銀嶺つむいで大糸線 ~鉄路でなぞる塩の道 3日目 ⑥~ | 旅は未知連れ酔わな酒

銀嶺つむいで大糸線 ~鉄路でなぞる塩の道 3日目 ⑥~

2月上旬冬晴れの松本城足元から見上げる荘厳な天守閣 旅行記

逆光により、より一層荘厳さを増す天守。その迫力を全身に受け止め、優美さを眼に心に灼きつけたところでいよいよ内部へ。その前に、もう一度だけ見上げるその姿。聳え立つ天守の放つ威厳に、改めて軽い身震いすら覚えてしまう。

2月上旬冬晴れの松本城天然の素材のみで造られた戦国時代の天守閣内部
外観の重厚さもさることながら、内部に宿る歴史の重みもまた圧巻のひとこと。木や土といった自然の素材のみで造られている天守は、風雪や地震にも負けず戦国時代から生き続けています。

2月上旬冬晴れの松本城戦国時代生まれ戦いのための天守閣石落としと狭間
太平の世が訪れる前、戦の時代に建てられた松本城。象徴としての天守ではなく実践を想定した造りとなっているため、石落や狭間といった攻守のための装備が随所に見られます。

2月上旬冬晴れの松本城古の工具の跡が残る重厚な柱や梁
順路に沿って様々な展示物が並びますが、その合間からは往時の空気感を残したままのような空間も。重厚な柱や梁には古の工具の跡が残され、職人の技によりこのお城が支えられていることが伝わるよう。

2月上旬冬晴れの松本城武者窓から射し込む陽射し
堅牢な守りで固められている天守閣ですが、数ある武者窓からの光で内部は意外と明るい空間に。陽射しに照らされ格子の木材に浮かびあがる、職人の手仕事のうつくしさ。

2月上旬冬晴れの松本城武者窓から望む乾小天守と仲睦まじい鳩
武者窓から外を望めば、至近に迫る乾小天守。間近で眺める黒漆の艶やかさに目を奪われていると、屋根瓦に佇む二羽の鳩。その様子からは、仲睦まじさが滲み出ています。

2月上旬冬晴れの松本城大天守の屋根を支える桔木
現存天守らしい狭く急な階段をひたすら登り、五重六階の大天守最上階へ。天井を見上げれば、重たい屋根を支える幾多もの木材が。この放射状に廻らされた桔木が、てこの原理を用いて軒が下がらないように支えています。

2月上旬冬晴れの松本城勾欄が付くはずだった天守閣最上階
優美な姿を支える骨組みの無骨さに圧倒され、視線を床へとむければ四方を廻る一段高くなった部分が。当初はここが外壁となり外に勾欄が廻らされる予定でしたが、信州の厳しい冬に鑑みて設計が変更されたのだそう。

2月上旬冬晴れの松本城天守閣最上階から望む白銀の山並み
五重六階を誇る松本城の大天守。その高さから、平城ながら最上階からの展望は壮観なもの。格子の隙間から外を覗けば、西日に染まりつつある青空の下連なるアルプスの山並み。

2月上旬冬晴れの松本城大天守千鳥破風の内部
空を染める金と青のグラデーション、そのパステルのなか横たわる白銀の稜線。太古の昔から変わらぬ雄大な眺めを胸いっぱい吸い込み、急な階段をたどり下層へと向かいます。

2月上旬冬晴れの松本城大天守唐破風内部
ひとつ下の5階には東西南北に破風が設けられ、その隙間から城の全方位を見渡せるように。戦の際には、作戦会議を開く場として考えられているそう。

2月上旬冬晴れの松本城大天守御座所
千鳥破風と唐破風の内部構造の違いを楽しみ4階へ。この御簾で仕切られた空間は御座所といい、お殿様が天守に入った際の居場所であったそう。

2月上旬冬晴れの松本城大天守南側の千鳥破風のみから明かりが漏れる3階隠し階
その下の3階は他の階とは一変し、ほとんど明かりのないほの暗い空間。二重目の屋根が周囲を廻っているため、南側の千鳥破風が唯一の明り取りとなっています。その造りから、戦時は倉庫や避難所として使われたそう。

2月上旬冬晴れの松本城戦国時代築の大天守と辰巳附櫓の境界
戦国時代に大天守と乾小天守が築かれた松本城。そこから飛び出るように続く辰巳附櫓と月見櫓は、江戸時代に増築された部分。ここを境に、天守のもつ性格が変わります。

2月上旬冬晴れの松本城辰巳附櫓の花頭窓
戦に備えた要塞としての大天守から、太平の世に築かれたもてなしのための月見櫓へ。その間をつなぐ辰巳附櫓には、優美な形をした花頭窓が設けられています。

2月上旬冬晴れの松本城戦の機能を持たない月見櫓
先へと進むと、家光公を迎えるために造られたという月見櫓へ。三方ぐるりと開口部が設けられ、名月の頃にはこの戸を外して月を愛でたのでしょう。

2月上旬冬晴れの松本城月見櫓に廻らされる刎ね勾欄
月見櫓の周囲には、外からも目立つ朱塗りの刎ね勾欄が。お堀にせり出す月見櫓からの眺めは、船に乗っているかのような感覚も。

2月上旬冬晴れの松本城月見櫓から望む大天守戦国時代と太平の世の対比
戦の世も終わり、太平の世に造られた月見櫓。その贅沢な造りから望む、質実剛健な大天守。戦国時代と江戸時代の対比が、ここに凝縮されているかのよう。

2月上旬冬晴れの松本城光溢れる月見櫓
10年ぶりに内部を見学した松本城の天守閣。現存天守だからこそ味わえる濃密な空気感に触れ、一層このお城を好きになる。

430年以上も、この地に聳え続ける黒い天守。その内側に秘められた重厚な空間と信州の壮大な景色を胸に、初恋の城との逢瀬を噛みしめるのでした。

銀嶺つむいで大糸線 ~鉄路でなぞる塩の道~
2月上旬姫川温泉朝日荘客室から望む大糸線夜汽車の情緒
2023.2 新潟/長野
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●1日目(東京⇒糸魚川⇒姫川温泉)
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●2日目(姫川温泉滞在)
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●3日目(姫川温泉⇒大町⇒穂高⇒松本⇒東京)
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