バス、近鉄、きたぐに、越後線、上越線と数々乗り継いできた旅も、もうすぐ終わり。この列車に乗れば、関東に帰還します。目指すは水上、この旅最後の途中下車です。
大地は雪に覆われていても、きらきらと流れる川面と空の色には、隠し切れない春の色が。こうやって暖かい日差しを受け、雪国は段々と雪解けを迎えてゆくのですね。
遠くに見えていた白い山々が、段々近くなっていきます。
ここからは、白銀に輝く山の遠景を数枚ご覧頂きたいと思います。
このあたりは日本有数の米どころ。台地を覆う雪がもたらす雪解け水と、その下に隠れている土がおいしいお米を育みます。あと半年もすれば、このあたりも黄金色の稲穂が揺れていることでしょう。
のんびりした景色も終わりを告げ、巨大マンション・ホテルが建ち並ぶ越後湯沢が近付いてきました。奥に控えるのは、関東と越後、太平洋と日本海を分かつ背骨、谷川岳。
越後湯沢ではしばしの停車。その間に、上善如水の純米吟醸を買い込みました。今シーズン最後の白銀の世界。冬の名残をつまみに、水上までのひと時を楽しみます。
スキー場の目の前に位置する越後中里駅からは、旧型客車を利用したスキー場の休憩施設を見ることができました。使用目的は変わっているとはいえ、雪の中、青い長大編成を横たえている姿は、いつ走り出してもおかしくないほどの迫力があります。
新潟県も残りわずか。行く手を高い山々が塞いでいます。あの向こうはもう群馬県。空とレールだけが、この両県を繋いでいるかのような険しさを感じます。
新潟県最後の駅、土樽。この先の清水トンネル内で県境を越えます。
遂に清水トンネルに突入。この清水トンネルの歴史は古く、川端康成も通った道。小説「雪国」に登場する国境の長いトンネルとはこのトンネルのこと。
戦後上越線の複線化の為に新清水トンネルが開通するまで、東京と新潟を結ぶ大動脈として、一人でその交通に耐えてきました。
現在は古老の清水トンネルは上り線用、新清水トンネルは下り線用として使われています。すぐ側には新幹線の大清水トンネルも通っており、三代で東京と新潟を結ぶ動脈として活躍し続けています。
長く長く続く闇と、鉄の擦れる轟音。70年以上も前、きっと川端康成も、激しく揺れる車中で同じ車窓を眺めていたに違いありません。昔読んだ雪国が頭をよぎります。
長い闇から抜け出し、目も適応できないうちに土合駅に到着。関東は群馬県まで戻ってきました。上り線(最古の上越線ルート)の土合駅は地上駅。日本一のもぐら駅として有名なのは、下り線の方です。
列車はまもなく終点の水上に到着。この旅最後のポイントへと立ち寄ることにします。
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