建物が。

この真新しい建物は、弘前城情報館。とはいっても、実は4年前にはあった模様。この近くを歩くときはいつも暑さでやられていたので、僕が気づかなかっただけのようです。

中へと入ると、プロジェクションマッピングを多用した展示の数々。僕のような歴史音痴でも分かりやすい内容で、思わず次また次と見てしまいました。外には、かつてあったという馬場も復元されています。

8月上旬夏の弘前復元された馬場の横に建つ弘前城辰巳櫓
その馬場の終端に建つ、辰巳櫓。いつもはお堀越しに眺める姿も、手の届くこの距離から見ればその重厚さがより一層伝わるよう。

8月上旬夏の弘前弘前城蓮池に咲く蓮の花
今日の弘前城のこの新鮮さは、3年ぶりという理由だけではない。初めて出逢ったときのような興奮に気を良くした僕は、いつもの追手門へ抜けるルートとは敢えて違う道を進んでみることに。

本丸の南側を通る道は、弘前にこんな坂あったっけ?というような結構な急坂。いや、そうだ。今朝歩いた藤田庭園の先の坂も急だった。ここでようやく、弘前城が岩木川の段丘の上に建つことを実感。

8月上旬夏の弘前弘前城西の郭の立派な松
美しい蓮の花と先ほどまでいたお城との比高が印象的な蓮池を過ぎると、ここまで来る観光客は少ないのか一気に地元の人々の憩いの場といった雰囲気に。西の郭があったこの場所には、見上げるほどの大きな木が至るところに立ち並びます。

8月上旬夏の弘前弘前城の根上がりイチョウ
親子が追いかけっこするような長閑な雰囲気の中進んでゆくと、ひときわ目を引く姿をした銀杏が。この木は土塁上に植えられたようですが、後にその土塁が壊されて立派な根が露出したのだそう。この大木を支える根からは、何とも言えぬ枯れた生命力のようなものを感じます。

8月上旬夏の弘前埋門から弘前城外へ
今日の弘前城は、至るところが新鮮だった。いつもとちょっと順路を変えるだけで、こんなに新たな魅力に出逢えるとは。そんな弘前城との久々の逢瀬は、ひっそりとしたこの埋門で締めくくることに。

8月上旬夏の弘前夏空を映す弘前城西濠
江戸時代に整備されたという小ぶりながら重厚な石垣の隙間を抜ければ、もうすぐそこは人々の生活の場。いつもの弘前城と同じ地であるということが俄かに信じがたく、なんだか狐につままれたかのような心持ち。

8月上旬夏の弘前緑茂る桜のトンネル
高校や民家を身近に感じつつ進んでゆくと、西濠に沿って長く長くのびる緑のトンネルが。そうか、ここが有名な桜のトンネルか。今は観光客は僕一人だけど、春にはきっとものすごいことになっていそう。

8月上旬夏の弘前青い夏空を一面に映す弘前城の広大な西濠
これまで幾度となく歩いてきた弘前城。敢えていつもとは違う道を行く。ただそれだけで、これほどまでにまた新たな表情を魅せてくれるとは。2年半ぶりに再会できた大好きなお城のまだ知らなかった魅力に触れ、この先の夏もずっとずっと通いたいと心の底から願うのでした。

想い焦がれて夏つがる ~ヤーヤドーに逢いたくて~
3年ぶりとなる弘前ねぷた夜空に浮かぶ為信公
2022.8 青森/岩手
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●1日目(東京⇒弘前)
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●2日目(弘前滞在)
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●3日目(弘前⇒青森⇒盛岡⇒東京)
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