お昼までまだ時間があるので、中禅寺湖畔をぶらぶら散策します。二荒山神社の赤い鳥居が出迎えてくれます。
鳥居から右へと視線を移せば、そこに鎮座するのは男体山。もう紅葉が始まっています。まだまだ早いだろう、と全く期待していなかっただけに、これは嬉しい誤算。今年は朝晩が冷えるのが早かったため、去年より紅葉は少し早そうです。
雨は上がりましたが、まだガスが掛かったまま。これはこれで幻想的でいい眺めなのですが、やはり秋晴れに輝く中禅寺湖を見たかった。
湖畔を歩けるプロムナードが整備されており、車道から少し離れ静かな雰囲気の中歩くことができます。湖畔の園地には落ち葉が積もり、もうすっかり秋の装い。どことなく寂しい、そんな秋の公園もまた、いいものです。
てくてく歩き、だいぶお腹も減ったので、お昼を食べることに。このエリアには観光客向けのお土産センター併設の食堂が多いため、今回は先程訪れた華厳の滝入り口に並ぶ出店で、好みのものを適当に食べることにしました。
まずは山女の塩焼きと生ビールをゲット。川魚に目が無い僕としては、こういう山の観光地に来ると、ついつい塩焼きを買ってしまうのです。
淡白ながら上品な風味が味わえる山女を頬張り、生ビールをグイッと一口。露店ならではの開放感も手伝って、より一層美味しく感じます。車でいろは坂を登ってきた皆さん、ごめんなさい~!
山女をつまみにビールを堪能したら、次は温かい汁物が欲しいところ。たくさん並ぶ看板の中に、キノコ入りすいとんの文字を発見。キノコも好き、すいとんも好き。これは食べない手は無い、ということでもちろん注文。
大根やニンジンといった野菜の他に、キノコ類がたくさん入ったおつゆは、いろいろな旨味が出たいいお味。意外なほど入っていたすいとんも、丁度いい煮込み加減で、中までしっかり味が浸みています。
熱いすいとんをフハフハ食べていると、なんだか急に汗が出てきました。これはすいとんだけの仕業か?なんて周りを見ると、真っ青な秋の空が広がっていました。ここへ来て、まるで日光に歓迎されたかのような急展開。もう、いいこと尽くめです。
待ち望んでいた秋晴れの到来に、居ても立ってもいられず、急いで華厳の滝へと向かいました。途中太陽に照らされた緑の間から姿を見せる華厳の滝は、さっきより数段輝きを増しています。
明るい光に包まれた華厳の滝は岩壁の陰影を増し、より一層その荘厳さを見せ付けます。きらきら輝く水飛沫と、くもの糸のような繊細さを見せる下の細い滝の数々。
本当にいいタイミングで華厳の滝近くにいたものです。轟く水の音と降り注ぐ太陽に包まれ、まるで自分が丸ごと洗濯されているかのよう。
抜けるような青空と壮大な華厳の滝ですっかり気分が晴れやかになった後は、体もほぐしてあげなければいけません。
今回訪れたのは、『湖畔の湯』。日光レークサイドホテルの温泉で、入浴のみの他、昼食付きプランも選べます。
この中禅寺湖温泉は、前々から行ってみたかった日光湯元温泉から引き湯しているとのこと。今回も湯元まで行こうか迷いましたが、湯元はかなり遠い。ならば同じ泉質を楽しめる中禅寺湖で時間一杯目一杯、自然と温泉を楽しんだほうがいい、ということでこのような行程にしました。
ログハウス、というよりも山小屋をイメージさせる木造の建物は、とても静かで薄暗い照明も手伝い、秘湯のような雰囲気を醸し出します。
広い浴槽から滔々と溢れるお湯は、絵に描いたような白い濁り湯。湯の花も浮いています。これぞ温泉、という色と硫黄の香りが印象的なお湯ですが、中性のため肌へのなじみが抜群で、刺激もないのでいつまでも入っていられます。
窓の外には中禅寺湖を望むことができ、浸かっては縁に腰掛け景色を眺め、また浸かる。そのように延々と繰り返していたい心地よさ。1時間半もそれを繰り返してしまいました。露天はありませんが、それ程居心地の良い、魅力のある温泉でした。
極上の湯を堪能し、中禅寺湖を体一杯で感じようと、再び湖畔へと向かいます。太陽に煌めく湖面がまぶしい。先程とはまったく違う表情を見せています。
もともとの予定にはありませんでしたが、急な晴れ間と棚ぼたのような紅葉に気をよくした僕は、珍しく『遊覧船』に乗ることにしました。先程の鳥居より少し先の船の駅から出発します。
遊覧船のチケットも、東武のフリーパスを提示すれば割引になります。中禅寺湖までのバスもいい値段がするので、もう十分フリーパスでトクをしています。いざ船に乗り込み、出航の時を待ちます。
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