銀嶺つむいで大糸線 ~鉄路でなぞる塩の道 2日目 ②~ | 旅は未知連れ酔わな酒

銀嶺つむいで大糸線 ~鉄路でなぞる塩の道 2日目 ②~

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘斜め向かいにある湯滝 旅行記

優しい味わいのラーメンにお腹も満たされ、温かな陽射しに誘われ食後のさんぽへ。朝日荘の斜め向かいに鎮座する、貯湯槽から漏れ出る湯滝。昨日はドバドバと源泉が捨てられていましたが、今日はぴたっと止まっています。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘湯滝の下に蓄積された分厚い析出物
それにしても、見事な析出物。もともとの岩盤のでっぱりもあるでしょうが、一部穴の開いている部分から断面を見ればその分厚さは一目瞭然。開湯して65年。いつからこの湯滝があるのかは分かりませんが、この厚さまで成長するということはそれほど湯の成分が濃いという証。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘消雪された大網発電所専用道路
湯滝の前、朝日荘の隣のホテル白馬荘脇からのびる下り坂を進んでゆくと、大網発電所専用道路の看板が。一瞬入ってもいいのかな?と思いつつも、車も通るし踏切もあるし立ち入り禁止の表示もないしで進んでみることに。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘大網発電所専用道路踏切から眺める大糸線の線路
消雪パイプから吹き出す水を避けつつ踏切へ。糸魚川方面を眺めれば、雪に埋もれつつ緩やかに弧を描く二条のレールと戦前生まれの発電所。その背後に立ちはだかる険しい岩山と冬晴れの眩さの対比に、思わず息を呑んでしまう。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘姫川に架かる大網発電所専用道路路面が木製の吊り橋
さらに進んでゆくと、華奢な鉄骨で組まれた吊り橋が。この感じの吊り橋を何事もなく車が渡ってゆく姿は、なじみのない僕にとってはちょっとした衝撃。昭和30年代、40年代までは、きっとこんな光景が当たり前にあったことでしょう。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘姫川に架かる大網発電所専用道路木の路面を踏みしめ吊り橋を渡る
鉄道のみならず交通全般が好きな僕。懐古主義的な部分もあり、廃線跡や旧道、廃道なども興味の対象に。ヘタレな僕はネットで記事を読むしかできないけれど、そんな僕がこんな吊り橋を渡るときが来るなんて。

観光地むけのアトラクションでもない。ハイキングコースに設けられた人道用でもない。橋脚を設けることのできない暴れ川を渡るために存在する、交通を担保するための本物の吊り橋。年季を感じさせる木の路面を踏みしめ、その感触を足へと刻みます。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘華奢で美しい大網発電所専用道路吊り橋
感慨に浸りつつ渡り切り、もう一度振り返り全貌を。銘板などは見あたらなかったためいつ架橋されたのかは分かりませんが、この道の目的地である大網発電所が昭和13年生まれということで、きっと古いものなのでしょう。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘大網発電所専用道路吊り橋と鉄橋を渡る大糸線キハ120の共演
ワイヤーとトラス、木の織り成す古豪の姿に見とれていると、遠くから鉄橋を渡る車輪の音が。これはもしや?と待ち構えていると、2両編成のキハ120が弧を描く鉄橋をのんびり通過。車道と鉄道、それぞれの形で姫川を克服してきた橋の共演を眼に灼き付けます。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘吊り橋で姫川を渡り新潟県側の集落を歩く
姫川の対岸へと渡り、新潟県へ。民家や旅館の並ぶ長閑な集落を、平岩駅方面目指して歩きます。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘対岸に見えていた大所川発電所
しばらく歩いてゆくと、宿からも見えていた発電所が。この大所川発電所は、大網発電所よりもさらに古い大正12年生まれ。重厚なその佇まいからは、経てきた歴史の重みを感じます。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘大所川発電所構内に位置する木造家屋
その隣には、これまた歴史を感じさせる古い木造家屋が。事務所か、社宅か、それとも詰所なのか。セピア色した表情に、思わず郷愁というものがこみ上げる。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘ガーダー橋越しに朝日荘を眺める
鉄路に車道、近代化遺産と、大正から昭和までの空気感を感じつつ歩く冬晴れの午後。純白の雪とその上を跨ぐガーダー橋の隙間からは、滞在している朝日荘の渋い佇まいが。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘姫川支流大所川に連なる3基の砂防ダム
さらに進んでゆくと、姫川とその支流である大所川の合流点へ。そこに架かる橋から上流側を望めば、3基連なる砂防ダム。遠目から見てもあり得ないような高さに、この地を流れる川の勾配のきつさを今一度実感。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘大所川と姫川の合流点から下流を望む
大町と糸魚川を結ぶべく、戦前より延伸されてきた大糸線。その全通を迎えたのは、戦後12年経ってからのこと。ここ平岩を含む最後の区間は地形がことさら厳しく、戦後の土木技術をもってしてようやく開通させることができたのでしょう。

2月上旬姫川温泉湯の宿朝日荘姫川湯橋より上流側を望む
穏やかな天気の中、大正、昭和と辿った道。腹ごなしの散歩のつもりが、思いがけず濃い体験に。

明日はこの姫川を、大糸線で上流へと遡る。まだ見ぬ鉄路への期待もあるけれど、今はこの地で昭和に浸っていたい。

宿を包む心地よさ、部屋から望む戦前生まれの発電所と戦後生まれの大糸線。初めて訪れたはずなのに、なんだか懐かしい気持ちになる。平岩で過ごす昼下がりは、そんな温もりを僕の心へと宿してくれるのでした。

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銀嶺つむいで大糸線 ~鉄路でなぞる塩の道~
2月上旬姫川温泉朝日荘客室から望む大糸線夜汽車の情緒
2023.2 新潟/長野
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●1日目(東京⇒糸魚川⇒姫川温泉)
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●2日目(姫川温泉滞在)
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●3日目(姫川温泉⇒大町⇒穂高⇒松本⇒東京)
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