いつかはと思いつつ、ようやく訪れることのできた雪積もる会津若松。この街の持つ凛とした空気を一層研ぎ澄ますかのように、盆地を包む冬の情緒。春も夏も秋も良いけれど、モノトーンに染まる街並みはこの季節だからこその情景だった。
また新たな魅力を知り、今度はもっとゆっくり訪れたいと離れる前から願ってしまう。今日は末廣にも行けなかったけれど、この時期はきっと新酒が旨いはず。また今度、雪景色の会津若松に逢いに来るからね。そんな想いを、ゆったりと頭を揺らす赤べこに託します。
約5年ぶりとなる大好きな街との再会、それも初めての季節となればその感動も一入。行程の都合上仕方はないけれど、やっぱりもう少し居たかった。でも、その名残惜しさがあるからこそ、また次へと繋げられる。そんな再訪の誓いを胸に、磐越西線の快速あいづへと乗り込みます。
列車は市街地を抜けると、すぐさま勾配とカーブの連続に挑みはじめます。目指すは会津盆地の縁の上。標高差300m以上もある猪苗代へと向け、勾配に弱い鉄道は標高稼ぎのために盆地の縁を右往左往。
左右に行ったり来たりと忙しい車窓。中央本線と共に、何度乗っても浪漫を感じる線形。よくも明治時代にここに鉄道を通したものだと、先人のルートファインディング力に思わず感心してしまう。そんな妄想に耽っていると、気づけばもう盆地は遥か遠くに霞むだけ。
車輪を軋ませ、車体を傾け懸命に登り続けるE721系。走る車輌も変わったけれど、地形に挑むというダイナミックさを感じさせる車窓は変わらぬまま。でも今日は一つだけ違うものが。それは白く染まる雪原と、磐梯山に浮かぶいくつもの白銀のコース。
久々にスキーに行きたいなぁ。そんなことを考えているうちに、どんどんと深さを増す積雪。車窓には木で作られた仮設の防雪柵がいくつも現れ、この地の風雪の厳しさを物語るよう。
鉄路はついに勾配を登り切り、白銀に輝く雪原の中を快走します。遠くには、会津と中通りを隔てる山並みが。白く染まるその姿が近づけば、まもなく次なる目的地への到着の合図。
会津盆地を縦断し、目指す次なる出湯の地。そこで待つ乳白の湯への期待を胸に、眩く輝く銀の車窓に思わず目を細めてしまうのでした。
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