白銀の奥羽路 ~スキーに秘湯、冬の旅 4日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

白銀の奥羽路 ~スキーに秘湯、冬の旅 4日目 ②~

冬の鶴の湯大きなかまくら 旅の宿

田沢湖駅からバスで揺られること約1時間。いよいよ言わずと知れた秘湯、『鶴の湯温泉』に到着。大きなかまくらが出迎えてくれます。

豪雪の秘湯鶴の湯

このアングルは、よく写真やテレビでご覧になることでしょう。実際の空気感は、写真以上。あの雰囲気をお伝えするだけの写真の腕が無いのが悔やまれます。

手前左側が有名な本陣。右側は湯治棟の2号館、3号館。建てられた年代は違えど、外観の雰囲気は統一されており、まるでこの温泉宿が一つの集落かのように見えます。

乳頭温泉郷鶴の湯軒に吊るされた餅

早速チェックインするために受付へと向かいます。途中軒にはお餅が吊るされており、干し餅を作っているようでした。なんだかホッとする、故郷に帰ってきたような温かさがあります。

江戸時代から続く鶴の湯本陣に宿泊

受付では嬉しい大誤算が。予約時には本陣は満室で、1号館を押さえていました。本陣のキャンセルが出たら連絡してくれるようお願いをしていましたが、当日まで連絡は無く、完全に諦めていました。ところがチェックイン時に、本陣が取れたとの嬉しいお言葉。もう完全に舞い上がってしまいました。

やはり鶴の湯に来たら一度は泊まりたい本陣。半年前から予約しても中々取れないという本陣に、初めての宿泊で泊まれるなんて、どれだけ幸運なことか。その嬉しさは言葉では言い表せないほど。今回宿泊するのは、一番入り口側の本陣一。期待に胸膨らませ、木戸を開けて中へと入ります。

秘湯鶴の湯江戸時代の建物本陣室内

こちらが室内。この本陣は、350年以上も前に秋田の殿様が鶴の湯に宿泊した際、護衛のお侍さんが詰めたという長屋。つまり、ちょんまげ刀の武士が過ごした場所と同じところに寝泊りするのです。

お城などでは江戸時代から残る建物を見たことはありますが、このように今も現役で、実際に自分が中に入って自由に過ごせるものはもちろん初めて。

畳の上に座れば、お侍もこうやって座っていたのだろうか、そんなことを考えてしまいます。まさにここだけ時が止まっている、タイムスリップしたかのような空間です。

古い建物なので寒さを心配しましたが、ファンヒーターもしっかり付いており、意外と快適。奥にはウォシュレット付きのトイレも用意されており、古いだけでなくしっかり今のニーズにも応えていく、こんなところが鶴の湯の人気の高さを支えているのでしょう。江戸時代の建物とは思えないほど、快適、快適。

秘湯鶴の湯のシンボル混浴露天風呂

部屋には鍵が無いので貴重品を預け、いざお風呂へ。お風呂へは、浴衣と丹前を着込んで、長靴を履いて小走りに向かいます。

寒い中、湯煙の先に現れた乳白色の露天風呂。ここが一番大きく有名な、混浴露天風呂です。よく鶴の湯のポスターに出てくるのもここ。

木造の寒い、寒い脱衣所で、思い切って浴衣を脱ぎ捨て、いざお風呂へ。この湯船は相当広いので、場所により温度はまちまち。

お湯が上から落とされているほか、湯船の底いたるところから、温泉がプクプクと湧いています。脱衣所側はぬるいので、奥の熱めのところへ移動し、肩までじっくり浸かります。

視界に入るものは白ばかり。大きく広がる青白いお湯に包まれ、目線を上げればこれでもかというほど積もった雪。

お湯の流れる音だけが響く純白の世界に身を任せば、もう全てが溶けていくよう。この世の極楽とは、このようなところを言うのでしょうか。

鶴の湯にはいくつも源泉があり、それぞれを引いた内湯がいくつか設けられています。露天風呂でじっくりお湯と景色を堪能し、隣にある白湯、黒湯に移動。

どちらもにごり湯ですが、浴感が全然違う。露天風呂がまろやかなのに対し、酸性がちょっと強いのか、入るとピリピリとし、よく温まるお湯。ここでしっかり芯まで温まってから、寒い雪道を部屋まで戻ります。

鶴の湯本陣ランプに灯る火と囲炉裏にくべられた炭

部屋に戻ると、おじさんが囲炉裏に炭と、ランプに火を入れに来てくれました。揺れる火を見ると、人は何故か落ち着く。この木でできた部屋を、優しい光で照らします。

この部屋にはテレビは無く、携帯もほとんど通じない。逆にこの部屋にはそんな無粋なものは必要ありません。お湯と会話を楽しむのみ。文字通り日常から解放され、贅沢な暇というものを持て余してみます。

白銀の奥羽路~スキーと秘湯、冬の旅~
白い雪をまとった安比高原の木々
2010.2 岩手/秋田
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1日目(東京⇒安比高原)
2日目(安比高原)
3日目(安比高原)
●4日目(安比高原⇒鶴の湯)
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●5日目(鶴の湯⇒盛岡⇒東京)
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